「拝受」の意味は?正しい使い方と類語・対義語の解説

※本サイトはプロモーションを含んでいます。

この記事では、拝受の意味や正しい使い方をご紹介します。
クライアントや取引先からメールや郵送で資料などを受け取った際に使う言葉ですが、難しい言葉なので、どのような人に対して使ったら良いのか迷いますね。

この記事を通して、相手に対して適切な表現を覚えれば、ビジネスのスキルアップにもつながります。

拝受とは?意味と読み方

大辞林第三版では、拝受を「受けることをへりくだっていう語。つつしんで受けること」と解説しています。つまり、「受け取る」の謙譲語で、読み方は「はいじゅ」です。

「拝」には、神仏をおがんだり、おじぎをしたりする意味がありますが、「拝見」のように相手に敬意を払う行為につける場合にも使われます。「拝受」は、品物やお金などを頂戴した時や厚意や親切に預かった時にも使用します。

「拝受」は謙譲語ですが、一般的な会話にはほとんど使われません。例えば、会社の上司から出張のお土産をもらって「拝受しました」とはいわないでしょう。「拝受」はかなりかしこまった言い方なので、取引先やクライアントとのビジネスシーンで使う場合がほとんどです。

例えば、取引先から「データファイルをお送りしたのですが、届いたでしょうか?」との問い合わせがあったら、「はい、拝受しました」と謙譲語として答えることができます。

また、「拝受いたしました」が二重敬語だと指摘されることがあります。これは「拝受」と「致す」という2つの謙譲語が使われていることが原因ですが、「拝受しました」よりへりくだった印象になることでビジネスシーンでは習慣的に使われています。よりかしこまった表現をしたい場合は、「拝受いたしました」を使っても問題はありません。

ただし、「ご拝受しました」などのように謙譲語に丁寧語の「ご」をつけるのは誤りですから、注意してください。

拝受を使った例文

拝受はあくまでも謙譲語ですから、相手の行動に対して使うのはNGです。クライアントに対して「拝受してください」などと間違った言い方は禁物です。きちんと拝受の意味を理解して、正しく使うようにしましょう。では、実際に「拝受」を使った例をいくつか紹介しましょう。

  • お手紙を拝受いたしました。いつもながらのご厚情、感謝の念に堪えません。
  • メール拝受しました。お忙しい中ご回答ありがとうございます。
  • 経歴書拝受しました。前向きに検討させていただきます。

上記のように、「拝受」を使用することで「頂戴しました」などの謙譲語よりもへりくだった印象になります。また、相手が目上の人でなくても、正しい謙譲語を使うことで一目置かれるかもしれません。

また、「拝受」はメールなどを受け取った時の返信としてもよく使われます。

「書類をお送りしました。」
「拝受します。」
「DVDを郵送しますのでご確認ください。」
「届きましたら拝受いたします。」

ビジネスメールで資料やデータをやり取りする場合、「内容を確認してお受け取りください」という意味の「ご査収ください」と最後につけられていることが多くあります。この場合、「承知しました」と返信する場合が多く見られますが、正しくは「受領しました」や「拝受しました」を使います。

拝受の類語は受領

拝受の類語として混同されるのが「受領」です。受領は「金品などを受け取る」意味で、「厚意」や「親切」などに対して使う言葉ではありません。

「心温まるお手紙受領しました」とは言いませんね。このような場合こそ、「こころ温まるお手紙拝受しました」と表現するのがベストです。また、受領には敬語の意味が含まれていないので、謙譲語の「いたす」をつけて「受領いたしました」のような表現をします。また、受領の謙譲語として「拝受」を使うことも少なくありません。

一般的に、拝受の類語としては「頂く・頂戴する・賜る・拝領する」などがあります。

頂く
「頂く」は、「もらう」の謙譲語で、「社長の激励のお言葉を頂きました」などのように金品以外にも使われます。また、「食べる」「飲む」などの謙譲語としても使われています。
「いただく」「頂く」「戴く」の意味と違いと正しい使い方・分け方
頂戴する
「頂戴する」も「もらう」謙譲語で、「貴重な意見を頂戴しありがとうございました」などと使います。「頂く」と同じ意味ですが、「頂戴する」の方が、より丁寧な印象になります。
「頂戴」の正しい意味と使う際の注意点
賜る
「もらう」の謙譲語で、「頂く」よりも丁寧な表現が「賜る」です。「ご高配を賜りたく存じます」などのように上司や目上の人にお願いする場合によく使われます。
「賜る」と「賜ります」はどのような場面で使うのか 意味と類義語、例文集
拝領する
「拝領する」とは、「貴人や目上の人から物をいただく」意味で、「主君から名刀を拝領した」のように使われます。かなり古い言い回しなので、現代ではあまり使う機会はないでしょう。

拝受の対義語は?

拝受の対義語は、「拝辞(はいじ)」で、辞退することをへりくだった言葉です。「せっかくのご使命ですがご拝辞いたします」のように使います。拝辞には「つつしんで辞退する」という意味が込められているので、ビジネスメールなどではより丁寧な表現になり、良い印象を与えられます。

また、就職や転職などで内定を辞退したい場合、「大変申し訳ありませんが内定を辞退させていただきます」でも問題はありません。但し地位の高い方やかなり目上の方には「大変申し訳ありませんが内定を拝辞申しあげます」の方がより改まった言い方になります。

メールを出す相手をよく見極めて、効果的だと思う場合は使うようにしましょう。

拝受の英語表現

謙譲語は日本独特の表現方法で英語には、日本語のような謙譲語はありません。「拝受」を英語にする場合は、一般的な行為の「受け取る」の意味を英語に変換します。

「受け取る」は、「get」「accept」「receive」などがありますが、「get」はカジュアルな表現なのでビジネスでのやり取りにはあまり使用しません。また、「accept」は相手の要求や金銭に関する受け取りの際に使用されるので、「拝受」のような意味合いには使いません。
一般的なビジネスで使われるのは、「receive」です。

I have received your email yesterday.
昨日メールを拝受しました。
I received the document.
資料、拝受しました。

このように、「receive」を使えば、拝受の意味になりますが、厳密に言えば、もう少し丁寧な表現の方が、日本語の拝受の意味に近づきます。

I acknowledged receipt of your letter.
お手紙をたしかに拝受しました。

このような表現をすれば、日本語の拝受には近づきますが、英語の場合、謙譲語という表現がないので、敬語や謙譲語をあまり気にする必要はありません。

まとめ この記事のおさらい

  • 「拝受(はいじゅ)」は、クライアントや目上の人に対して使う「受け取る」の謙譲語。
  • 「拝受いたしました」はよりへりくだった表現で二重敬語にはなりません。
  • 拝受の類語には「頂く」「頂戴する」「賜る」「拝領する」などがあります。
  • 拝受の対義語は辞退することをへりくだった「拝辞(はいじ)」で、地位の高い人やかなり年上の人への文面に使用します。
  • 拝受の英訳では、「受け取る」という意味の「get」「accept」「receive」などがありますが、ビジネスなどで使用するのは「receive」が一般的です。
  • 英語には謙譲語のような表現がないので、より丁寧に伝えたい場合は、「I acknowledgedreceipt of your letter.(お手紙をたしかに拝受しました)」のような表現もあります。