この記事では、「一石を投じる」の意味や使い方、類語、対義語、英語表現について考察します。

新聞やテレビなどで「一石を投じる」という言葉を時々耳にします。なんとなくニュアンスはわかっても、正確な意味を問われると自信を持って答えられるでしょうか?

「一石を投じる」は、ビジネスシーンでも使われる言葉です。この記事を通して「一石を講じる」の正しい意味と使い方を理解しビジネスパーソンとしての知識を増やしてください。

「一石を投じる」の読み方・意味・使い方

渾身
「一石を投じる」とは、「反響を呼ぶような問題を投げかける」という意味で、「いっせきをとうじる」と読みます。

「一石を投じる」を使う場合は、その発言や行動が影響を及ぼすか、及ぼすであろうと思われる場合です。例えば、以下のような使い方は誤りと言えるでしょう。

・誰も発言する人がいなかったので、彼は仕方なく一石を投じました。
・何事も先手必勝。一石を投じることが大切ですね。

最初の例文の「一石を投じる」では、発言=一石を投じるという意味で使われています。ただ発言しただけでは、大勢に影響はないですね。また、次の例文は、正しい意味のように思えますが、必ずしも「一石を投じる」ことが、先手必勝ではありません。停滞しているような状況で、問題を提起するのが「一石を投じる」の正しい使い方です。

「一石を投じる」は、以下のように使います。

・彼女の政治的な発言は、日本における芸能人の在り方に一石を投じました。
・世間のLGBTへの偏見に対して一石を投じるために、彼は今回の選挙に出馬したのです。

このように、「一石を投じる」は、周りに対してなんらかの影響を与えるような場合に使われるのが一般的です。

「一石を投じる」の語源

例えば、静かな水面の池に石を投げ込んだ時をイメージしてください。池に石を投げ入れると、投げ込んだ場所を中心に波紋ができます。つまり、何もなかった水面に石を投げ入れることで波紋が生まれ、次々と波紋が広がっていきます。

このことから、問題提起をすることで議論がわきあがるような意味になりました。これが、「一石を投じる」の語源です。

「一石を投じる」ことで社会や生活が変わる

日本では、「波風を立てない」ことが美徳のように思われがちですが、「波風を立てない」ことで、組織や社会が硬直化して進歩のない状態になることも少なくありません。

「一石を投じる」ことは、社会や物事が変化したり発展するのに必要な行動です。「女性がなぜ投票できないのか?」という問題提起から女性の参政権が認められ、男女平等の精神が根付くきっかけになりました。

また、今では常識になっているオートフォーカスの一眼レフカメラですが、かつては一眼レフカメラにはオートフォーカス機能がなく、マニュアルでピントを合わせるのが常識でいた。自動でフォーカスを合わせられるカメラは、カメラ初心者が使う安物カメラとしてバカにされていたのです。

「一眼レフカメラでオートフォーカスはできないのか?」この問題提起から、世界初のオートフォーカスカメラであるミノルタのα7000が誕生し、一眼レフカメラの業界に「一石を投じた」のです。

「一石を投じる」のビジネス上での使い方

リフレクション
ビジネスシーンでも「一石を投じる」を使うことは少なくありません。ここでは、ビジネスでの例文をいくつか紹介します。

・開発会議で部長が一石を投じなければ、今回のヒット商品は誕生しなかったでしょう。
・売上の低迷が続く状況を打破するためには、だれかが一石を投じる必要があります。
・彼の育休取得が一石を投じると思われましたが、会社の状況に変化はないようです。

ビジネスにおいて、「一石を投じる」ことは勇気がいるものです。上司や同僚の顔色を窺っていては、そのような発言や行動は難しいかもしれません。しかし、会社の発展や改善のためには、思い切って「一石を投じる」ことも必要ですね。

但し、注意したいのは「一石を投じる」発言や行動が的確なものかどうかです。的外れの発言や行動では、影響を及ぼすどころか逆効果になってしまいます。

「一石を投じる」の類義語と例文

ゼロサムゲーム
「一石を投じる」の類語では、「波紋を呼ぶ」「物議を醸す」「議論を巻き起こす」「問題提起」「波風を立てる」などがあります。

波紋を呼ぶ(はもんをよぶ)
与える影響が大きく、関係者を動揺させること。

例文
・大臣の不用意な発言が大きな波紋を呼び、二国間に緊張が走りました。

物議を醸す(ぶつぎをかもす)
世間の議論を引き起こすこと。

例文
・王室から離脱した二人の在り方が、世界中で物議を醸しています。

議論を巻き起こす(ぎろんをまきおこす)
世間で問題を呼び、議論になること。

例文
・この作品は、主人公が衝撃的な結末が議論を巻き起こしました。

問題提起(もんだいていき)
問題や課題を解決すべき事項として投げ掛けること。

例文
・今回の事故は、AIの信頼性に対する大きな問題提起となりました。

波風を立てる(なみかぜをたてる)
物事をさらに面倒にすること。

例文
・波風を立てないように振る舞うことが、平穏な社会生活を送る秘訣です。

「一石を投じる」の対義語と例文

副業
「一石を投じる」の対義語は、「棚上げ」「店晒し」「ペンディング」「宙ぶらりん」「塩漬け」などがあります。

棚上げ(たなあげ)
問題を未解決の状態で、そのままにしておくこと。

例文
・ここまでクレームが多くなっては、責任問題を棚上げにしておくことは不可能です。

店晒し(たなざらし)
問題を未解決・未処理のまま、いつまでも放置しておくこと。

例文
・かねてから店晒しにしていた改善策を実行するタイミングは、今しかありません。

ペンディング
「保留」「先送り」「未決定」を意味する語。

例文
・部長の予定が不明ですので、今回の会議はペンディングということにしましょう。

宙ぶらりん(ちゅうぶらりん)
どっちつかずで中途半端な状態のこと。

例文
・もっと具体的な提案をしなければ、宙ぶらりんな状態のまま消えてしまいますよ。

塩漬け(しおづけ)
野菜・魚・肉などを塩で漬けること。そこから、動きのない状態。

例文
・多額の資金を塩漬けの状態にしないで、新しいチャレンジに活用したいものです。

「一石を投じる」の英語表現

気楽な仕事
「一石を投じる」の英語表現には、「create(cause) a stir」や「raise a question about」があります。

・The book has created a stir in the environmental problem.
 その本は、環境問題に一石を投じています。
・His works are known to cause a stir in the modern society.
 彼の作品は、現代社会に一石を投じました。
・He raised questions about the ways of the media.
 彼は、メディアの在り方に一石を投じました。

まとめ この記事のおさらい

・「一石を投じる(いっせきをとうじる)」は、「反響を呼ぶような問題を投げかける」という意味。
・水面に石を投げ入れると波紋が広がることが語源。
・「一石を投じる」の類語は、「波紋を呼ぶ」「物議を醸す」「議論を巻き起こす」「問題提起」「波風を立てる」など。
・「一石を投じる」の対義語には、「棚上げ」「店晒し」「ペンディング」「宙ぶらりん」「塩漬け」などがあります。
・「一石を投じる」の英語表現は、「create(cause) a stir」「raise a question about」。