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世間一般的には、残業時間を減らそうという動きがありますが、まだまだ残業が多い人もたくさんいるでしょう。そんな人の中には、残業をすべきなのか迷いながらしている人もいるかも知れません。
この記事では、残業とは、残業時間の上限とは、残業代が支払われるとき、残業代が支払われない場合、残業に対する世間の風潮などについてご解説します。残業の意味をしっかり把握して、自分のワークスタイルを見直すこともできます。
残業とは
残業とは「決められた時間を超えて働くこと」をいいます。
しかし、決められた時間とは何によって決められた時間なのかを認識しておかなくてはいけないでしょう。
労働基準法では、労働時間は1日8時間、または週40時間を超えてはならないとされています。
残業時間の上限は決まっている
労働基準法では、労働時間の延長の限度を定めています。
例外になる職種もありますが、一般労働者なら以下のようにされています。
2週間・・・25時間
1か月・・・45時間
1年間・・・360時間
また、雇用形態が対象期間3ヵ月を超える1年単位の変形労働時間制の場合には、一般労働者よりも延長時間の限度がみじかくなり、たとえば「1年間では320時間」と定めがあります。
さらに、政府は、2017年3月28日に「働き方改革実行計画」を発表し、実施に向けて動いています。
上記の延長時間の限度自体には変更はありませんが、「働き方改革実行計画」の中でも残業時間の上限規定を設けています。
「特別条項付き協定」においては、年間720時間の上限としています。ただし、2~6ヵ月の平均では80時間以内であること、1ヵ月では100時間未満としつつ、月45時間を超える残業は年間で6ヵ月までという条件もあります。
上限以前の問題もある
残業は当たり前になっている会社も多いですが、そもそも残業代さえ支払えば残業させていいというものではありません。
労働者に残業をさせるには、会社はあらかじめ労働者と協定を結んでおかなくてはいけないのです。その協定が、36協定といわれるものです。
残業がある会社なら、本来は会社創業時に労働者の代表と、あるいは労働組合の代表と36協定を結んでいるはずです。
(正式には「時間外・休日労働に関する協定届」)
・この協定を結んだら、労働基準監督署に届け出るように規定されている
・この届に関して労働基準法第36条で定められていることから通称がついている
この届をしないまま労働者に残業をさせた場合には、労働基準法違反で6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることになるでしょう。
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残業代が支払われるときとは
先にも紹介したように、労働基準法では、労働時間は1日8時間、または週40時間を超えてはならないとされています。
いずれかを超えた時間については、残業代が支払わなければいけないことになります。
たとえば、以下のようになります。
平日月曜日から金曜日の5日間、1日8時間の労働(40時間の労働)をして、土曜日に短時間でも労働した場合・・・残業として賃金が計算される
会社によって、出退社時間や1日の労働時間は違うでしょう。
それぞれの会社が定めた出退者時間による労働時間は、所定労働時間といいます。
会社によっては、月曜日から金曜日までは7時間労働、土曜日には5時間労働、週の合計が法の定めに沿って40時間になっていることもあります。
法律で決められた労働時間は、1日8時間、または週40時間を超えてはならないということになっています。そのため、1日7時間勤務の会社で月曜日に8時間勤務したとしても、法律上ではその日の残業代は支払われないことになります。
ただし、月曜日以外は会社の規定通りに働いたとすると、週の合計労働時間が41時間になるので、1時間に対しては残業代が支払われるべきになります。
このケースで、土曜日の労働時間を4時間に短縮したら、残業代は支払わないことになります。
ここまでは、法定労働時間に沿った残業代の支払いについてです。もし、会社の規定で1日7時間以上働いた場合には残業代の支払いがあるなどとされていれば、法定労働時間以内でも所定労働時間に沿って、残業代の支払いがあるでしょう。
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残業代が支払われない場合
一般的に、残業をしたとしても支払いがないケースもあります。
事業場外労働の場合
たとえば、自宅やカフェで作業した場合には、勤務の開始と終了がはっきり分からないために残業として計算されないことがあります。
ただし、確実に事業外労働が必要で労働時間が予測できる場合には、勤務時間に加算されることもあります。
また、時間について具体的に指示がある時や電話で随時報告した時には、勤務とカウントされる「みなし勤務」になるのが一般的です。
残業を支払わない理由として使われることもあるので、注意しましょう。
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裁量労働の場合
裁量労働制度とは、実質の労働時間ではなく、一定の時間とみなす制度のことをさしています。
出退勤の時間の制限がないため、残業代の支払いもないでしょう。
はっきりした成果物が提出できる職種に限って認められている制度です。対象外の職種には適用できないので、契約時に注意が必要でしょう。
残業に対する世間の風潮は様々
世間では、残業に対してどのような考えがあるのでしょうか。
働き方改革の一環としての残業に対する意見は厳しい
ワーク・ライフ・バランスという言葉が一般的になってきて、働き方に対する価値観が変わっています。そのため、あまりにも長い残業時間を減らそうという傾向にあります。
実際、若い世代では給料が低くなったとしても、残業なしがいいという人も増えています。
また、会社からすれば、残業を減らすことはコスト削減につながることもあり、ますます推奨されている傾向もあるでしょう。
また、心理的なプレッシャーから残業している人もいるのも事実です。
たとえば、上司や同僚が残業しているので、たとえ自分の業務や作業が終わっても帰るといい出せない場合や慣例として残業が当たり前となっている場合なども、今では問題になることが多いでしょう。
定時で帰る従業員もいて裁量が難しい
残業は減らすべきとの方向性から、その日にやってしまうべき仕事が残った状態でも自己判断で残業なしでかえってしまう人も出てきているでしょう。
個々の進捗状況をいちいち把握して、上司が退社を命じるのは無理があります。だからといって、残業の裁量も難しいところでしょう。
また、個人でその日にやるべきの認識に違いが出てくることも考えられ、残業をするかしないかの判断がまちまちになりがちです。
残業を減らす方法とは
残業を減らすのは、会社が取り組みを行うだけでなく、社員個人個人が取り組むこともできるでしょう。
決められた時間内に、いかに集中して仕事を進めることができるかによります。
それぞれの作業にかかる時間を自分なりに予測し、一日のスケジュールを組むのがおすすめです。
スケジュールは、仕事の優先順位によって組み立てていくのがいいでしょう。
それでも残業が減らせない場合には、周りを巻き込んで作業の効率化を考えるべきでしょう。
作業の効率化には、効率が悪い根拠を探り、その修正案や代替案を提示すると効率化が進めやすくなります。あきらかに仕事量が多いと思われるときには、自分ひとりの意見でなく、周りの人の仕事量に対する意見を集めてみることも必要です。
残業についてのまとめ
- 残業とは、決められた時間を超えて働くことをいいます。
- 労働基準法で定められている労働時間の延長の上限は、一般労働者なら1週間に15時間、2週間では25時間、1か月で45時間、1年間では360時間とされています。それとは別に、「働き方改革実行計画」では年間720時間の上限としています。
- 上限に加えて、労働者に残業をさせるには、会社はあらかじめ労働者との間に36協定を結んでいなければ、残業させることができません。
- 残業代が支払われる場合は、労働基準法に準じれば、労働時間は1日8時間、または週40時間を超えた時間についてでしょう。それぞれの会社で定める所定労働時間があれば、それを超えた分に対して支払われるか、労働基準法に準じるかは規定次第になります。
- 残業代が支払われない場合もあり、事業場外労働の場合や裁量労働の場合には残業代が支払われないこともあります。
- 残業に対する世間の風潮としては、働き方改革の一環として残業に対する意見は厳しくなっていますが、中には今日中にやるべき仕事を残して、定時で帰る従業員もいて、裁量が難しいというのが実態でしょう。
- 残業を減らす方法には、仕事の優先順位を考えたスケジュールを組むことなどがあります。