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あまり使うことのない「恣意的」という言葉は、読み方も意味もしっかり理解していない人も多いでしょう。また、似ている言葉と意味を混同している人も多いようです。ここでは、恣意的の読み方と意味、使い方、意図的・偶発的・作為的との違い、恣意的の類義語、英語表現などをご紹介します。しっかり正しく理解して、語彙力をアップできます。
恣意的の読み方と意味
恣意的は、「しいてき」と読みます。
恣意的の意味は、2つあります。
ひとつめの意味は、恣意的の漢字「恣」の意味に由来して、気ままで自分勝手なさま、その時々の思いつきで振舞ったり、判断したりすることとなっています。
漢字の「恣」自体に、勝手気まま、ほしいままの意味があるからです。
ふたつめの意味は、論理的に必然性がないという意味になります。この恣意的の意味は、恣意的の漢字からきているの意味とは由来が違います。
言語学者であるソシュールが、「arbitraire」というフランス語の専門用語の訳として恣意的を採用したことにあります。フランス語の「arbitraire」には、理論がないが選択肢がある、任意などの意味があります。
基本的にはひとつ目の意味で使われることが多いですが、恣意的の意味を他の言葉と比較して考える時にはふたつ目の意味もおさえておくと、わかりやすいでしょう。
恣意的の使い方
恣意的の一般的な使い方では、自分勝手や思いつきという形の使用ですが、中でも社会や会社での他の人との関係性の中で使われることが多いでしょう。
自分にしか関わらない自分勝手は、ただの自分勝手で恣意的は使わないでしょう。
たとえば、食事の直前におやつを食べるのは自分に関わる勝手なので、「食事の直前に恣意的におやつを食べる」とは表現をしません。
また、恣意的は目的があって自分勝手をするわけではないですが、結果として悪いことが起こったときに使われる傾向もあります。
これは、恣意的のふたつ目の意味である論理的に必然性がない、だから悪い結果が起こることが多いという傾向にあるといえます。
さらに、恣意的の使い方が、一時期ネット上で話題になったことがあります。その時には、恣意的は偶発的、ランダムという意味合いで使うのが正しく、意図的に近い意味合いで使うのは間違いとされました。しかし、前後の文脈や誰の自分勝手と解釈するかでどちらも正しい場合もあるでしょう。
そのため、恣意的の意味の解釈は、基本的には「勝手気まま」ではありますが、人によって解釈に幅があるということは覚えておきましょう。誤解を避けたいなら、別な言葉で言い回すのが無難です。その場合は後述する類義語を参考にしてください。
恣意的の例文
恣意的と意図的の違い
意図的には、はっきりとした目的があるという意味があります。“わざと”に近い意味があるといえるでしょう。対して、恣意的は思いつきであり、目的などはまったくないという違いがあります。
たとえば、「意図的な判断で事故が起こった」とすると、何かの目的があり事故が起こるような判断をわざとしたと解釈できます。
「恣意的な判断で事故が起こった」とされたら、だれかの自分勝手な判断のせいの事故が起こったと解釈できます。もしくは、前後の文脈によっては、天の恣意的な判断でなどと解釈することもできるでしょう。
恣意的と偶発的の違い
偶発的とは、偶然、または思いがけず(意識しないうち)に起こることの意味があります。恣意的は思うままなので、思いがけず起こったことにはならないでしょう。
たとえば、規則を恣意的に運用することはあっても、規則を偶発的に運用するとは一般的にはいいません。
運用するのは自由気ままにすることはできますが、思いがけず(意識しないで)運用することできないからです。(ただし、運用する立場や役目に偶発的になることの意味合いでは、成り立ちます。)
恣意的と作為的の違い
作為的とは、故意に何かをすることをいいしていますが、そこには不自然さがあるさまも意味しています。そのため、なにか悪いことをする時に使われるでしょう。
恣意的も悪い結果が出た時に使われることが多い言葉ですが、もともと悪い結果のためになにかをするという目的意識は伴わない言葉です。たまたま悪い結果になっただけで、恣意的という言葉で必ずしも悪い結果が起こるとは限りません。
たとえば、「作為的な犯行予告で警察が混乱する」とすると、警察の混乱の原因は手の込んだ犯行予告など効果的な予告で計画性があることがわかります。
しかし、「恣意的な犯行予告で警察が混乱する」とすると、犯行予告そのものよりも気ままな犯行予告の内容やタイミングなど理論のない行動で単純に警察が混乱するように解釈できるでしょう。
恣意的運用が問題視される理由
法律や規則が「恣意的運用」されることについて、度々問題となっています。元からある法律や決まりを、思いつきのままに運用してしまうという問題ですね。
例えば国会では、2020年3月に「改訂新型インフルエンザ特措法」が成立した際に、日本共産党の小池晃書記局長は充分な時間をかけた審議がなされなかったとして、
「私権の制約、恣意的な運用がなされないよう厳しく監視をしていきたい」とコメントしています。
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-03-14/2020031401_04_1.html
また警察が法律を恣意的運用する可能性について声をあげる団体もあります。
近年、過度の取り締まりによりスナックの経営者が逮捕されるケースが増えており、それを「法の恣意的運用」だとする声が上がっています。
スナックなど夜間に営業している店は「風俗営業法」をもとに規制対象となっていますが、突然の立ち入りや営業停止を命じられる店が多くなり、通常の営業ができないという声もあります。
https://www.zenshoren.or.jp/keiei/keiei/180723-11/180723.html
経営者や個人が法の恣意的運用から身を守るためには、関係する法律について理解しておく必要があります。理不尽な要求をされた時に自分や社員、家族を守るためにも、今一度自分の関わる事業に関連する法律に精通しておきましょう。
恣意的なアンケートとは
報道や情報番組を見ていると、必ずと言っていいほど
「○人に聞きました!」等のアンケート結果が出てきます。
人は数字が出ると信頼してしまう傾向があるのですが、実はアンケートは恣意的な誘導が可能であり、注意が必要です。
例えば、「移民の受け入れについて賛成ですか?反対ですか?」というアンケートでも、
「移民の受け入れにより、国民の失業率が上がっているようです。移民の受け入れについて賛成ですか?反対ですか?」
と聞くとアンケートの結果は変わるかもしれません。
このように、メディアで取り上げられるアンケートは恣意的な誘導がされている可能性があるため、注意が必要です。本来であれば、このような文章は調査業界では御法度とされています。アンケートの出題者が公平な表現をし、正当な結果を出す事は鉄則だからです。
このアンケートは本当かな?と思った時には、質問文を読み返してみましょう。
恣意的なうそとは
人は、意図的にではなく恣意的にうそをついてしまう時があります。例えば、面接で受かりたいためにとっさについてしまううそなどがあるでしょう。
一部の企業等では、恣意的なうそを避けるために簡単な心理テストを用いるようです。心理テストの場合恣意的なうそが入り込まず、より人格特性を知ることができると言われています。
恣意的の類義語と類義語の例文
類義語には、意味に近い「自由気まま」「気の向くまま」だけでなく、「独断(自分だけで判断すること)」「任意(思いのまま、自由意志にまかせること)」「利己(自分の利益だけを大切にして他人のこと計んないこと)」などの類義語もあるでしょう。
類義語の例文
恣意的の対義語
恣意的の対義語には下記のようなものがあてはまります。
恣意的の英語表現
「恣意的」の英語表現は、arbitrary(恣意的な)、またはarbitrarily(恣意的に)があるでしょう。
His arbitrary criticism has caused a scandal.
You must not judge that arbitrarily on your own.
恣意的のまとめ
- 恣意的は、「しいてき」と読みます。
- 意味は2つあり、「気ままで自分勝手なさま、その時々の思いつきで振舞ったり、判断したりするさま」「論理的に必然性がない」となります。
- 恣意的の使い方は、社会や他の人との関係性の中での自分勝手に対して使われることが多いでしょう。
- 恣意的の意味の解釈は、基本的には「勝手気まま」ですが、人によって解釈に幅があるということは覚えておきましょう。
- 恣意的と意図的の違いは、目的がないかあるかの違いがあります。
- 恣意的と偶発的には、意識があるかないかの違いあるでしょう。
- 恣意的と作為的の違いは、目的意識を伴わないか伴うかにあります。
- 恣意的の類義語には、「独断」「任意」「利己」などもあるでしょう。
- 恣意的の対義語は、「規則的」「機械的」「一貫」などがあります。・恣意的の英語表現
- 恣意的の英語表現は、arbitrary(恣意的な)、またはarbitrarily(恣意的に)があるでしょう。