耽美の意味と使い方 対義語と類義語を例文合わせて解説

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この記事では耽美について、言葉の意味、使い方、別の言い回しや英語表現について解説いたします。

「耽美」という言葉はよく芸術作品や文学作品などの批評で「これは耽美だ」のように使われますが、漢字からは意味が推測しづらく実際にその意味を理解出来ていないことは少なくないです。

この記事を通して言葉の意味を理解し、本来はどのようなものに対して使われる言葉なのかを知ることができ、芸術作品の批評をよく理解できるようになるでしょう。

耽美の読み方・意味・使い方

「耽美」は「たんび」と読みます。意味は「美を最高の価値として、ひたすらその世界に心を傾け陶酔すること」です。

「耽美」は単に美しいという言葉ではなく、ただひたすら美に魅了され、狂ったように美を追求し、他のものに価値はないといった表現の際に使われます。

現代の耽美は毒気を含んだ美も含まれる傾向があり、例としては病弱、破滅、官能、死、影、悪、闇、悲哀、狂気など、社会の中では敬遠されがちなものであっても美を追求すれば関係ないとされます。

「耽美」はよく芸術作品などの批評の際に使われます。

耽美の例文

耽美の例文には以下のようなものがあります。

「君にはわかるか、彼女のあの耽美的な姿勢が。彼女はあの作品に自らの命を燃やしているのだ。」
「単なる耽美主義の作品だと思っていたが、見るたびに発見があり意外に奥が深い絵であることがわかった。」
「過疎化により荒廃し、人気のなくなった町の朝焼けはどこか耽美な雰囲気を醸し出していた。」

耽美の類義語

耽美の類義語には以下のようなものがあります。

  • 甘い
  • 情緒的な
  • 甘美な

耽美の類義語としては「心に響くような情緒的な性質」を意味する言葉が多いです。
耽美の類義語としては「耽美的」と「耽美派」、「耽美主義」といった言葉がよく使われます。

「耽美的」の意味は「道徳や倫理から外れたとしても美を極める性質を持ったもの」というものです。「耽美派」の意味は「道徳や倫理から外れたとしても美を極めることを追求する一派」というものです。

また、耽美主義とは「道徳功利性を廃して美の享受・形成に最高の価値を置く西欧の芸術風潮」です。

他にも「耽美小説」というものがあります。耽美小説とはひたすら美しく幻想的な小説のことです。耽美小説家としてはイギリスのオスカー・ワイルドなどが有名です。日本では明治末期から大正初期にかけて、永井荷風や谷崎純一郎が代表的な耽美小説の作者だとされています。

最近では耽美小説をBL作品だと捉えられていることがあるようですが、あくまで同義ではないということを注意しましょう。

耽美の対義語

耽美の対義語としては以下のようなものがあげられます。

  • 自然
  • 現実的
  • 実用的

耽美的は人為的に、意図的に美を追求することであり自然のようなありのままであるという表現は対義語となります。

また美を最高の価値とし、他のものは切り捨てるという考え方であるため、何も切り捨てることが出来ない現実世界、リアリティなどの言葉が対義語となります。

芸術作品の方向性として「耽美主義」をあげました。
その他のものとしては以下のようなものがあげられます。

  • 古典主義

古代ギリシャ・ローマ作品を規範とし、理性・調和・形式美を追求する芸術風潮です。特徴は古代ギリシャ・ローマの文学を規範とし、簡素な形式と自然を尊重し、良識を尺度として人間の普遍的真実を探求、ジャンルの峻別、三統一の規則等の文学理論を実践した点になっています。

  • ロマン主義

18世紀末にヨーロッパで生まれた芸術運動で、視覚芸術のみならず、文学音楽などあらゆる表現で見られた知的運動です。最大の特徴は、過去や自然への賛美、また個人の感情や主観に重点を置いて表現することです。

  • 写実主義

一般的に主題とする対象を率直に描く表現スタイルです。近代美術における写実主義または自然主義は、同時代における世俗的、卑しい、卑劣な現実を強調的に描写する作品のことです。

  • 印象主義

19世紀後半にフランスで発生した芸術運動です。フランスの保守的なアカデミー美術展覧会「サロン・ド・パリ」に反発して、独立した展覧会に参加していた画家たちを一般的に印象派と言います。

  • 象徴主義

フランス、ロシア、ベルギーを起源とする19世紀後半の芸術運動です。直接的に視覚で出来ない概念、意味、価値などを連想させる具体的事物や感覚的形態によって間接的に表現することとなります。

私悪芸術における象徴主義は、文学とはスタイルが異なり、ロマン主義や印象主義においてゴシック的な要素が見られる作品のことを指します。

多くの芸術風潮が存在し、それぞれによって重点を置く場所に違いがあります。
これらを理解し芸術作品などに触れられたらより深く内容を読み取ることができるでしょう。

類義語と対義語の例文

類義語の例文には以下のようなものがあります。

「甘ったるいチョコレートもコーヒーと一緒なら程よい甘さになる。」
「この画家は若い頃はテクニックに走る傾向があったが、年齢を重ねるにつれて情緒的な表現を身につけて、より魅力的になった。」
「突然流れてきた甘美な音楽に、道を行き交う人は足を止め、いつの間にか聞きいってしまっていた。」

対義語の例文には以下のようなものがあります。

「初めて入ったカフェはとても自然な雰囲気で、そこにいるだけで和やかな気分になることが出来た。」
「現実的に考えて、この土地にショッピングモールを立てるべきではない。もう一度計画書を見直すべきだ。」
「このリュックサックはとても実用的でポケットが通常の2倍だったり濡れないようになっていたりします。」

耽美の英語表現

耽美の英語表現は「aesthetics」もしくは「a fondness for[an obsession with] works of art and beautiful things」(訳:芸術作品や美しいものへのこだわり)です。耽美主義はもともと西欧の芸術風潮であり「aetheticism」といい、耽美的は「aesthetic」です。

耽美の語源として「esthetic」というものがあります。「aethetic(耽美)」とは1文字違いで、意味は「審美的」となっています。「審美的」の意味は「美を的確に見極めようとするさま、美を深く追求するさま」です。

耽美と非常によく似た意味であることがわかります。これから耽美や耽美主義という言葉が派生しました。

耽美の英語表現の例文には以下のようなものがあります。

「The movement of estheticism became hot in the late 19th century.」
訳:耽美主義の運動は19世紀後半に活発になった。
「people in a position called aesthetic school」
訳:耽美派という、美に最高の価値を置く文学者や芸術家
「The buildings I like the best are the one that are functional and aesthetically appealing.」
訳:私が最も好きな建物は、機能的であり耽美的な訴えもあるものだ。

まとめ この記事のおさらい

  • 「耽美」の意味は「美を最高の価値として、ひたすらその世界に心を傾け陶酔すること」
  • 「耽美」は単に美しいという感情ではなく、ただひたすら美に魅了され、狂ったように美を追求し、他のものに価値はないといった表現
  • 耽美小説の代表例は「谷崎純一郎」「永井荷風」
  • 耽美主義以外の芸術風潮は「古典主義」「ロマン主義」「写実主義」「象徴主義」「印象主義」など
  • 「耽美」の類義語は「甘い」「情緒的」「甘美」
  • 「耽美」の対義語は「自然」「現実的」「実用的」
  • 「耽美」の英語表現は「aesthetics」もしくは「a fondness for[an obsession with] works of art and beautiful things」
  • 「耽美」の語源は「esthetic」「審美的」、意味は「美を的確に見極めようとするさま、美を深く追求するさま」