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本人に代わって、代理人が行政などの手続きをしたり郵便物や書類の受け取りを行う場合には「委任状」が必要です。
とはいっても、さほど頻繁に利用する書類ではありませんので、書き方が分からない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、ケース別の委任状の書き方や、委任状を書くときの注意点について解説します。
あわせて「委任状は手書きかパソコンか?」「どんな用紙を使えばいい?」といった基本的な疑問にもお答えしていきます。
ビジネスで、プライベートで、急に委任状が必要になることがあるかも知れません。基本的なことを理解しておけば、イザというときに慌てずに済むでしょう。
委任状とは
委任状とは、本来なら自分ですべき手続きを、第三者に委任することを記した書類です。
かみ砕いていうならば、手続きや書類の受け取りなどを、ほかの誰かに代わりにやってもらときに持って行ってもらう書類のことです。
では、委任状の効力期間は?委任状に使う用紙は?手書きとパソコンどっちで作成すればいい?といった、委任状を作成するにあたり初めに知っておきたいことから説明していきます。
委任状の効力期間
委任状がいつまで有効かという効力期間を定めた法律等はありません。しかし、実際には作成日から3か月以内のものを提出するように求められることが多くなっているようです。
作成日からあまりにも月日が経った委任状はトラブルの原因になりかねません。期間の指定がない場合でも、作成日から3か月以内のものを用意するようにしましょう。
また、委任状を用意する際には、念のため提出先に有効期間の指定があるかを確認しましょう。
委任状の用紙
委任状を作成する際、まず迷うのが用紙はどうしたらいいのだろうか?決まったものがあるのだろうか?ということでしょう。
結論をいうと、委任状の用紙に特別な決まりはありません。コピー用紙でもメモ帳でも便箋でも、内容がはっきり読み取れるならどんな用紙でも構いません。
自治体のホームページには、手続きの種類ごとに委任状のテンプレートが用意されています。テンプレートを利用すれば必要項目が漏れる心配もなく安心です。
委任状に使う印鑑
委任状には委任者の印鑑が必要なことがほとんどです。印鑑はスタンプ印(いわゆるシャチハタ)ではないものを使用してください。
多くの場合認印で用が足りますが、手続きの種類によっては実印の押印が必要なこともあります。実印を求められる場合は、あわせて印鑑証明書が必要になるケースが多いです。委任状作成時には提出先に確認にしておくと安心です。
委任状は手書きとパソコンのどっち?
委任状は手書きで作成しなくてはいけないのか、パソコンで作成してもよいのかも迷うことのひとつでしょう。これについては、どちらで作成しても問題ありません。
パソコンで作成した場合に注意したいのは、委任者の署名は手書きで行うということです。
手書きで作成する場合は筆記用具に注意しましょう。黒色または青色のボールペンやサインペンであれば太さなど細かい指定はありませんが、鉛筆や摩擦で消せるタイプのボールペンは不可です。
消せるタイプのボールペンを日常使いしている人は、うっかり使ってしまわないように注意してください。
委任状の書き方をケース別に紹介
ここでは、委任状が必要となるケース別に、委任状に必要な項目等を説明します。
基本的な委任状の書き方
委任状に必要な基本的な項目と、フォーマット例です。
フォーマットに関しては、これでないといけないというものはありませんが、最低限必要な項目は確認しておきましょう。
1.届出先
委任状を提出する先です。
1.委任年月日
委任状を作成した日付です。
2.委任者の住所
委任者(依頼する側)の住所を記載します。
3.委任状の指名・捺印
委任者の氏名を記載し捺印します。
パソコンで作成した場合も、署名は自筆で行います。印鑑はシャチハタは避けましょう。
4.代理人の住所・氏名
代理人(依頼を受ける側)の住所・指名を記載します。
5.委任内容
委任する内容を記載します。
要件が複数ある場合は、1.2…と列記します。
〇〇〇〇 様
(代理人)
住所 ×××××××
氏名 〇〇 〇〇
私は上記のものを代理人と定め、下記の権限を委任します。
1.
2.
令和〇年〇月〇日
(委任者)
住所 ××××××
氏名 〇〇 〇〇 印
ケース①:住民票を代理人が請求するとき
役所で住民票の写しを本人以外が請求する場合は、委任状が必要です。届出先は市区町村長とします。
〇〇市長 様
(代理人)
住所 ×××××××
氏名 〇〇 〇〇
私は上記のものを代理人と定め、下記の権限を委任します。
住民票の写しの請求及び受領に関すること。
令和〇年〇月〇日
(委任者)
住所 ××××××
氏名 〇〇 〇〇 印
委任内容は
住民票の写しの請求及び受領に関すること。
住民票の写しの取得にかかる一切の権限。
などが適当です。
項目を満たしていればどんな用紙でも受け付けてもらえますが、多くの自治体のホームページには手続きの内容に応じた委任状のテンプレートが掲載されています。ダウンロードして利用すると漏れなどがなく安心です。
ケース②:車の名義変更を代理人が行うとき
車の名義変更を代理人が行うときの委任状は、自動車の登録番号を記載するのがポイントです。
(代理人)
住所 ××××××
氏名 〇〇 〇〇
私は上記のものを代理人と定め、下記自動車の移転登録に関する権限を委任します。
自動車の登録番号又は車台番号
品川 123 か △△△△
令和〇年〇月〇日
(委任者)
住所 ××××××
氏名 〇〇 〇〇 印
ケース③:郵便物を代理人が受け取るとき
不在が続いて受け取れずに郵便局に戻されてしまったり、局留めで配達してもらったゆうパックなどの郵便物は、郵便局に引き取りにいかなければなりません。
事情があって本人が出向けない場合には、委任状が必要です。
郵便物の受け取りで委任状が必要なのは、同居の家族以外の人が受け取るケースです。
同居家族は、本人住所と同じ住所に居住していることが分かる身分証明書を提示すれば委任状は必要ありません。
〇〇郵便局長 様
(代理人)
住所 ××××××
氏名 〇〇 〇〇
私は上記のものを代理人と定め、郵便物の受け取りを委任します。
令和〇年〇月〇日
(委任者)
住所 ××××××
氏名 〇〇 〇〇 印
ケース④:株主総会で代理人に議決権を行使させるとき
株主が代理人によって議決権を行使する場合は、委任状が必要です。
会社法310条では、代理人による議決権行使について下記の通り定められています。
「株主は、代理人によってその議決権を行使することができる。この場合においては、当該株主又は代理人は、代理権を証明する書面を株式会社に提出しなければならない。」
この「代理権を証明する書面」が委任状ということです。
(代理人)
住所 ××××××
氏名 〇〇 〇〇
私は上記のものを代理人と定め、下記の権限を委任します。
令和〇年〇月〇日開催の株式会社〇〇第〇〇回定時株主総会に出席し、議決権を行使する一切の権限。
令和〇年〇月〇日
(委任者)
住所 ××××××
氏名 〇〇 〇〇 印
委任内容には、いつ開催の株主総会なのか、定時か臨時かを明記します。
委任状を書くときの5つの注意点
委任状は基本的には委任者本人が作成する
委任状は基本的に本人が作成します。委任状の作成が委任者の意思表示となるためです。本人以外の作成が認められると、勝手に委任状を作成し悪用される恐れもあります。
委任者がどうしても自分で作成できない事情がある場合は代筆が認められることもありますが、この場合も本人の意思によることが必要です。本人の意思が確認できない、例えば意識不明状態のような場合は委任状を作成することはできません。
代筆が認められるかどうかはケースによりますので、代筆を考えている場合は提出先に確認することをおすすめします。
「白紙委任状」の発行は慎重に行う
代理人や委任の内容が書かれていない委任状を「白紙委任状」といいます。
内容な代理人を明記していないということは、誰かが自由に書き込んで利用できるという、悪用の危険性もはらんでいます。
白紙委任状を作成するのはどうしてもの理由があるときに限られるでしょうが、あくまで慎重に判断しなくてはなりません。
委任内容の下に「以下余白」と記載する
もしも委任内容の下の余白勝手な内容をに追記されたとしたらトラブルになりかねません。追記防止のために「以下余白」と記す方法があります。
捨印はしない
捨印とは書類の欄外に押印することをいいます。委任状に捨印がしてあると、それを利用して委任内容を変更されてしまう恐れがあります。
委任状に捨印はしないようにしましょう。
委任状のコピーを取っておく
委任状は基本的に相手に提出してしまうものです。手元に控えが残っていないと後々内容の確認が難しくなりますので、提出前にコピーを取っておくことをおすすめします。
まとめ この記事のおさらい
- 委任状とは、本来なら自分ですべき手続きを、第三者に委任することを記した書類です。
- 委任状はどんな用紙でもよく、手書きでもパソコン作成でも構いません。ただし署名は手書きで行います。
- 委任状の有効期限は法律等で定められていませんが、作成日から3か月以内のものを求められるケースが多くなっています。
- 委任状が必要なおもなケースとして、住民票の申請、車の名義変更、郵便物の受け取り、議決権行使などがあります。
- 委任状は基本的に本人が作成します。白紙委任状や委任状への捨印は改ざんの恐れがあるので注意が必要です。
- 委任状を提出する前にはコピーを取っておくと安心です。