個人事業主ってなに?納める税金と経費にできるもの・できないもの

※本サイトはプロモーションを含んでいます。

確定申告が近くなると、耳にすることが多くなる「個人事業主」という言葉は、会社員だとしっかり理解できない場合もあるでしょう。副業をしている場合には、個人事業主に相当することもあります。

ここでは、個人事業主とは、個人事業主が納める税金、経費にできるものとできないものを解説します。この記事を読む事で、個人事業主についてしっかり理解することができ、確定申告などで困らないようになります。

そもそも個人事業主とはなにか?

「個人事業主」の「個人」とは、株式会社等の法人を設立せずに自ら事業を行っている個人を意味しています。

一般的には、ひとり起業や家族のみ、または数人の従業員を雇っている場合もあるでしょう。個人事業主には従業員数には制限がなく、企業のように大人数の従業員を抱えることもできます。

「個人事業主」の「事業」は、独立・反復・継続がキーワードです。

独立とは、どこの組織(企業)にも属しておらず、該当の事業において、主は会社員でも公務員でもないという意味です。

一般の会社員が副業をしている場合、副業では会社員ではありません。アルバイトも、独立しているとはいえません。

反復・継続とは、仕事をある程度継続的に繰り返し行うことを意味しています。家にある不用品をネットオークションで一度だけ売った場合も、継続した活動ではないため事業とはいえません。

はじめたばかりでまだ継続できるかわからない場合も事業とはいえません。

個人事業主の助成金と補助金 制度の種類と対象を解説

開業届を出してから個人事業主になる

個人での事業が独立・反復・継続している上で、個人事業主として税務署に「開業届」を出すことで、個人事業主になることができます。開業届は、個人事業主として納税することを宣言する届け出です。

開業届とともに青色申告か白色申告かを決める

一般的に、個人事業主は青色申告申請を開業届と一緒に提出する人も多いでしょう。

個人事業主は、確定申告の際に青色申告と白色申告を選択できます。青色申告の申請には期限があるためです。

1月1日~1月15日までに新規開業した場合には、開業した年の3月15日まで、その他の開業時期であれば開業日から2か月以内が提出期限です。なにも申請しない場合は白色申告を提出します。

青色申告のメリットには、白色申告よりも税金の65万円の控除を受けることができる、赤字を3年間繰り越せる親族への給与を経費にできる、30万円未満のものを一括でその年度の経費にできることなどがあります。

白色申告よりも細かな帳簿の管理が必要になるデメリットはあります。白色申告は所得が少ないことが予想される場合や、始めて間もない場合には、帳簿も簡単で楽な申告でしょう。

個人事業主として運営している途中でも、白色申告から青色申告に切り替えることもできます。提出期限は、青色申告に変更する年の3月15日までが期限です。

個人事業主が納める税金

個人事業主は、国に納める税金として所得税と消費税、地方に納める住民税と個人事業税の4種類があります。

上記の税金は、確定申告さえ行えば、基本的に他のものは必要ありません。住民税と個人事業税は支払いの通知がきますが、所得税と消費税は通知さえないため、忘れずに自分で納税しましょう。

個人事業主が納める確定申告の期限と税金の納付期限は以下の通りです。

確定申告の期限
2月中旬から3月中旬
所得税納付の期限
その年の確定申告提出期限まで
消費税納付の期限
~3月31日
住民税納付の期限
6月:住民税の通知→一括で6月、または8月、10月、翌年1月の分割で納付
個人事業税納付の期限
8月:個人事業税の通知→一括か8月、11月の分割納付が可能
関連記事

個人事業主の払う消費税についての注意点

2年間の間の個人事業主は免税事業者と呼ばれ、消費税は開業して2年間は納めなくてもよいとされています。しかし、開業して2年以上たった個人事業主は課税業者になります。

小規模事業者の納税義務の免除もあります。前々年の課税売上高が1,000万円を越えていない場合、消費税は納める必要がありません。

課税売上高とは、免税事業者は売上高そのままのことです。課税業者であれば税抜き価格の合計で計算します。

消費税を上乗せしていない課税業者でも、税抜きの価格を計算して合計を求め課税売上とする事が原則です。

個人事業主の経費

経費とは、事業を行う上で発生した費用をさしています。一般的な経費である交通費や消耗品費のほか、自宅を仕事場にしている個人事業主なら家賃や光熱費も経費に計上できることがあるでしょう。

家事按分とは生活費と事業の費用を分ける事

家事按分(かじあんぶん)とは、自宅を仕事場にしている場合に生活費と事業にかかった費用を分けることをさしています。

しかし、家事按分には明確な割り振りの比率はなく、それぞれの個人事業主が定めます。

何%くらいが事業の売り上げに貢献したか、仕事場として使っている床面積の比率、仕事として使用する時間の比率など、合理的かつ客観的に判断した目安が示せれば問題ありません。

家事按分できる一般的な項目は、家賃、電気料金、ガス・水道代、通信費、自動車関連費用(購入代金・駐車場費用・ガソリン代・車検費用・自動車税)、打ち合わせや気分転換のカフェでの飲食代、個人的な付き合いもある取引先に対する慶弔金などがあるでしょう。

持ち家の場合には、家賃は発生しないため、固定資産税、住宅ローンの利子、火災保険料などを合計し、仕事場の比率などで経費として計算します。

しかし、住宅ローンの元金の返済分は、経費にはできないため注意しましょう。住宅ローン控除を受けている場合には、事業で仕事場として使用している広さ分は控除されなくなってしまう事にも注意が必要です。

個人事業主の経費に計上するのと住宅ローンの控除を受けるのと、どちらが得なのかを計算してみる事がおすすめです。

住宅ローン中の持ち家の50%以上を仕事場にしているときには、住宅ローンの控除自体を受けられなくなるため注意しましょう。

個人事業主で経費にできないもの

経費の中には、企業であれば基本的に従業員に対しての費用として経費に見なされるものもありますが、個人事業では経費と見なされません。

従業員に対してという概念をなくしてしまうと、個人事業主の経費の線引きが難しくなるためです。個人事業主では経費にできない意外な費用としては、福利厚生費、健康診断費などがあります。

所得税や住民税は、事業に関係なく発生する義務の納付であるため経費にはできません。

個人事業主についてのまとめ

  • 「個人事業主」の「個人」とは、株式会社等の法人を設立せずに自ら事業を行っている個人を意味しています。
  • 「個人事業主」の「事業」は、独立・反復・継続を意味しています。
  • 個人での事業が独立・反復・継続していれば、個人事業主として税務署に「開業届」を出すことで、その日から個人事業主になります。
  • 個人事業主が納める税金には、所得税と消費税、住民税と個人事業税の4種類があります。消費税は、開業して2年間は納めなくてもよい、前々年の課税売上高が1,000万円を越えていなければ納める必要がないとされています。
  • 自宅を仕事場にしている個人事業主の経費では、家事按分できる項目があり、家賃、電気料金、ガス・水道代、通信費などの一部が経費になるでしょう。
  • 経費にできないものには、福利厚生費、健康診断費、所得税や住民税などがあります。