進行とは?意味や類語、ビジネス上での例文や英語表現などを解説

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この記事では「進行」という名詞について解説しています。「進行」は単独では動詞化して「進行する」。名詞では「出発進行」「司会進行」などの言い回しでよく使われる熟語です。ただし、その意味や用法には微妙な違いがあります。

そこでこの記事では「進行」の意味と使い方をはじめ、ビジネス上での使い方や例文、類語と対義語、英語表現などを中心にくわしく解説いたします。

「進行」とは


「進行」は、語源的には「前に進むこと」「ある場所のほうへ進んでいくこと」など特定の場所から目的地に進むという空間的な移動を意味する言葉です。また「物事がはかどること」「物事がある状態を徐々に深めること」のように時間的経過のニュアンスもあります。

進行は基本的に前向きな意味をあらわしますが、医療現場では「癌が進行する」というように「病状が悪化する」という意味で使われますので注意が必要です

意味や使い方

前述したように「進行」は「前進すること」「物事が予定通りはかどること」など、空間的な移動や時間的な経過をあらわす意味で使うのが一般的です。空間的な移動を意味する用法としては「出発進行」というフレーズがよく使われます。

たとえば団体旅行に出かける際に「準備は良いか?それじゃあ出発進行!」などと明るく号令をかけたりします。ちなみに「出発進行」の語源は列車の運転士が出発信号機が青になっていることを確認した場合に行う指差喚呼(しさかんこ)です。

出発信号機とは、駅などに停車した列車が出発していいかどうかを示す信号機のこと。この場合の「進行」は青信号を意味します。つまり運転士の「出発進行」とは「列車が定刻に出発できることを信号機で確認した」という意味の指差喚呼です。

「今から出発する」という意味ではありません。そのことを知らない乗客から「運転士が『出発進行』と言ったのになぜ列車が出発しないのか」と車掌や駅員が質問されることもあります。

「進行」を時間的な経過の意味で用いる場合は、「司会進行」や「議事進行」のように物事の変化や活動が想定通りに進むことをあらわします。同様に癌などの病状が悪化する意味でも用いられますが、病状以外で「進行」が「悪化」を示すことはほとんどありません

音楽用語では音が次の音に移ることを進行といいます。たとえば歌の伴奏などでコード(和音)」の流れを「コード進行」といいます。また和音の連なりを意味する和声(ハーモニー)の動き方には「平進行」「反進行」「斜進行」の3種があります。

文法用語では、英語などである時点での動作や現象が進行中で完了していないことをあらわす動詞の表現形式を「進行形」といいます。

「進行」のビジネス上での使い方や例文


「進行」はややニュアンスの硬い言葉ですので、日常会話で使われることはほとんどありません。基本的にビジネスにおけるメールや文書の中で使われることが多く、話し言葉として使う場合もプレゼンや学会などの場でよく使われる傾向があります

たとえば審議会などの会議を進めることを「議事進行」といいます。公的な議会で司会と議長が異なる場合は司会者が議会の開会を宣言した後、「議事進行につきましては委員長が議長を勤める規則になっております」などと前置きして議長に委託するのが通例です。

一方、医療用語では「進行性麻痺」や「緩徐進行性(徐々に病気が進行すること)失語症」などのように、進行は「病状が悪化する」と言う意味で使われますので注意が必要です

「進行」のビジネス上での例文

第2次5箇年計画につきましては、金融情勢の悪化など不測の事態もございましたが、現在のところ順調に進行しております。
台風の風雨は進行方向に向かって右側のほうが強まる傾向が強く、左側よりも危険度が高いと言われています
骨粗鬆症は患者が知らぬ間に進行する病気です。

「進行」の類語


「進行」と似た意味の類義語としては「向上」「漸進(ざんしん)」「進捗(しんちょく)」「進歩」「前進」などがあります。「向上」は「物事がより良い方向や望ましい状態に向かうこと」。「漸進」は「物事が少しずつゆっくり進歩すること」をあらわす言葉です。

「進捗」は「物事がはかどること」「物事の進み具合」などを意味します。「進歩」は「歩みを進めること」や「物事がだんだんと良い方へ変化していくこと」。「前進」は「前へ進むこと」「物事が良い方へ動くこと」を意味します。

以上の類語は基本的に良い方向へ進むことを意味する言葉です進行と違って病状の悪化を示す意味や用法はありません

「進行」の対義語


進行と逆の意味を持つ対義語としては「悪化」「後退」「退化」「退行」などがあります。「悪化」は病気や情勢などが悪くなることを言いますが、病状に関しては「進行」の対義語ではなく類義語にもなる言葉です

「後退」は「後ろへ退くこと」。「退化」は「生物の器官や組織などが進化の過程で縮小したり衰退したりすること」または「進歩していたものが元の遅れた状態に戻ること」。「退行」は「後ろに下がること」または「生物の進化がある段階で止まって元に戻ること」を意味します。

ちなみに「退行」には「銀行員が退社(または退職)すること」という意味もあります。また心理学における「退行」は、人が困難な状況に遭遇したとき、精神上の年齢よりも未熟な段階に戻って幼稚な行動を示すことを示す言葉です。

「進行」の英語表現

英語
「進行」を英語で表現する場合は「advance」「evolve」「proceed」「progressなどの言葉を用いるのが一般的です。「advance」は動詞では「前進する」「進歩する」。「evolve」は「発展する」「展開する」。「proceed」は「進む」「はかどる」などを意味します。

「progress」には「前進」「進展」「進歩」「向上」といった意味があります。また「計画や作業などの進み具合」という意味もありますので、「進捗」の英語表現に最適です。また医療分野で症状の進行をあらわす場合も「progress」や「advance」を用いるのが一般的です

たとえば進行性麻痺は「progressive paralysis」といいます。また癌などの病気が進行したことを表現する場合は「advance」 を使って 「His gastric cancer is in an advanced stage.(彼は末期の胃癌です)」というように表現します。

このように病状の悪化を「前進」などを意味する言葉で表現するのは英語でも同じです

まとめ

  • 「進行」は「前に進むこと」「物事がはかどること」など空間的な移動や時間的経過をあらわす言葉です。
  • 「進行」が病状をあらわす場合は「悪化」の意味になります。
  • 列車の運転士の「出発進行」という指差喚呼は「出発信号機が青になっていることを確認した」という意味で「今から出発する」という合図ではありません。
  • 音楽用語の「進行」は音が次の音に移ることをあらわします。
  • 「進行」はニュアンスの硬い言葉ですので日常会話ではあまり使われません。
  • 「進行」の類義語には「向上」「漸進」「進捗」「進歩」「前進」などがあります。
  • 「進行」の対義語には「悪化」「後退」「退化」「退行」などがあります。
  • 「進行」の英語表現では「advance」「evolve」「proceed」「progress」などの言葉がよく用いられます。