「架電」の意味とは?ビジネスでの使い方などを解説 

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この記事では「架電」という名詞について解説しています。「架電」はもともと裁判などの公文書に用いる専門用語のひとつ。現在ではビジネスシーンでもよく使われる言葉です。一般にはなじみの薄い言葉ですが、覚えておくといざというときに役立ちます。

そこでここでは架電の読み方と意味や由来、具体的な使い方をはじめ、類義語、対義語、英語表現など多角的に解説いたします。

架電の読み方と意味


「架電」は「かでん」と読みます。意味は「電話機を用いて通信または会話をすること」「電話すること」「電話をかけること」「会話するために電話機で相手を呼び出すこと」などをあらわします。

架電の使い方

「架電」はもともと裁判の起訴状や判決文などに使われる法律用語です。たとえば「甲が乙の業務に対する妨害を目的とした無言架電を連日行った事案」といった用法のほか、「名詞+スル」の形で「電話をかけること」を「架電する」と表現します。

法律関連の公用文書は難解なことで知られています。「架電」をはじめ一般になじみのない専門用語は意味がわかりにくいため使用を控えるべきだと議論されることもありますが、「架電」は1990年代以降、電話業務の発展とともにビジネス用語として浸透しました。

一時は撤廃も議論された法律用語が社会に流布するのはめずらしいことですが、おそらく「電話する」という意味の言葉が他になかったためにビジネスの場で広まったものでしょう。

「架電」はコールセンターやテレアポ代行などの電話業務や営業の現場では使用頻度が高く、他の業種や業界でもメールの件名などで「架電の件」と表現する用法が広まっています。一方、日常生活で「架電」を用いることはほとんどありません。

架電の由来

「架電」の本来の意味は「隔絶した2点に電話線を架けて通信を可能にすること」。もともと通信業界で使われた言葉ですが、「かける」という言葉がいろいろな意味を持つため、「電話線を架ける」から「電話する」という意味に変わったものと考えられます。

たとえば「かける」は漢字で「架ける」以外に「掛ける」「懸ける」「駆ける」などがあるほか、複合動詞として「語りかける」「浴びせかける」「立てかける」といった用法も。さらに「アイロンをかける」や「言葉をかける」なども日常生活でよく使われる表現です。

「電話をかける」の「かける」も「アイロンをかける」や「語りかける」の「かける」が由来。「電線を架ける」の「架ける」とは語源が違いますが、読みが同じため、「電話を使って相手に呼びかける」という意味で「架電」という表現が使われるようになりました。

架電のビジネス上での使い方


コールセンターなどの電話業務では、電話を受けることを「受電」。電話をかけることを「架電」と言います。「架電」は「こちらから電話をかける」という意味ですので、相手から電話がかかってきた場合は「架電」ではなく「受電」とするのが正解です。

またテレアポ(テレフォンアポインター)のように顧客と電話で受け答えする仕事を「架電業務」。電話を含む通信機器を「架電装置」と言います。一般のビジネスシーンでは前述した「架電の件」「架電にてお伝えした件」といった表現がよく使われます。

電話をかけることを「架電する」という表現も一般的です。特にコールセンターや電話営業の現場では、「テレアポリストの顧客に片っ端から架電する」「本件はすでに架電済み」「取り急ぎ架電するも不在」といった表現が浸透しています。

架電の類義語

「架電」と同じ意味を持つ名詞の類義語はありません。同じ意味の言い回しとしては「電話をかける」「電話する」をあげることができます。また広義では「一報を入れる」「連絡する」なども同義語に含めて良いでしょう。

架電の対義語

「架電」と反対の意味を持つ対義語には、「受電」「入電」「着信」「着電」などがあります。「受電」はもともと「電力の供給を受けること」を意味する言葉ですが、「電話がかかること」「電報などの通信文を受け取ること」などの意味でも使われます。

「入電」「着信」「着電」はともに「電信や電報などの通信文を受け取ること」を意味する言葉ですが、「電話を受ける」という意味も。ただし電話のつもりで「着信」や「入電」というとメールの受信と誤解されることも。使用には注意が必要です。

架電の英語表現


架電を英語で表現する場合は、「call」「phone」「telephone」などがよく使われます。たとえば「電話してください」は「Please call me.」。「オフィスに着いたら電話します」は「I’ll call you when I get my office.」となります。

「call」を「phone」や「telephone」に置き換えて、「phone me」「telephone me」と表現することも可能。いずれも「call」「phone」「telephone」を「電話をかける」という動詞として用いる表現です。

名詞の用法としては「give」をつけて「give me a call」。あるいは「make 」をつけて「make a call to you」「make a phone call to you」といった表現がよく使われます。

なお「make a phone(またはtelephone) to ~」というと「~のために電話機を作る」という意味にもなるので注意が必要です。このような場合は「make a phone call to ~」と表現するのが良いでしょう。

ビジネスシーンでよく使う「架電の件」は、英語でどう表現すれば良いのでしょうか。まず「~の件」は英語では「In regards to」または「Regarding」「About」などの言葉を文頭に置く表現が一般的です。

「架電の件」は「In regard to the topic we talked on the telephone(またはphone)」。あるいは「Regarding the topic we talked over the phone」と表現するのが良いでしょう。

「About」を使う場合は、「About the topic we talked on the phone.」と表現できます。「About~」はフランクな表現ですので、ビジネスシーンでは、「In regard to」「やRegarding」の方がおすすめです。

ちなみに「on the phone」と「over the phone」はどちらも意味は同じです。

最後に「電話線を架ける」という意味での「架電」を英語で表現する場合は、「電話線を張る」という意味の「String a telephone wire」か、電話線を敷設するという意味の「Lay a telephone wire」と表現するのが良いでしょう。

まとめ

  • 架電は「かでん」と読みます。
  • 架電は「電話をかけること」「電話機を用いて通信または会話をすること」「会話するために電話機で相手を呼び出すこと」などを意味する言葉です。
  • ビジネスシーンでは「電話をかける」「電話の件」などの意味で「架電する」「架電の件」などと表現が使われています。
  • 架電の類義語は「電話をかける」「電話する」です。
  • 架電の対義語は「受電」「入電」「着信」「着電」などです。
  • 架電の英語表現では「call」「phone」「telephone」などが使われます。