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最近は、会社で残業しないようにといわれることが昔に比べると増えてきています。働き方改革の一環として、ノー残業デーを定める会社も増えました。しかし、会社によってはあまり浸透しておらず、形だけ取り入れている場合もあるでしょう。
この記事では、ノー残業デーについて以下の点を中心に解説いたします。
・ノー残業デーとプレミアムフライデーの違い
・ノー残業デーのメリット・デメリット
・ノー残業デーを取り入れるなど取り入れないのとどちらがよいか
ノー残業デーとプレミアムフライデーの違い
働き方改革の一環として、ノー残業デーとプレミアムフライデーを取り入れる企業が増えました。
ノー残業デーとはなにか?
ノー残業デーとは、会社で定められた定時に退社することを目標にし、残業をなるべくしないように従業員を促す取り組みです。週に1日か2日、ノー残業デーの曜日を決めた日は毎週定時で帰るように従業員を促します。
残業は、就業規則や契約で定められた労働者の労働時間よりも超えて働くことです。
所定労働時間は企業によって異なります。しかし一般的には7時間~8時間のところが多いでしょう。8時間以上の場合には休憩時間を通常より増やすなど、細かい基準が労働基準法に基づいて定められています。
ノー残業デー制定の背景
日本は他の国に比べて残業が多いと世界的にも有名です。
もともとは1950年代の高度経済成長期に、経済発展のため多くの従業員が残業していました。その時期に日本の経済が大きく発展したため、「残業する事はよい」「従業員は企業のために残業するのは当然だ」というように、働きすぎを正当化する風潮がありました。
現在でも残業をよしとする風潮は残っていますが、1990年代以降になると過労死やワークバランスが重要視されるようになり、少しずつ残業は社会的問題であるという見方が出てきました。
経済が発展し、時代が進み、IT化が進んでいるにもかかわらず、残業が増えるのはおかしなことでしょう。
日本の政府がノー残業デーを企業で取り入れるように促してきたかいがあり、ノー残業デーを取り入れている企業も増えてきましたが、実際にきちんと施行されていないところは多いです。
プレミアムフライデーの内容
働き方改革の一環として最近取り入れられたのが、プレミアムフライデーです。
プレミアムフライデーとは「月末金曜はちょっと豊かに」をキャッチフレーズとして、国民一人一人が「特別な人」と「特別な時間」を過ごすことで生活を豊かで幸せなものにすることを目指した取り組みです。
平成29年2月に施行されて以降、経済産業省がプレミアムフライデーの実施を幅広く呼びかけたことで、世の中での知名度や理解度は徐々に伸びてきています。
プレミアムフライデーには経済効果がある
商業施設や観光業、飲食店業、宿泊施設などにとっては、消費者の数が増えて売り上げが伸びるという経済的効果もあるといわれています。
企業も、プレミアムフライデーを取り入れるのをきっかけに、ノー残業デイをしっかりと実施するようになったところもあります。
ノー残業デーのメリット
ライフワークバランスがよくなる
ライフワークバランスとは、仕事とプライベートの両方が充実するようにバランスを取る考え方で、仕事にメリハリをつけることで相乗効果が生まれプライベートも充実させることができるようになります。
ノー残業デーによって、プライベートの時間を家族サービスや趣味の時間などにあてることができるようになるでしょう。
仕事の効率がアップする
残業を少なくすることで仕事の稼働時間は短くなるでしょう。しかし残業がなくなることで労働生産性が上がるというメリットがあります。
ノー残業デーが徹底されており、定時で退社しなければならない日があると、従業員は仕事の時間管理が重要になります。
残業が当たり前であれば、終わるまで仕事を続ければよいと考えてしまいがちです。しかし定時退社が徹底されている場合、ダラダラと働けず、今日中に終わらせなければならない仕事を優先し、緊張感をもって行うことができます。
従業員の一人ひとりに緊張感が生まれることで、会社全体の生産性が向上させることができます。
会社の経費削減になる
企業にとって、残業しないことは労働生産性が上がるだけではなく、人件費や光熱費などの経費を削減できるメリットがあります。
従業員が残業すると、残業代を払わなければならないだけでなく、電気代や空調代などのコストもかかってしまいます。残業代は会社にとって大きな負担であり、残業代が払えず会社が倒産する場合もあります。
ノー残業デーのデメリット
ノー残業デーにはもちろんデメリットもあります。
ノー残業デーで仕事のしわ寄せが起きる
定時退社日があることで、今までできていた量の仕事がこなせず、ノー残業デー以外の日に仕事のしわ寄せがくる可能性があります。別の日の残業が増えたり、朝早く出社したり、持ち帰れるものは家でやったりということが起きます。
ノー残業デーを徹底しても、他の日の残業が増えれば効率がよいとはいえません。仕事の生産性を高めるために、定時退社日を作っていることも従業員が認識できるようにする必要があります。
管理職にノー残業デーはない
社内で定時退社日が徹底されていたとしても、企業によっては管理職を例外とするところもあります。
管理職には元々みなし残業代が給与に含まれているため、他の社員と同じように定時退社すると、残業をせずに残業代をもらっていることになります。
管理職だけが残業できる環境にあると、他の従業員が抱えていた納期の近い案件を管理職が引き取って行うことになる場合もあるでしょう。
管理職が残業している中で、部下が帰りづらいと感じ、なかなか退社をいい出せずにダラダラと残業をすることになることもありえます。
ノー残業デーが社内全員に適用され、徹底されなければ残業に関わる問題は解決しないでしょう。
ノー残業デーで社内の付き合いが増える
せっかく定時退社日なのにも関わらず、社内の付き合いが増えてしまってはプライベートの時間が取れなくなります。しかし、普段皆が残業しているため、あえて定時退社日に社内の行事を入れたり、上司との飲み会に誘われたりすることも考えられます。
飲み会以外にも、上司との面談や会社の勉強会をあえて定時退社日に入れる会社も存在します。
ノー残業デーの目的であるプライベートを充実させるという部分は全く無視されている場合もあるでしょう。
残業が多いと思われるデメリットがある
ノー残業デーを取り入れている企業は、定時退社日以外の日に仕事のしわ寄せがきていると思われがちです。
人材を採用するときに「ノー残業デイを取り入れている=他の日の残業が多い」と思われてしまう場合があります。
実際に他の日に仕事のしわ寄せが来ている会社もあれば、仕事の生産性が上がり、ノー残業デーが成功している会社もあります。
応募者は、会社の実態を就職前には知ることができないため、ノー残業デイを徹底しているということが、逆効果になる場合もあります。
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ノー残業デーは業種によって適さない
ノー残業デーについてのメリットデメリットを見ると、単純にノー残業デーがよいともいい切れません。職種や業界によって、定時退社が適さない仕事もあるためです。
定時退社が適さない職種や業界は適さない
ノー残業デーが合わないことで典型的なのが、企画や研究開発、デザイナー等のクリエイティブな業務です。アイディア出しや制作に時間がかかる場合と、すぐできる場合の差が非常に大きいため、納期が近いときには残業しなければならないことが多いです。
IT系やシステム管理者、修理会社などは、障害が生じれば時間にかかわらず対応しなければなりません。24時間対応のサービスやシステムにかかわる職種も昔に比べると増えています。
導入はしているが形だけであると意味がない
企業での残業デーを推進していても、周りが誰も帰らなければなかなか定時に帰る事は難しいでしょう。
特に日系企業の場合、上司が帰れなければ部下が帰りにくいという状況があるため、上司が残っていると部下も残らざるを得ないということも生じます。
全社で行わなければノー残業デーは意味がない
大きな会社の場合、支社や支店があります。
ノー残業デーを一部の支社や支店だけが取り入れたとしたら、他の店舗とばらつきが出てしまい、売り上げに影響する可能性があります。
また顧客にも迷惑をかける場合があるため、行うならば全社で行わなければ意味がないでしょう。
ノー残業デーについてのまとめ
- ノー残業デーとプレミアムフライデーは両方とも、働き方改革の一環であり、取り入れている企業が少しずつ増えてきた
- 残業デーは週に1~2回定時退社日があること
- プレミアムフライデイとは月末の金曜日に通常よりも早い時間で仕事を切り上げること
- ノー残業デイはライフワークバランスや仕事の効率が上がること、会社の経費が削減されることなどのメリットがある
- ノー残業デーのデメリットは、別の日に残業が増える、社内のイベントや会議がサービス残業として行われる、などである
- クリエイティブな仕事や24時間対応の業種はノー残業デーのシステムが合っていない