「ご説明させていただきます」「ご案内させていただきます」など、ビジネスシーンでは「させていただく」という表現をよく耳にしますね。ただし、この「させていただく」は、使い過ぎると無礼な印象を与えてしまうことがあります。正しい用法と注意点をしっかり確認しておきましょう。

「させていただく」とはどういう意味か

「させていただく」は、「させてもらう」の謙譲表現です。相手に許可を求めて、ある行為を遠慮しながら行うことを表します。例えば「早退させていただけますか」のように使います。

「させていただく」はどのようなときに使うか

文化庁「敬語の方針」によると「させていただく」は、自分が行うことに対して次の条件を満たすときに使うのが適切とされています。

(A)相手側や第三者の許可を受けて行う場合
(B)そのことで恩恵を自分が受けるという事実や気持ちがある場合

上司等に対して「早退させていただけますか」と許可を求める表現は、(A)(B)の条件を満たすので、適切と考えられます。迷った時には、このポイントをチェックするといいですね。

「させていただく」の正しい使い方

「させていただく」の正しい使い方は以下の通りとなります。

許可を受けるとき

相手に許可を受けたとき、あるいは許可を受けたいときに「させていただく」と言うのは、正しい使い方です。

例文

喜んで出席させていただきます
体調が悪いので、早退させていただけますか

依頼を受けたとき

以下のように、式典などで依頼を受けた場合に使うケースも、許可を受けたとみなせるので適切です。

例文

本日の司会をさせていただきます
僭越ながら、ご挨拶をさせていただきます

「させていただく」の誤った使い方

「させていただく」の誤った使い方は以下の通りとなります。

相手に迷惑をかけている場合はNG

許可を得ていない場合に、相手にとって迷惑な行為に対して「させていただきます」と言うのは不適切な表現です。このようなケースでは、許可を求める表現を補足しましょう。

例文

× 仕事を辞めさせていただきます
⇒ 仕事を辞めさせていただきたく、お願いできますでしょうか
× 急用ができたので、早退させていただきます
⇒ 急用ができたので、早退させていただけますか

役職等を述べるときには不要

役職等を述べる場合に「させていただく」を使うのは、相手に許可を得る行為ではないため、不適切です。
例文

× 営業部長を務めさせていただいております  ⇒ 営業部長を務めております
× 会計係を担当させていただいています  ⇒ 会計係を担当しております

二重敬語に注意

「拝見する」などの謙譲の意味を持つ敬語動詞のあとに「させていただく」と言うのは、二重敬語となり、誤りです。
例文

× 拝見させていただきます   ⇒   拝見いたします
× 頂戴させていただきます   ⇒   頂戴いたします

「さ入り言葉」に注意

以下のような「さ入り言葉」は、文法的に誤りです。使わないように注意しましょう。
例文

× 休まさせていただきます  ⇒  休ませていただきます
× 読まさせていただきます  ⇒  読ませていただきます

「させていただきます」は「いたします」に言い換え

丁寧に言いたい余りに「させていただく」を頻繁に使ってしまうと、ひとつひとつの表現は誤りでなくても無礼な印象を与えてしまうことがあります。
「させていただく⇒いたします」「させていただく⇒です」と言い換えることを心がけましょう。
例文

資料を添付させていただきます ⇒ 資料を添付いたします
弊社製品について説明させていただきます ⇒ 弊社製品について説明いたします
締め切りは今月末とさせていただきます ⇒ 締め切りは今月末といたします / 締め切りは今月末です

「させていただく」の例文

[許可を求める]
・職場を見学させていただけますか
・本日は早退させていただけますか
[許可、好意を受けて]
・お言葉に甘えて参加させていただきます
・ご依頼の資料を送付させていただきます
[会合などで依頼を受けて]
・乾杯の音頭をとらせていただきます
・私のお祝いの言葉とさせていただきます
[顧客等、敬意を示すべき相手に対して]
・弊社商品をご紹介させていただきます
・弊社商品をご紹介いたします
・弊社商品をご紹介申し上げます
・本日中に、ご連絡させていただきます
・本日中に、ご連絡いたします
・本日中に、ご連絡申し上げます

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まとめ

ビジネスの場では、お客様や取引先に対して敬意を表する「させていただく」はよく使われる重要表現のひとつです。
過剰に使いすぎないよう注意しましょう。