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この記事では、「薫陶」の意味や使い方、類語、対義語、英語表現について解説します。
「薫陶」という言葉を一度は聞いたことがあるはずです。
でも、その意味を正しく言えるでしょうか?読み方も少し不安になるかもしれませが、社会人としてその意味や読み方はきちんと知っておきたいですね。
「薫陶」は、ビジネスシーンにおいても使われる言葉です。この記事を通して「薫陶」の正しい意味と使い方を理解して、ご自身のスキルアップにつなげてください。
「薫陶」の読み方・意味・使い方
「薫陶」とは、「徳の力で人を感化し、教育すること」の意味で、「くんとう」と読みます。
辞書では、香(こう)をたいてかおりをしみこませ、粘土(ねんど)をこね形をととのえて陶器を作ることからこの意味が生まれたと解説しています。
では、その語源は、どこにあるのでしょう?
「薫陶」の語源
「薫陶」の語源は、中国の宋時代の歴史書である「宗史」の「程頤伝」の中にある四字熟語「薫陶成性」にあると言われています。「薫」は、香を焚いて良いニオイをしみ込ませることから自然に感化させることの意味。
「陶」は、粘土をこねて形を作ることから人を導き教えるという意味になりました。「薫陶成性」は、優れた人間を作る意味。日本では、南北朝時代の詩文集「空華集(くうげしゅう)」に「朝而薫陶之、暮而琢礪之」という一文があります。
また、「薫陶」の出典として、1897年に出版された福沢諭吉の著書「福翁百話」に掲載されている「日本人は数百年間儒教に薫陶された」という一文や夏目漱石の長編小説「行人」の「父の薫陶から来た一種の鑑賞力をもっていた」などが紹介されています。
このように、「徳の力で人を感化し、教育する」意味の「薫陶」ですが、実際のビジネスシーンではどのように使われるのでしょうか?
「薫陶」のビジネス上での使い方
ビジネスシーンでは、「薫陶を与える」「薫陶を受ける」「薫陶を賜る」「薫陶の賜物」などの表現で使われることが多くなります。
「薫陶を与える」の意味と例文
「薫陶」は、あくまでも徳のある人から教えを受ける意味ですから、謙譲語になります。つまり、「私は彼に薫陶を与えました」のような表現はしません。誰から見ても人徳者であれば別ですが、そもそも人徳者であればこのような傲慢な表現はしないでしょう。
「薫陶を与える」という言い回しは、第三者から見て徳のある人が教えを授けている状態を表現する場合に使います。また、「薫陶を授ける」という表現もありますが、同様に教える立場の人以外が使うのが一般的です。
- 政界には、あの先生が薫陶を与えた弟子たちが数多くいます。
- 部長の行動は、部下に多くの薫陶を与えています。
- 教授が薫陶を授けた教え子たちは、さまざまな業界で活躍しています。
「薫陶を受ける」「薫陶を賜る」の意味と例文
「薫陶」が多く使われるのが「薫陶を受ける」という表現です。目上の人や徳のある人から教授を受けた場合に使いますが、この場合も第三者の立場で使うのが一般的です。自分が受けた場合は、「薫陶を賜る」という丁寧な表現にするのがベストです。
- 教授から薫陶を受けた彼は、今は業界の革命児として活躍しています。
- 彼女が大きく飛躍したのは、先輩から薫陶を受けたことが大きな理由です。
- 先日は薫陶を賜り誠にありがとうございます。
- 皆様から薫陶を賜ったお陰で難題を克服することができました。
「薫陶の賜物」の意味と例文
先生や目上の人への感謝の気持ちを表す表現としてよく用いられるのが「薫陶の賜物(くんとうのたまもの)」です。メールやスピーチ文などにも使うことがあるので、覚えておくと便利です。
- 私がこうして皆様の前で講演できるのは、父親の薫陶の賜物です。
- 今回の受賞は、わが師の薫陶の賜物と言えます。
「薫陶」の類義語と例文
「薫陶」の類語としては、「教育」「教化」「感化」「訓育」「啓発」「躾」などがあります。
教えて知識や技術をつけること。才能を伸ばすために教えること。
例文
- 彼女に人生の豊かさを理解してもらうには、地道に教育するしかありません。
人を教え、良い影響を与えて望ましい方向に向かわせること。
例文
- あの子を強化するには、かなりの時間がかかるでしょう。
考え方や生き方などを相手に共感させて影響を与えること。
例文
- 私が映像の世界に入ったのは、あの作品に感化されたからです。
社会生活に必要な知識などを教えて、児童や生徒を育てること。
例文
- 先生は長年に渡り、生徒たちの訓育に努めました。
人が気づかないところを教えて、より高い理解や認識に導くこと。
例文
- 彼は多くの成功者たちに啓発され、独自のビジネスモデルを築き上げました。
礼儀作法を教え込むこと。
例文
- 幼少の頃から躾けられたからこそ、自然に優雅な振る舞いができるのです。
「薫陶を受ける」の類義語
「薫陶を受ける」の類語としては「ご教授いただく」「師と仰ぐ」「ご指導ご鞭撻」などがあります。
学問や技芸を教えていただくこと。
例文
- 先日は貴重なノウハウをご教授いただき心より感謝申し上げます。
師匠として尊敬すること。
例文
- 師と仰ぐことができる先生に出会えたのは、なによりも幸運な出来事でした。
未熟な者を強く励ましながら導くこと
例文
- 今後もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
「薫陶」の対義語と例文
「薫陶」の対義語としては、「教えを受ける」という受動的な意味の反対として「習得」「独学」「会得」などがあげられます。
学問や技術などを身につけること。
例文
- 彼は休学中に習得したプログラムスキルを活かして、ベンチャー企業を立ち上げました。
先生につかずにひとりで勉強すること。
例文
- そのアメリカ人は、独学で日本語を勉強したとは思えないほど、流暢に話します。
物の本質や意味などを十分に理解して自分のものにすること。
例文
- 生まれつき運動神経の良い彼は、カンタンにスキーのコツを会得しました。
「薫陶」の英語表現
「薫陶」の英語表現としては、「訓練される」意味の「disciplined」「trained」や「影響される」の意味での「influenced」がありますが、「指導」「助言」の意味の「tutelage」を使った「be under someone’s tutelage」が日本語の「薫陶」近い表現になります。
- He studied under the tutelage of Prof. Tagawa.
彼は田川教授の薫陶を受けました。
- They were disciplined by my grandfather
彼らは、私の祖父に薫陶を受けました。
- This hospital was founded by people who trained by him.
この病院は彼に薫陶を受けた人々によって設立されました。
- He was influenced by his teacher and started learning English.
彼は教師の薫陶を受けて英語の勉強を始めました。
まとめ この記事のおさらい
- 「薫陶(くんとう)」とは、「徳の力で人を感化し、教育すること」の意味。
- 香(こう)をたいてかおりをしみこませ、粘土(ねんど)をこね形をととのえて陶器を作ることからこの意味が生まれました。
- 語源は中国の歴史書の「宗史」の「程頤伝」の中にある四字熟語「薫陶成性」と言われています。
- ビジネスでは、「薫陶を与える」「薫陶を受ける」「薫陶を賜る」「薫陶の賜物」などの表現で使われます。
- 「薫陶」の類義語は「教育」「教化」「感化」「訓育」「啓発」「躾」など。
- 「薫陶」の対義語は、「習得」「独学」「会得」などがあげられます。
- 「薫陶」の英語表現には、「訓練される」意味の「disciplined」「trained」や「影響される」の意味での「influenced」があり、もっとも近い表現は「be under someone’s tutelage」です。