「こちらこそ」の正しいビジネスシーンで使い方の使い方と例文集

取引先や上司から感謝やお詫びの言葉をかけられたとき、とっさに「こちらこそ」と返す方は多いのではないでしょうか。しかし、この言葉は使い方を誤ると、相手に対等な態度を取っているような印象を与えてしまい、思わぬ失礼につながることがあります。本記事では「こちらこそ」の正しい意味と、ビジネスシーンで気をつけたいポイント、そのまま使える例文を紹介します。言い回しに自信を持てるようになれば、目上の相手とのやり取りもぐっとスムーズになるはずです。

目次

『こちらこそ』の意味は何か?

『こちらこそ』という言葉は、相手からの感謝やお詫びの表明を受けて、それに応じる形で使う言葉です。

「こちら」は話し手自身、または話し手側を指す代名詞であり、「こそ」は係助詞として強調の意味を添えます。つまり「こちらこそ」は、「私の方こそ」という意味合いを持ち、相手の感謝やお詫びをいったん受け止めたうえで、自分の側にも同様の気持ちがあることを伝える表現です。そこには「本来なら、こちらから先に言うべきことでした」というニュアンスも含まれています。

ビジネスシーンで使う際は、自分の立場や状況、相手がどのような意図でお詫びや感謝を述べたのかを踏まえて言葉を選ぶことが大切です。使い方を誤ると、相手に「対等な立場で返された」という違和感を持たせてしまう可能性があるため、注意が必要です。

『こちらこそ』の漢字表記

『こちらこそ』を漢字で表記する場合、「此方こそ」と書くことは可能です。しかし、ビジネス文書やメールで「こちら」を漢字表記することはほとんどなく、かえって読みにくい印象を与えてしまいます。日常のビジネスシーンでは、ひらがなで「こちらこそ」と表記するのが無難でしょう。

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『こちらこそ』を使うときの注意点とポイント

「こちらこそ」は日常でよく使う言葉であるからこそ、無意識に使ってしまい、相手に失礼な印象を与えてしまうことがあります。使う前に、以下の4点を確認する習慣をつけましょう。

1 お詫び、感謝をされた際には、自分と相手、どちらがより大きく、相手に迷惑をかけたか、もしくは感謝しているか、感謝しなければいけないか。
2 自分と相手、どちらの地位や立場が上か。
3 相手のお詫びや感謝が社交辞令やあなたに気を使った方便ではないか。
4 こちらの方(ほう)とはいわない

1と2について、お詫びする側や感謝する側は、基本的に立場が低くなる場面が多いものです。自分たちが相手よりも深くお詫び、あるいは感謝しなければならない状況であれば、自分は相手より立場を低く見せる言い方を心がける必要があります。

『こちらこそ、申し訳ありませんでした。』『こちらこそ、ありがとうございました』とだけ伝えると、相手のお詫びや感謝をそのまま受け入れる形になり、対等な立場でやり取りしているように聞こえてしまう可能性があります。また、本来であれば『こちらこそ○○していただき』と続けるべき文を省略した形になっているため、聞き手によっては失礼に感じることもあるでしょう。

できる限り省略せず、何に対してお詫びしているのか、何に感謝しているのかを、具体的に言葉にして伝えましょう。

上司「今日は遅くまで手伝ってくれてありがとう。」
自分「こちらこそ、今日はよい勉強になりました。ありがとうございました。」

さらに一歩進めるなら、相手を立てる言い回しを工夫することが大切です。相手のお詫びや感謝をいったん軽く否定してから、『こちらこそ』と続ける方法があります。ここでは「とんでもないです」「とんでもございません」といった一言が効果的に使えます。

上司「今日は遅くまで手伝ってくれてありがとう。」
自分「いいえ、とんでもありません。こちらこそ、今日は間近で課長の仕事を拝見できて、とてもいい勉強になりました。
ありがとうございました。」

3については、相手が本来お詫びや感謝を述べる必要のない場面で、社交辞令として発した言葉を、そのまま受け入れてしまうケースです。この場合、相手に本当にお詫びや感謝の必要性があったかのような印象を与え、かえって不愉快に思われる可能性があります。こうした場面でも「とんでもないです」といった言葉を添えると、丁寧な印象になります。

4の「〜方(ほう)」というフレーズは、たとえば「お釣りの方、お返しいたします」のような使い方を指します。言葉の響きが柔らかくなるという意見もありますが、日本語として不自然だと感じる人も少なくありません。ビジネスの場では使わないほうが無難です。

『こちらこそ』の別の表現法

「こちらこそ」を繰り返し使うと、単調な印象になりがちです。場面によっては、以下のような言い換え表現を使うと、より丁寧で洗練された印象を与えられます。

むしろ◯◯さん(相手)には◯◯です。

相手「今日はありがとうございました。」
自分「いいえ、とんでもありません。むしろ、お寒い中、このような遠くまでお越しいただきまして、◯◯さん(相手)には感謝しています。ありがとうございました。」

◯◯なのは◯◯(自分を表す言葉)です。

相手「先日は大変ご迷惑をおかけいたしまして申し訳ありませんでした。」
自分「いいえ、とんでもございません。お忙しい中、ご足労いただき、ご迷惑をおかけしたのは、わたくしどもです。申し訳ございませんでした。」

いずれの表現も、相手の言葉を一度受け止めつつ、自分側の立場を明確に示す点が共通しています。「こちらこそ」よりもやや丁寧な印象を与えたい場面で使い分けてみてください。

『こちらこそ』を使ったよく聞くフレーズ

『こちらこそ』は、ビジネスシーンのカジュアルな会話の中でも頻繁に使われます。それぞれの使いどころと注意点を確認しておきましょう。

「こちらこそです」
かなり短縮された表現なので、近しい同僚や先輩には使いやすいフレーズです。しかし、何に対しての「こちらこそ」なのかが明確でないため、相手は前後の会話から意味を推測する必要があります。目上の人に対しては失礼に受け取られる可能性が高いため、使う相手や場面を選びましょう。

「こちらこそ、どうぞよろしく」
挨拶の一部として、今後の関係に対する期待を伝えたいときに使われます。目下の人に対して使うには問題ありませんが、カジュアルな響きがあるため、目上の相手やあらたまった場面では別の言い方を検討したほうがよいでしょう。

「こっちこそ、ありがとう」
「こちらこそ」をさらにくだけた表現にする際に、「こちら」を「こっち」に言い換えることがあります。親しい間柄では自然な言い方ですが、ビジネスシーンではあまり使わないほうが無難です。

『こちらこそ』を用いた例文集

実際のビジネスシーンで使える例文をいくつか紹介します。会話の流れとあわせて確認してみてください。

相手「本日は貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。」
自分「いいえ、とんでもございません。こちらこそ、お忙しい中、弊社まで、ご足労頂きましてありがとうございました。」
相手「先日は期日ギリギリになってしまい、ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」
自分「いえいえ、とんでもございません。こちらこそ、多忙な中、ご無理をお願いいたしまして、申し訳ありませんでした。」

いずれの例文も、相手の言葉を一度否定してから「こちらこそ」を続け、具体的な内容を添えている点が共通しています。この型を覚えておくと、さまざまな場面に応用できます。

「こちらこそ」の英語表現

「こちらこそ」は、英語の”too”で表現することができます。

また、「こちらこそ、ありがとうございます」と伝えたい場合は、”Thank you”の”YOU”を強調して発音するだけでも、「こちらこそ」に近いニュアンスを伝えることができます。海外の取引先とのやり取りでも覚えておくと役立つ表現です。

「こちらこそ」についてのまとめ

  • 『こちらこそ』という言葉は、日常的に使われる言葉だからこそ、思わぬ失礼につながらないよう注意が必要です。
  • 特にビジネスで使う場合は、相手が目上の人でなくても、相手を立てる言い回しを心がけると、やり取りが円滑になります。
  • 状況に応じて、『こちらこそ』の前に、相手のお詫びや感謝を一度否定する言葉を入れることで、へりくだった印象を与えることも大切です。
  • 省略せずに、何に対する感謝やお詫びなのかを具体的に伝えることで、誤解や失礼を防げます。
  • 英語で「こちらこそ」は、”too”や”Thank you”の強調で表現できます。
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