「モラル」とは?|マナーとの違いなどわかりやすく解説

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この記事ではモラルについて解説しています。人々の生活意識や価値観の多様化によって、社会的な行動の規範となるモラルのあり方も大きく変化しています。多様化と複雑化が進む現代社会ではモラルが異なる人々の間で軋轢が生じることも少なくありません。

そこで本稿ではモラルの意味や使い方を解説するとともに、「モラール」や「マナー」との違いをはじめ、現代社会で深刻化するモラルハラスメントの意味とモラルの類義語や対義語など幅広い視点から考察していきます。

モラルの意味と使い方


「モラル」の語源は英語の「moral」です。意味は「道徳」「倫理」「道徳意識」「倫理観」などをあらわします。「モラル」は法律や規則の有無とは関係なく、物事の善悪を個人の良識や社会的慣習から判断して正しく行動するための基準となる概念をあらわす言葉です。

たとえば身勝手な人のことを「モラルに反する」「モラルがない」などと表現します。「モラルがない」とは「常識や良識がない」という意味です。良い意味ではありませんが極悪非道というほどではなく、「社会人としての品格を欠く」というニュアンスで使われます。

モラールとは

「モラル」とよく似た言葉に「モラール」があります。一般にはなじみの薄い言葉ですが、ビジネスシーンでは「Z世代の若者は総じてモラールが低い」とか、「新たな目標を得てチームのモラールが高まった」などの表現で使われます。

「モラール」の語源は英語の「morale」です。日本語では「志気」「士気」「労働意欲」などと訳される言葉です。もとは兵隊の戦闘意欲や精神的な耐久性をあらわす軍隊用語でしたが、やがて一般企業に勤める従業員の勤労意欲を示す意味でも用いられるようになりました。

経営学におけるモラールは個々の従業員よりも組織や集団の団結力や職務意欲を意味することが多く、組織や従業員の業績とモラールの相関性を実証的に分析して、その結果をもとに人事や労務管理などの改善を行う手法が追求されています。

経営学でモラールを評価する指標としては組織の運営方針や作業条件、社会的地位、上司の監督方法、従業員の個人的条件や待遇などがあげられます。モラールは基本的に組織としての勤労意欲を示す概念であり、個人の勤労意欲は「モチベーション」というのが基本です。

一方、「モラル」は前述のように社会的な常識や正しい行為の規範を意味する言葉です。モラルは人それぞれに異なる道徳や倫理観にもとづく判断を意味する言葉であり、「モラール」のように企業レベルの組織を対象とした科学的な分析指標ではありません。

「モラール」と「モラル」は専門家でも混同してしまうほど似ている言葉ですが、意味は全く異なりますので注意が必要です。

モラルの語源

モラルの語源は前縦のように英語の「moral」です。「moral」の由来はラテン語で「習慣」を意味する「mores」とされています。ちなみに日本語では「倫理」という意味でも「モラル」を用いますが、英語では倫理は「ethics」です。

モラルハラスメント(モラハラ)とは


「モラルハラスメント」とは「モラル」と「ハラスメント(harassment)」を組み合わせた造語で、職場における良識(モラル)を欠いたいじめや嫌がらせ(ハラスメント)を意味します。

モラルハラスメントは被害者本人や他の従業員のモチベーションを低下させるだけでなく作業効率や生産性の悪化にもつながる問題です。そこでモラハラの防止と被害者保護を図るため刑事と民事の両面から罰則や法律を整備する動きが世界的に広がっています。

日本では2019年5月に改正労働施策総合推進法(通称「パワハラ防止法」)が成立。企業の経営者や事業主は職場におけるパワーハラスメントを防止するために必要な措置を講じることが義務化されました。

ちなみにモラルハラスメントの概念はフランスの精神科医のマリー=フランス・イルゴイエンヌが1998年に提唱しました。語源の「harcèlement moral」はフランス語で、英語表記は「moral harassment」です。

モラルハラスメントは肉体的な暴力ではなく、加害者が支配的な立場を利用して被害者にいじめや嫌がらせを行い、精神的にダメージを与えることを言います。モラハラは基本的に身体的暴力を含まないため精神的暴力とも呼ばれます。

モラルとマナーとの違い


モラルと同じような言葉に「マナー」があります。モラルは前述のように物事の善悪を個人が判断するうえで基準となる道徳的な概念のこと。一方、マナーは英語の「manner」に由来する言葉で、人々が快適な社会生活を送るために守るべき態度や作法を言います。

モラルは規則とは無関係の常識や良識のことですが、「マナー」には客観的な規範となる礼儀作法やルールがあります。マナーには法律のような強制力や罰則はありませんが、マナーを守らなければ人としての品格や資質を疑われるので軽視することはできません。

そこで社会人として身につけるべきビジネスマナーや冠婚葬祭におけるTPOや基本的な作法などが体系化され、マナー集やマナーブックとして数多く出版されています。ちなみに冠婚葬祭などの礼儀作法や規範(Code)のことを「エチケット」とも言います。

マナーとエチケットの違いについては諸説ありますが、日本の場合、マナーとは人が快適な社会生活を送る上で不可欠な行動の規範をあらわし、エチケットは特定の個人に対する気配りをあらわすのが一般的です。

ちなみにエチケットの由来は、かつてフランスの宮廷で訪問者のとるべき行動を示した張り紙のこと。そのため欧米ではエチケットは作法、マナーは心配りの意味で使われています。

例えばフランス料理でナイフやフォークを両外側から順番に取るといった作法はエチケット。飲食するときに音を立てないことはマナーとされています。このようにマナーとやエチケットの概念は文化によって異なりますので、それぞれの基準を理解することが重要です。

モラルの類義語

渾身
モラルと似た意味を持つ類義語としては、前述の「道徳」「道徳観」「倫理」「倫理観」「マナー」のほかにも「良心」「節操」「仁義」などがあります。「道徳」は個人的な善悪の基準を意味するのに対し、倫理は企業や組織の方向性を意味することが多いのが特徴です。

モラルの対義語


モラルと反対の意味を持つ対義語には「インモラル」「背徳」「悖徳(はいとく)」「不道徳」などがあります。「背徳」「悖徳」「不道徳」は「道徳や倫理に背くこと」という意味ですが、「インモラル」は「いかがわしい」「ふしだらな」というニュアンスの強い言葉です。

まとめ

  • モラルの語源は英語の「moral」です。
  • モラルは「道徳」「倫理」「道徳意識」「倫理観」などを意味します。
  • モラールは英語の「morale」が語源です。
  • モラールは日本語では「志気」「士気」「労働意欲」などと訳されます。
  • マナーは英語の「manner」に由来する言葉です。
  • マナーは人々が快適な社会生活を送るために守るべき態度や作法を言います。
  • モラルは規則や法律とは無関係ですが、「マナー」には規律に近い作法があります。
  • モラルの類義語は「道徳」「倫理」「マナー」「良心」「節操」「仁義」などです。
  • モラルの対義語には「インモラル」「背徳」「悖徳(はいとく)」「不道徳」などがあります。