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この記事ではパラリーガルの年収について解説しています。「パラリーガル(paralegal)」は法律事務所の事務職として弁護士の監督と責任のもとに弁護士の業務を補助する仕事のこと。英語で「弁護士を補助する」という意味の「para-legal」が語源です。
この記事では日本におけるパラリーガルの収入に着目して、年収に関する多角的な分析結果をはじめ年収を上げる方法についてくわしく解説いたします。
パラリーガルの平均年収
日本にはパラリーガルに関する法律的な定義はありません。そのため平均年収を示す公的資料もありませんが、パラリーガルの民間資格認定講座を開設する株式会社AG法律アカデミーが全国のパラリーガルの年収を調査してWebサイトに結果を公表しています。
出典:パラリーガルの平均年収は373万円|中央値や年齢別比較・年収UPの方法も解説
https://paralegal.co.jp/paralegal-average-income
この調査によるとパラリーガルの平均年収は373万円。意外に少ないと感じられるかもしれませんが、パラリーガルを雇用する法律事務所は他業種に比べると企業規模が小さく、専門分野や所在地などの条件によっても年収に違いが生じる傾向があります。
また日本にはパラリーガルの職能を認定する公的資格がありません。そのため法律事務所によっては秘書や一般事務も含めてパラリーガルと称する場合もあります。従って同じパラリーガルでも法律業務の比重が高い専門職になると年収は大幅に上がります。
年代別の平均年収
AG法律アカデミーの調査によるとパラリーガルの年代別の平均年収は以下に示す表の通りです。
年齢 | 年収 |
---|---|
20〜24歳 | 262万円 |
25〜29歳 | 310万円 |
30〜34歳 | 346万円 |
35〜39歳 | 387万円 |
40〜44歳 | 415万円 |
45〜49歳 | 424万円 |
50〜54歳 | 432万円 |
55〜59歳 | 443万円 |
60〜65歳 | 340万円 |
パラリーガルも他の職業と同様に勤続年数を重ねることで実務経験値が高まるため、年齢とともに年収も高まる傾向にあります。ちなみに上の表で60〜65歳の年収が大幅に下がるのは、定年後再雇用制度によるものと考えられます。
男女別の平均年収
AG法律アカデミーの調査によると男女別のパラリーガルの平均年収は以下のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
20〜24歳 | 276万円 | 250万円 |
25〜29歳 | 328万円 | 304万円 |
30〜34歳 | 364万円 | 328万円 |
35〜39歳 | 426万円 | 386万円 |
40〜44歳 | 456万円 | 388万円 |
45〜49歳 | 468万円 | 400万円 |
50〜54歳 | 472万円 | 412万円 |
55〜59歳 | 478万円 | 414万円 |
60〜65歳 | 350万円 | 300万円 |
男女別では全ての年齢層において男性の方が女性よりも年収が高くなります。これは男女の賃金格差以外に、女性のパラリーガルは秘書や一般事務の比重が高いことも影響しています。女性でもスキルがあれば男性より高収入を得ることが可能です。
雇用形態別の平均年収
パラリーガルも他の職業と同様に正社員、派遣社員、アルバイト・パートといった雇用形態があります。各形態の違いを簡単に説明しますと、まず正社員とは雇用主に正規雇用された労働者のこと。雇用契約期間を定めないので収入が安定するメリットがあります。
次に派遣社員とは派遣元の会社に雇用されて他の派遣先で職務に従事する雇用形態のこと。正社員よりも就業時間が短く、雇用期間も短期に限定されるのが特徴です。最後のアルバイト・パートは法律的には「パートタイム労働者」として一括されます。
つまりアルバイトもパートも法律上は同じ扱いですが、一般的にはアルバイトは学生やフリーターが賃金を稼ぐために短時間従事する仕事のこと。パートは主婦向けの副業の意味で使われます。
正規雇用の年収
パラリーガルの年収は正規雇用が最も多く、大手求人サイトに掲載されたパラリーガルの求人データを分析すると、正規雇用の平均年収は260万円〜450万円ほど。年収は法律事務所の規模が大きいほど高い場合が多く、福利厚生も充実しています。
性別で見ると男性パラリーガルの年収は全国平均を下回る水準です。逆に女性の収入は一般事務職の全国平均と同じかやや高い程度。男性の年収が相対的に低いのは、パラリーガルは昇進が少なく、昇給の余地も限られることが原因と考えられます。
派遣社員の収入
派遣社員の収入は時給で示されるのが基本です。大手求人サイトに掲載されたパラリーガルの派遣社員の時給は1500円から2000円程度。パラリーガルは法律の専門知識を要する役職ですので派遣社員の求人は比較的少ない傾向にあります。
同じ理由から派遣社員のパラリーガルがスキルを認められて正規雇用に切り替わるケースが一般事務職よりも多い傾向も。優秀なパラリーガルを求める法律事務所は多く、スキルや人柄が評価されると昇給も夢ではありません。
アルバイト・パートの収入
アルバイト・パートのパラリーガルは時給1000~1400円程度。収入には地域差があり、東京都内では時給1,200〜1500円程度。地方では900円〜1,000円程度が相場です。アルバイト・パートの場合、仕事内容はパラリーガルを補佐する事務作業がメインです。
パラリーガルの年収の中央値
パラリーガルの世代別年収の中央値は男性で380万円。女性が300万円となっています。ちなみに厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると日本人の年収の中央値は男性が約532万円、女性が約293万円です。
パラリーガルの男性の年収が相対的に低い理由としては、前述したようにパラリーガルは昇格の余地が少ないことが原因のひとつと考えられます。パラリーガルより上の役職は弁護士ですので、司法試験に合格しなければ昇格はできません。
ちなみに「年収の中央値」とは、世代別の年収を昇順に羅列して真ん中となる数値のこと。平均年収ではありません。平均年収は各世代の年収の合計額を年齢の区分数で割って算出するため、特定の世代の年収が突出して高い場合は全世代の平均年収も高くなります。
それでは現実的な「真ん中」の数値を導くことができませんので、平均年収などのデータ属性では平均値よりも中央値の方が重視されます。
パラリーガルのボーナス
パラリーガルのボーナス(賞与)は所属する法律事務所の規模や勤続年数によって変わります。ボーナスは「基本給(月給)×所定の月数 」または「基本給の◯◯%」を支給するのが一般的です。どちらの場合もボーナスの額は基本給によって決まります。
基本給はパラリーガルの業務内容や成果によって決まる場合と、年齢や勤続年数で決まる場合があります。事業規模の小さな事務所では経営状況によってボーナスが基本給を下回ったり、ボーナスが支給されなかったりするのが実情です。
事務所によっては「パラリーガルのボーナスは一律◯◯万円」と金額を固定している場合も。また派遣社員やアルバイト・パートはそもそもボーナスがありません。パラリーガルの求人に応募する際はボーナスの有無や金額の規定をしっかり確認しましょう。
パラリーガルが年収を上げる方法
前述したようにパラリーガルは弁護士の業務を補助する職業です。パラリーガルとしてどれほど職務経験を重ねても弁護士のアシスタントという立場は変わりません。そこでパラリーガルが勤続年数を積み重ねる以外に収入を上げる方法について解説します。
所属事務所に資格手当がある場合は所定の資格を取得する
パラリーガルに必要な資格は基本的にありませんが、職務能力を証明するためにさまざまな資格を取得することは年収を上げるうえで効果的です。
パラリーガルのスキルに関する認定資格では、日本弁護士連合会が主催する事務職員能力認定試験と、一般社団法人日本リーガルアシスタント協会(JLAA)が主催するパラリーガル認定資格試験があります。
日本弁護士連合会の事務職員能力認定試験は、法律事務所や企業の法務部などに5年程度勤務する事務職員やパラリーガルが対象です。パラリーガルとしての認定資格ではありませんが、国内の民事や家事を中心とする法的手続きの専門知識と実務能力が認定されます。
次にJLAAのパラリーガル認定試験はパラリーガルのスキルを認定する民間資格試験で、未経験者でも受験が可能。試験コースは初級のエレメンタリー・パラリーガル、中級のインターメディエイト・パラリーガル、上級のアドバンスド・パラリーガルの3つがあります。
またパラリーガルは法律事務以外にも秘書や一般事務まで幅広い業務に対応可能なスキルが求められます。したがって法律業務の検定以外にも秘書技能検定やパソコン検定など事務職に有利なビジネス資格を取得すると転職や昇給に有利です。
語学力のレベルを高める
パラリーガルの年収は業務内容によっても変わります。特に海外ビジネス案件や外資系企業の法務などを扱う渉外弁護士のパラリーガルになると年収は大幅に高くなります。ただし渉外弁護士事務所で要求される語学力は海外生活を経験したバイリンガルレベルです。
英語ではTOEIC800点以上が必須となります。
転職する
パラリーガルの報酬は法律事務所や企業によって大きな違いがあります。一般的には事務所の規模が大きいほど年収が高く、地方都市よりも大都市圏の方が平均年収が高い傾向があります。
パラリーガルとしてのスキルと経験値に自信がある方は、報酬や待遇の面で有利な大手法律事務所や大企業の法務部などに転職して年収を上げることが可能です。
まとめ
- 日本におけるパラリーガルの平均年収は373万円です。
- パラリーガルの平均年収は年齢とともに高まる傾向にあります。
- 男性パラリーガルの年収は全国平均を下回り、女性は全国平均と同程度です。
- パラリーガルの世代別年収の中央値は男性で380万円。女性が300万円です。
- パラリーガルが年収を上げるには資格を取る。語学力を上げる。転職するなどの方法があります。