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折衝というと、仰々しい言葉で難しいイメージですが、実は日常生活でもビジネスシーンでも日々行っていることです。しかし、ビジネスの顧客折衝となると苦手意識がある人も少なくないでしょう。
ここでは、顧客折衝とは何か、交渉との違い、ビジネスでの顧客折衝で大切な2つの視点、初歩的な顧客折衝のポイントを解説します。
顧客折衝には経験も必要ですが、できることから実行することで、顧客折衝を上手く進められるようになります。
顧客折衝とはそもそもなにか?
顧客と折衝からできる「顧客折衝」という言葉は、折衝の意味が大切です。
「折衝」とは、有利に事が運ぶように、相手との駆け引きをすることをいい、一般的には政治や外交の世界でもよく使われる言葉です。
ビジネスシーンでも、顧客と折衝する機会があります。営業職だけでなく、接客業やSEなどのIT業界など様々な業界・職種で必要なスキルです。顧客と1対1のときもあれば、グループ対グループのこともあるでしょう。
顧客と利害が一致しないときでも、問題や課題解決のために折り合いをつけることが顧客折衝です。
決して押し付けることのないように、お互いが納得できる妥協点を探ることが大切です。
顧客と折衝する職種に関連する記事は以下の通りです。
営業トークで使えるバーナム効果意味と使用例をまじえ解説
営業職を目指す場合の職務経歴書の基本や要点を詳しく解説
SE(システムエンジニア)を志望する際の志望動機について
「社内SE」と「開発SE」の違いと「社内SE」の具体的な仕事内容
交渉と顧客折衝の違い
折衝に似た言葉に、「交渉」があります。折衝は折り合いをつけることなので、基本的に相手が難色を示しているところから話が始まります。それに対し、交渉はこちらから情報提供をすることから始まります。
折衝の方が説得する局面が多く、上手く話を進める力が必要でしょう。また、交渉の方が、お互いが得をする着地点を見つけられることが多い傾向にあります。
折衝の場合には、Win-Win交渉になるとは限りません。だからこそ、顧客折衝にはビジネスパーソンとしての経験が必要であり、顧客折衝能力が高い人は評価されるでしょう。
顧客折衝で大切な2つの視点
顧客折衝で折り合いをつけるまでに至るには、伝えたいことを正確に伝えること、顧客の希望を分析すること、わかりやすい話の進め方が重要です。そのためには、以下の2つの視点を忘れないようにしましょう。
顧客視点
顧客折衝では、顧客が知りたいことをもれなく伝えなければ、折り合いをつけれないでしょう。
ビジネスシーンでは、折衝する=説明する側は、商品やサービスがどのくらい優れているかを説明してしまいがちです。
しかし、顧客が知りたいのは、商品やサービスによって、問題や課題がどう解決されるか、そのためのコスト=値段、導入するまでの期間や解決までにかかる期間などでしょう。
商品やサービスがどれほど優れているかは、実はあまり関係がありません。顧客にしてみれば、優れていれば、すべてが解決されるとは限らないのです。
専門性の高い性能の話を延々とされても、感心することはあっても、納得できることはないといっても過言ではありません。
顧客視点で知りたいことを伝えきらないと、いつまでも折り合いをつけることはできないでしょう。
リスクマネジメント視点
ビジネスでは、計画通りに進むことはほぼないといえます。万が一のリスクを想定して折衝しなければ、途中でトラブルに至ることも考えられます。
具体的な複数の計画や見積を出したり、スケジュールは余裕をもって設定したりすることも大切です。また、顧客は具体的な数字で知りたがることが多いので、なるべく準備・計算をしておきましょう。
折衝の段階から丁寧に対応することで顧客と信頼関係を築ければ、途中でトラブルがあっても挽回しやすくなるメリットもあります。
ですから、顧客折衝は、話で顧客と折り合いをつけるというよりも、事前の準備が大切ともいえます。
リスクマネジメントに関して詳しく知りたい方には以下の記事がおすすめです。
顧客折衝力が高い人の特徴
顧客折衝力が高い人には、ある程度共通する特徴があるものです。この項目では、その特徴としてよく挙げられるものを3つご紹介します。
コミュニケーション能力が高い
顧客折衝は様々な立場や考えの人と話をするという性質上、顧客折衝力が高い人はコミュニケーション能力も高いことが多いです。相手が言っていることからその考えや要求していることを理解したり、また自分の意見を相手に分かりやすく伝えたりするには、高いコミュニケーション能力が欠かせません。
相手の言っていることを正確に理解できなければ話が進まないばかりか、最悪の場合顧客折衝に失敗してしまう恐れもあります。また自分の意見を分かりやすく伝えられなければ、お互いが納得する折り合いをつけることが難しいでしょう。
相手目線で考えることができる
人はどうしても自分の立場や都合で物事を考えてしまうものですが、お互いが自分のことだけを考えていてはいつまで経っても顧客折衝がまとまりません。そのため顧客折衝力が高い人は、相手目線で考えることができる能力があります。
相手の要求の本質はどこにあるのか、相手が絶対に譲れないポイントはどこかなどをリアルにイメージすることができれば、顧客折衝が成功する確率は高まることでしょう。
この能力は顧客折衝に限らず、日常生活や他のビジネスシーンなど幅広い場面で応用することができます。なぜなら良好な人間関係を築く上では、相手の立場や都合を考えてあげる必要があるケースが多々あるからです。
自分とは意見が合わないからと遮断するのではなく、日頃から色々な立場の人の意見に耳を傾けてみると良いかもしれません。
具体的な代替案を提示することができる
お互いが自分の要求を主張するだけでは、どれだけ話し合っても顧客折衝がまとまりません。そこで重要なのは、具体的な代替案を提示することです。
お互いの言い分を伝え合ったところで、「では○○の点は御社の意見を採用し、△△の点については弊社の提案にて話を進めるというのはいかがでしょうか」といった具合で具体的な代替案を提案します。
その代替案に具体性や説得力があるものであれば、その顧客折衝がうまくいく確率が高くなるでしょう。したがって具体的な代替案を提示することができる人は、顧客折衝力が高い人です。
顧客折衝を誰でもできるようになるためのポイント
顧客折衝は、経験がなければうまくできないと思っている人も多いでしょう。
しかし、どんな職種でも、多かれ少なかれ、経験に関係なく顧客折衝をする機会はあります。だれでもできる、初歩的な顧客折衝のポイントをご紹介します。
相手の目を見て話す
顧客折衝をしていると、商品やサービスを説明することに一生懸命になってしまい、ついつい相手の目を見て話すのを忘れがちになってしまいます。
優れたものがすべてを解決するとの思い込みもあるでしょう。しかし、折衝においては信頼関係も大切です。
どんなに商品やサービスが優れていても、折衝する人から納得できるような真摯な態度や思いを顧客が感じなければ、優れていることも伝わらなくなってしまいます。
相手の目を見ながら話すのは、顧客折衝の基本中の基本です。
相手の話をまずは受け入れる
顧客は、商品やサービスについて知っているプロフェッショナルではありません。とんでもない希望や要求をしてくることもあるでしょう。しかし、要望をいきなり否定してしまうと、顧客のプライドが傷ついてしまい、頑なになってしまう可能性が高いです。
「おっしゃるとおりですね」などのワードを使いながら、どんな話でも一度は受け止める努力をしましょう。そこから自分が考える折り合いの方向に話を持っていく方が、遠回りのようで近道になります。
また同じように、同意を表す言葉に「なるほど」という言葉がビジネスで多々使われていますが、ビジネス上で使う言葉としては適していません。
以下の記事では「なるほどですね」がビジネスで適していない理由と、正しい同意の言葉について解説しています。
「なるほどですね」は正しい?ビジネスで使える適切な表現と例文集
また、「顧客折衝」に関連して、相手とのやりとりで有利にすすめるために必要な、「折衝力」については以下の記事で解説しています。
折衝力(せっしょうりょく)とは 交渉を優位にするために必要な技術
顧客の言葉を使う
顧客に説明をするときには、専門用語を使わないのは鉄則ですが、なるべく顧客の言葉をコピーして使うようにしましょう。
心理学ではミラー効果といわれ、信頼関係を築くために有効な手法のひとつです。
また、折衝の過程では、こちらの提案に納得しかけてきたときには、顧客が提案を自分が発信したかのように話す瞬間があります。
そのときには、その機会を逃さず話をまとめてしまいましょう。顧客に気持ちよく折り合いをつけてもらうのが、折衝の一番の目的です。
第三者目線で考えてみる
折衝でも、顧客も折衝する側も煮詰まってしまうことがあります。そんなときは、お互い一歩引いて考えてみるのがよいでしょう。
問題や課題の真ん中にいると、他の要素が目に入らなくなってしまいます。客観的になってみることで、解決への糸口や別なアプローチ、意外な解決法がみえることもあるでしょう。
万全の事前準備が大切
ビジネスでのプロセスは、100%成功はないものと考えておくのがベターです。
リスクマネジメントの視点でも同じことを言いましたが、一番は成功する計画、準備をすることです。
準備してもトラブルは起きてしまったときには、正直に顧客と向き合い、打開策を模索していくしかありません。
そのためにも、初歩的な段階から顧客と信頼関係を築いておくのが重要です。最初から顧客の目を見て話すことは簡単なことですが、折衝の中では思った以上に大切であることがわかるでしょう。
顧客折衝力が求められる職業・職種
世の中には顧客折衝力が求められる職業・職種が存在します。自分の能力を活かせる仕事を探す上では、どのような職業・職種が顧客折衝力を求められるのかを知っておいた方が良いでしょう。
そこでこの項目では、顧客折衝力が求められる職業・職種を3つピックアップしました。
営業
顧客折衝力が必要な職種として真っ先に思い浮かぶのは営業だという人が多いかもしれません。それくらい営業には顧客折衝力が求めれる機会が多いといえます。
なぜなら相手の言い分をそのまま聞き入れては自社の利益を出すことができませんし、自社の要求を主張する一方では取引をしてもらえないからです。そのためお客様の要求を傾聴しながらも、自社にとってどれだけ有利な条件を引き出すことができるかが重要だと言えます。
SE
IT業界で働いている人にとっては、顧客折衝力が求められる職業としてSEが当てはまることに異論がないでしょう。IT業界と接点がない人からすると、SEは黙々とパソコンに向かって作業をしているだけで、あまり人と話す機会がないというイメージがあるかもしれません。
しかしながら、SEはシステム開発などの際にお客様と打ち合わせをすることが少なからずあります。もしお客様にシステム開発の知識がなかった場合、実現不可能な予算や納期を要求されることがあるかもしれません。
そんな時にSEは分かりやすい言葉を使いながらお客様の要望を汲み取り、なおかつ現実的な予算や納期で折り合いをつけるように話を運ぶ必要があります。そのためSEは顧客折衝力が求められる職業だといえます。
接客業
接客業は日頃からお客様とやり取りをすることが多いので、顧客折衝力が求められる職業です。それは飲食業やアパレル、家電量販店や小売業などどの業界においてもいえることでしょう。
例えば家電量販店において、店舗の売上がなくなるほど過剰な値引きを要求するお客様の接客に当たったとします。お客様の要望をそのまま受け入れると店舗の売上がなくなるどころか、赤字になってしまう恐れまであるかもしれません。
そんな時に顧客折衝力があれば、アウトレット商品でも所望されている商品と機能がほとんど変わらないのに安くできることなどを提案して、お客様の要望と店舗の売上の両立を図ることができます。このように接客業においても顧客折衝力は重要です。
顧客折衝についてのまとめ
- 「顧客折衝」とは、顧客と利害が一致しない時でも、問題や課題解決のために折り合いをつけることをいいます。似ている言葉「交渉」との違いは、始まりにあります。
- 交渉は情報提供から始まりますが、折衝は相手が難色を示しているところから始まります。
- 顧客折衝では、大切な2つの視点があります。ひとつめの顧客視点は、顧客の欲しい情報を提供するために欠かせません。また、リスクマネジメントの視点も、のちのトラブルのためにも重要です。
- 顧客折衝は、ビジネス経験がなくては難しいと思われがちですが、初歩的な顧客折衝のポイントを抑えるとビジネスで役立ちます。
- 相手の目を見て話すことは信頼関係を築くため、相手の話を否定せずにまずは受け入れることは折り合いをつけるため、顧客の言葉を使うのはわかりやすく伝えるためと折り合いに近づくため、第三者目線で考えてみるのは滞った折衝を進めるため、万全の事前準備はリスクマネジメントのために、それぞれを実行してみてください。
- 顧客折衝力がある人の特徴としてコミュニケーション能力が高いこと、相手目線で考えることができることなどが挙げられます。
- 顧客折衝力が求められる職業・職種は営業やSE、接客などが考えられます。