褒める|読み方・意味・使い方・「誉める」との違い・類義語や英語表現などを解説

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ここでは「褒める」という言葉について解説いたします。

「褒める」は日常的によく使われる、ごくありふれた言葉です。日本人なら意味を知らない人はいないと言っても過言ではありません。

一方で、「褒める」と「誉める」のどちらが正しい漢字になるのか、またはその意味の違いについて問われると、日本人でも正しく答えられる人は決して多くないのも事実です。

そこでここでは「褒める」という言葉の意味や用法を深く掘り下げて解説します。ぜひ最後までお読みください。

褒めるの読み方・意味・使い方

「褒める」という字は「ほめる」と読みます。意味はよく知られているように、「相手の良い行為や成果を言葉で賞賛すること」をあらわします。

たとえば子供が良い行いをしたり、努力が認められて表彰されたりすると、親や先生が「えらかったね」「よくがんばったね」などと賞賛することを「褒める」といいます。

注意したいのは、「褒める」という言葉には、地位や技能に優れる者が目下の者の成長を認めるというニュアンスがあることです。したがって格下の者が目上の人を賞賛する場合に「褒める」と表現するのは避けた方が良いでしょう。

「褒める」と「誉める」の違い

国語辞典で「ほめる」という言葉を引くと多くの場合、【褒める】と【誉める】が並記されています。このふたつの漢字にはどのような違いがあるのでしょうか。

意味の違い

「褒める」と「誉める」の意味は基本的に共通です。ただし厳密にいえば漢字の「褒」と「誉」がそれぞれに持つ意味の違いによってニュアンスに少し差が出てきます。

まず「褒める」の「褒」は「褒美(ほうび)」の「褒」です。親が子供の行いをほめて小遣いを与えたり、目上の人が目下の者の功績をたたえて金品を与える意味があります。

目上の人を「褒める」のは失礼にあたるといわれる理由も、この「ご褒美」が持つ「上から目線」のニュアンスにあります。

一方、「誉める」は「栄誉」の「誉」と同じです。訓読みでは「ほまれ」になります。「ほまれ」には「高い評価・評判」「名声」などの意味があります。

したがって「誉める」には誰かが受賞したり、記録や記憶に残る偉業を成し遂げた場合に、その人を口々にたたえるというニュアンスがあります。

使い方の違い・例文

「褒める」と「誉める」の使い方としては、以下の例文に示すように、良い言動を賞賛する場合は「褒める」、受賞や勝利などを祝いたたえる場合は「誉める」を使うのが正しいとされています。

「褒める」の例文

駅前で10円をひろって交番に届けた子供を警官が褒めた。

「誉める」の例文

文化勲章を受章した人間国宝の陶芸家を人々は誉め称えた。

なお、現代国語の漢字表記を定めた「常用漢字表」では、「ほめる」の常用漢字として「褒める」以外は掲載していません。そのため「誉める」という字が公文書や現代文に使用されることはありません。

公的な文書では「ほめる」は「褒める」と表記するのが正解になります。

褒めるのビジネス上での使い方

前述したように「褒める」という言葉には、「ご褒美」という「上から目線」のニュアンスがあります。そのため上司や目上の人をたたえる場合は「褒める」ではなく「誉める」を推奨する説もありますが、「誉める」は常用漢字ではありません。

公文書や新聞雑誌に使用できる漢字は「褒める」です。また、会話では漢字がわかりませんので、同じ「ほめる」という読みの「褒める」と「誉める」を話の中で使い分けることはできません。

「ほめる」は漢字に関係なく、目上の人に対してはなるべく使わないことをおすすめします。

目上の人を褒める場合

それでは目上の人を「褒める」場合はどのように表現すれば良いのでしょうか。

前述のように「誉める」は常用漢字ではありません。しかも会話では区別ができませんので、「褒める」と「誉める」を使い分けるのはあまりおすすめできません。

そもそも目上の人に「あなたの言動は賞賛に値します」という意味の言葉を面と向かって口にすること自体が失礼だとも考えられます。

そこでおすすめしたいのが、目上の人を褒めたい場合は、別の言葉に言い換えること。つまり「褒める」でも「誉める」でもなく「賛辞を送る」「賞賛する」というのがベストです。尊敬や謙譲を示す場合は「感服する」「脱帽する」などが良いでしょう。

褒めるの類義語と例文

褒めるの類義語は数えきれないほどあります。よく使われる言葉には、「喝采する」「感嘆する」「賛美する」「賞賛(または称賛)する」「絶賛する」「礼賛(らいさん)する」などがあります。

「喝采する」は、「手をたたいたり声をあげたりして、にぎやかにほめそやすこと」を言います。「賛美」「賞賛」「絶賛」「礼賛」などはいずれもほぼ同じ意味ですが、「絶賛」には「この上なく褒める」という最大級のニュアンスがあります。

「賞賛」の例文

マラソン大会の結果は時間オーバーで「記録なし」だったが、全力を尽くして完走した自分を賞賛したい。

「感嘆」の例文

社長が就任されてわずか6ヶ月で業績が2パーセントもアップしたのですから、我々役員一同、感嘆しきりでございます。

「絶賛」の例文

ブロードウェイで上演された創作歌舞伎は関係者の予想を上回る大絶賛を浴びた。

褒めるの対義語と例文

褒めると逆の意味を持つ対義語としては、「貶(けな)す」「くさす」「叱る」「叱責する」「誹(そし)る」「誹謗する」などがあります。

「貶す」「誹謗」の例文

私が貶されるぶんにはがまんもできるが、妻や息子まで誹謗されるのは許すことができない。

褒めるの英語表現

「褒める」という言葉にあたる英語表現としては「praise」「commend」「compliment」などがあります。

「praise」は子供などを褒める意味でよく使われる一般的な言葉です。

「commend」は「賞賛する」の意味のほかに「推奨する」という意味もあります。

「compliment」は「賛辞」「敬意」を意味する名詞で「褒め言葉」の意味もあります。また「お世辞」や「社交辞令」のニュアンスもあるので、注意が必要です。

「commend」「compliment」はともにビジネスライクな言葉です。普通に「褒める」の意味では「praise」が使われます。

また日常会話で誰かを褒める表現としては、以下のような言葉がよく使われます。

Amazing(信じられない)
Awesome(すげえな)
Brilliant(お見事)
Cool(すげえ・かっこいい)
Good(いいね)
Good for you(よかったじゃないか)
Excellent(最高だね)
Fantastic(すごいよ)
Great(最高・すばらしい)
I like it(気に入った・私は好きだよ)
I love your 〜(最高・似合ってる)
Incredible(信じられない)
Nice(いいね)
Perfect(完璧)

まとめ

・「ほめる」には「褒める」と「誉める」のふたつの漢字があります。
・「褒める」と「誉める」は意味的なニュアンスに違いがあります。
・「ほめる」の常用漢字は「褒める」になります。
・「褒める」には「上から目線」のニュアンスがあるので、目上の人に使う場合は「感服する」などに言い換えるのがおすすめです。