秀逸とは|意味・読み方・使い方・類語・英語表現について解説

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ここでは「秀逸」という言葉について解説いたします。

「秀逸」をご存じない方でも、「優秀」の「秀」と「逸品」の「逸」の組み合わせですから、読みも意味もおわかりでしょう。逆に言えばそうだからこそ、あえて辞書で調べようとは思わない言葉でもあります。

そこで今回は、知っているようで意外と知られていない「秀逸」の意味や用法について多角的に解説していきます。皆さんもぜひお読みください。

秀逸とは|意味・読み方・使い方

「秀逸」は「しゅういつ」と読み、「(物や文芸作品などの完成度が)ほかに比べて一段と優れていること、または優れているさま」「できばえが抜きんでて見事なこと」などを意味します。

秀逸の語源

「秀逸」は「秀」と「逸」を組み合わせた熟語になります。

「秀」は、「禾」と「乃」を上下に重ねた合成文字です。「乃」は麦や稲が折れ曲がった様子をあらわします。一方、「禾」は折れ曲がった葉や茎の間からまっすぐに伸びた穂をあらわします。

このように「秀」はまっすぐな稲穂を示す象形文字から、「他よりもひときわ上に伸びる」「すぐれる」という意味の漢字に発展しました。

一方、「逸」は部首の「しんにょう」と「兔(うさぎ)」という字で成立しています。「しんにょう」は「道を行く」という意味をあらわし、「逸」は「うさぎが逃げる」「見失う」「(行くべき道を)はずれる」などを意味する漢字になりました。

また、「逸」には「逸品」「逸材」などのように「良い」「優れた」などの意味もあります。これは「逃げる兎は非常に速い」という意味から「一般的なレベルを超えてしまうほど優れている」こともあらわすようになったとされています。

「秀逸」は、上述の「秀」と「逸」とを組み合わせて、「一般の平均的なレベルを超えるほど優れていること」をあらわす言葉になりました。

その意味では、「秀逸」の「逸」は「道からはずれる」と「すぐれている」という両方の意味を持つと考えることができます。

 「秀逸な人」という使い方はしない

「秀逸」は、「優秀」や「秀才」などの言葉と意味的に混同されやすく、「秀逸な人」という使い方もよく見られますが、厳密に言えば、「秀逸な人」は誤用になります。

「秀逸」はもともと和歌や俳句で最も高い評価を示すランキングの意味で使われていた言葉です。

現代の言葉にたとえれば、美術などの「特選」と同じです。人に対する評価の意味では使われません。「秀逸」もまた対象は「人」ではなく、人が生み出した物や文芸などの作品になります。

また「秀逸」には「他に比べ一段と優れている」という、複数の作品を比較したうえで特に高評価する、というニュアンスもあります。その意味からも「秀逸な人」という表現は誤りだと考えたほうが良いでしょう。

ネット上では「秀逸な記事」「秀逸なコピペ」と使われることも

ご存じない方には意外に思えるかもしれませんが、インターネットでは「秀逸な○○」という言い回しが、ちょっとした流行になっています。

語源はフリーのオンライン百科事典「Wikipedia」の記事にあります。「Wikipedia」のコンテンツは、専門知識を持った一般ユーザーがボランティアで投稿する記事で構成されています。そのため記事の完成度や信頼性には少なからずバラつきがあります。

そこで内容が特に優れた記事を投票によって選考し、「秀逸な記事」として推奨されるようになりました。その名称がネットで受けてさまざまにパロディ化されました。たとえば掲示板などで拾ったおもしろ投稿の転載を「秀逸なコピペ」と呼んだりしています。

「秀逸」という「上から目線」的な熟語のお堅いイメージが、権威主義を揶揄するネットの風潮にマッチして地味にトレンド化したといえるでしょう。

秀逸のビジネス上での使い方

「秀逸」という言葉をビジネスで使う場合は、誤字や誤読、意味の誤用などをしないようにじゅうぶん気をつけなければなりません。

たとえば「秀逸」の「逸」を「晩」や「勉」と混同して「しゅうばん」「しゅうべん」などと読まないこと。「秀悦」などと書きまちがえたりしないように注意しましょう。

用法についても注意しなければなりません。「秀逸」はもともと物や作品を評価する言葉です。人の技能や性質の良さをいう言葉ではないことを、じゅうぶん認識する必要があります。

秀逸の類義語と例文

秀逸と同じような意味を持つ類義語としては、「秀抜」「抜群」「卓越」などをあげることができます。

「秀抜(しゅうばつ)」は「他の同類よりもひときわ抜きん出て優秀なこと、あるいはそのさま」をあらわします。「抜群(ばつぐん)」は「多くの中で特に優れていること」を意味します。「卓越(たくえつ)」も「他よりもはるかに優れていること」を示します。

抜群の例文

彼は大器晩成型の職人だと思われているが、ああ見えて腕は若い頃から抜群だったよ。

秀逸の対義語と例文

「秀逸」と逆の意味を持つ対義語としては、「遜色」「劣等」「拙悪」などをあげることができます。
「遜色(そんしょく)」は「他に比べて劣っていること」を意味します。「秀逸」とは真逆の言葉ですが、現代では「遜色ない」という否定形で「他と比べても見劣りしない」「他のライバルに対抗できる力がある」という肯定的な意味で用いるのが一般的です。

「劣等(れっとう)」は「等級や程度が基準よりも劣ること」を意味します。今日では「劣等感」「劣等意識」のように精神的なコンプレックスの意味で用いるのが一般的です。

「拙悪(せつあく)」は「できばえが稚拙で粗悪なこと」を意味する言葉です。「他に比べて劣る」という比較の意味は含まれません。

遜色の例文

アメリカで韓国車のレンタカーに乗ってみたら、日本車と比べてもほとんど遜色がなかったので、正直な話、かなりおどろきました。

秀逸の英語表現

日本語の「秀逸」にあたる英語表現としては「excellent」「satisfactory」「splendid」などをあげることができます。いずれも「素晴らしい・見事な」などを意味する言葉です。

また「ほかよりも抜きん出ている」というニュアンスでは、「outstanding」「superb」「unique」「unmatched」 などもあります。

「outstanding」は「突き出す」という意味の単語ですが、「卓越した・傑出した」という意味もあります。

「superb」は「(他を圧するほど)見事な・実に素晴らしい・堂々とした」などの意味をあらわします。

「unique」は日本語でも「ユニーク」と言われるように、「珍しい・個性的な」という意味がありますが、英語では「他に類を見ない・比類ない」という賛辞の意味もあります。

「unmatched」も「ちぐはぐな・そろっていない」という意味のほかに、「並ぶもののない」という賛辞の意味でも用いられます。

まとめ

  • 「秀逸」は「物や文芸作品などの完成度がほかに比べて一段と優れていることをあらわす言葉です。
  • 人の資質や能力について「秀逸」と表現するのはまちがいです。
  • Wikipediaで「秀逸な記事」という推薦評価がきっかけで「秀逸な○○」という表現が流行しました。
  • 秀逸の類義語には「秀抜」「抜群」「卓越」などがあります。
  • 「秀逸」の対義語には、「遜色」「劣等」「拙悪」などがあります。
  • 「秀逸」の英語表現には「excellent」「satisfactory」「splendid」「outstanding」「superb」「unique」「unmatched」などがあります。