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企業に所属する者が自社のことを謙遜して称する言葉に「小社」と「弊社」があります。
一般的なビジネスシーンでの使用頻度は「弊社」のほうが多く、「小社」は公式文書では比較的よく使われますが、日常会話ではほとんど使われません。
この記事では、「小社」と「弊社」の意味や使い分けのポイントについて詳しく解説しています。
「小社」と「弊社」の違いや基本的な意味
「小社」と「弊社」は相手に敬意を示すために自分が属する会社のことを謙遜した呼称です。このように相手にへりくだった呼び名を「謙称(けんしょう)」といいます。
「小社」と「弊社」の使い方は基本的に同じですが、それぞれの意味や使い方には以下のような違いがあります。
「小社」とは何を指すのか
「小社」や「弊社」の「社」の由来は古代中国の象形文字で、大木や巨石などの神格化されたシンボルをあがめ奉る人々の集まりをあらわします。
漢字の「社」は広い意味では同じ目的を持つ人々の組織や集団を意味します。現代語では企業や神社をあらわす場合が多く、「小社」は文字通り小さな会社や神社を意味する言葉でもあります。
現代ではそれが転じて、会社に属する人が社外の相手に敬意を示すために自社をへりくだって称する謙称として使われるようになりました。
「弊社」とはどのような場合に使われるか
「弊社」の「弊」は「よくない」「ボロボロの」「疲れる」などを意味する漢字です。そのため「弊」の熟語は「弊害」「悪弊」「疲弊」など悪い意味の言葉ばかりです。
「弊社」も文字通りに解釈すると「よくない会社」「ボロボロの会社」といった意味になりますが、「弊社」は社外の相手に敬意を示すための謙称としてのみ使われる言葉です。
「よくない会社」「ボロボロの会社」といった意味で使われることはありません。
また「小社」には「小さな会社や神社」という意味もありますが、「弊社」の「社」に神社の意味はありません。
神社は神様をお祀りする施設ですから、「よくない神社」という表現はできません。
「弊社」は会社だけをあらわし、神社を含まないことも「小社」との違いです。
ちなみに近代の社格制度で格式の高い神社を意味する「官幣社(かんぺいしゃ)」とは漢字が違いますので注意してください。
「小社」と「弊社」の使い分けのポイント
謙称の「小社」と「弊社」の使い方は基本的に同じですが、細かく言えば違う点もあります。これらの言葉を使う際は以下に示すポイントに注意して使い分けましょう。
相手による使い分け
「小社」という謙称は会話やスピーチではできるだけ使わないようにしましょう。
「小社(しょうしゃ)」と聞くと「商社」や「勝者」などの同音異義語と間違えられる可能性があるからです。
文字でのやりとりでは聞き違いは生じませんので、「小社」を使うのはメールや書状、WebサイトやSNSの書き込みなどの文字コミュニケーションに限りましょう。
また「小社」は文字通り「小さな会社」という意味もあるため、大企業に所属する者が自社を「小社」と称するのは矛盾するという意見もあります。
それらの理由から自社の謙称としては「弊社」を使用するケースが多く、「小社」は比較的規模の小さい会社がプレスリリースなどの社外文書の中で使用することが多いといえます。
ちなみに会社を謙称した「小社」「弊社」に対して、会社に属する個人が自分をへりくだって称する「小職」「弊職」という謙称もあります。
この場合の「職」は上級管理職や役員のように比較的高い役職を意味しますので、一般社員は使わないほうがよいでしょう。
文脈による使い分け
謙称としての「小社」と「弊社」の意味や使い方は基本的に同じですが、文脈によっては使い分けたほうが良い場合があります。
たとえば「小社は零細企業ではございますが、複数の大手企業様と業務上の提携をいたしております」のように自社の経営規模が小さいことを前提とした内容では、「弊社」よりも「小社」のほうがふさわしいと言えます。
ビジネスシーンでの「小社」と「弊社」の適切な使用法
すでに述べたように「小社」と「弊社」は社外の相手に敬意を示すために自社を謙称する言葉です。
「謙称」とは「相手に敬意を示すために謙遜して自分のことを悪くいう」ことをあらわします。
逆に言えば相手の地位や立場がどんなに高くても、自分と同じ会社に属する人に対して、自社のことを「小社」や「弊社」と称することはできません。
たとえば社長秘書が社長に対して「弊社宛の郵便物が届いております」というと間接的に社長を侮蔑する表現になってしまいます。
「小社」と「弊社」を使用する際には以下に示すポイントに注意してください。
取引先に対する自社の紹介
取引先に対して自社を紹介する際には謙遜の意味で「小社」か「弊社」を用いるのが基本です。
会話やスピーチで「小社」というと同音異義語の「商社」や「勝者」と間違われやすいので、なるべく「弊社」を使うように心がけましょう。
文書やメール、SNSなどの文字を中心としたメディアでは「小社」と「弊社」どちらでも使えます。
ただし前述のように「小社」には「小さい会社」という意味もありますので、取引先に対して自社を「小社」と称するのは相手が大企業の場合に限った方が良いでしょう。
また相手に送る文書が未払金の督促状や抗議、クレームなどの場合は、たとえ相手が取引先であってもへりくだる必要はありません。
立場が平等であることを示すためにも謙称ではなく「当社」を使いましょう。
文脈による使い分け
謙称としての「小社」と「弊社」の意味や使い方は基本的に同じですが、文脈によってはあえて使い分けたほうが良い場合があります。
たとえば「小社は零細企業ではございますが、複数の大手企業様と業務上の提携をいたしております。」のように自社の経営規模が小さいことをアピールすしたい場合は「弊社」よりも「小社」のほうが適切です。
公式文書での使用
公式文書とは企業が自社の情報を社外に公表するために作成される正式な文書のことです。
公式文書の内容は会社の信用に関わるため、データの正確さとわかりやすく無駄のない文章表現が求められます。
公式文書での謙称は「弊社」で統一しましょう。
「小社」は小さい企業というニュアンスがあることと、一般的に「弊社」を使用する企業が多いため「弊社」で統一するのが無難と言えます。
また近年では「私的には」という流行語の影響で、「自社の見解としては」という意味で「弊社的には~」と表現するケースが増えていますが、この表現は公式文書にはふさわしくありません。
「弊社的には」という表現は「弊社としては」に書き換えましょう。
メールやビジネスレターでの使用
メールやビジネスレターでは、顧客や取引先に対しては「小社」か「弊社」を使用し、社内でのやりとりでは「当社」を使用するのが基本です。
社内の人に対して「小社」や「弊社」を使うのはマナー違反となりますので注意してください。
「小社」と「弊社」を使ったビジネスでの例文
- 「山椒は小粒でぴりりと辛い」と申しますように、小社は規模こそ小さいもののオンリーワンの技術によって世界中の顧客に新たな価値を提供する企業であります。
- 弊社といたしましては、今後とも製品とサービスの品質向上に尽力してまいる所存でございますので、引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます。