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この記事では「KJ法」について解説いたします。
あまり聞きなれないという人もいるかもしれませんが、知っておくと考えをすっきり整理できるようになることでしょう。
そこで今回は「KJ法」のメリットやデメリット、進め方や注意点も含めて取り上げました。
それでは一つずつ確認していきましょう。
KJ法とは
「KJ法」とは文化人類学者の川喜田二郎氏がデータをまとめる為に考案した手法です。
1枚の付箋やカードに1つのアイデアを書き、それぞれの位置を移動させながら全体を俯瞰して整理整頓した後にそれらを文章化していきます。
「KJ法」は本質的な問題解決策の発見やアイデアの創出をすることができるとされており、収束的帰納法の代表的な技法の一つです。
なお考案者のイニシャルが「KJ法」の呼び方の由来だとされています。
ブレインストーミングとセットで用いられる事が多い
「KJ法」はブレインストーミングとセットで用いられる事が多い技法です。
ブレインストーミングとは「集団でアイデアを出し合うことにより、ユニークで新しい発想を生み出すことを期待した技法」のことで、日本でも会議等で非常によく使われています。
ブレインストーミングで出たアイデアを「KJ法」で整理することにより新しい着想やアイデアを生み出せる為非常に相性が良く、セットで用いられる事が多いというわけです。
KJ法のメリット
「KJ法」が50年以上も使われているのは、それだけのメリットがあるからです。
この項目では、そのメリットの中から3つご紹介します。
課題に対して様々な見解を得られる
まずは課題に対して様々な見解を得られることです。
自分の頭で考えるだけでは思考やアイデアに偏りが生じますが、グループでは自分が思いつかなかったような斬新な見解を得られることも多々あるでしょう。
専門外の人をあえてメンバーに入れることで、業界の常識に縛られない真新しいアイデアに出会うことができたという事例も見受けられます。
ただしあまりに少人数だと意見が足りなかったり、極端に大人数では収拾がつかなかったりするので5〜10人程度が良いかもしれません。
情報の共有が容易に行える
情報の共有が容易に行えるというのも、「KJ法」のメリットの一つです。
紙に書き出すことにより情報が可視化され、全員で同じ情報を共有することができます。
「未だに紙を使うとはあまりに非合理的だ」という意見もありますが、それは個人作業での話です。
認識を合わせながら進める必要があるグループワークでは、全員が同じ情報を共有できている必要があります。
その確認に時間を割かずに済むという点でも「KJ法」は優れているといえるでしょう。
少数意見を活用できる
少数意見を活用できるというのも非常に重要なポイントです。
一般的なグループワークでは、どうしても多数決によって進行してしまうということがよく見られます。
多数決は人数が多くなる程時間短縮や公平性を理由によく用いられますが、多数の意見が少数意見に優っているとは限りません。
少数意見が採用されるかどうかはまた別の話ですが、一つの意見として考慮されるという点が「KJ法」の強みでもあります。
KJ法のデメリット
どんなものにでもメリットがあればデメリットもあります。
「KJ法」のデメリットについても確認しておきましょう。
付箋や場所の準備など、実施に手間がかかる
「KJ法」を行う為には、付箋や場所の準備といった手間や費用がかかります。
またメンバーを揃えるのにも時間がかかるので、いつでも好きな時に実施するというのは難しいかもしれません。
メンバーによっては情報に偏りが生じる
メンバーによっては情報に偏りが生じる可能性があるのも、「KJ法」のデメリットの一つです。
例えば同じコミュニティや業界にいる人だけでメンバーを固めてしまうと、同じような意見しか出てこないということも十分考えられます。
それではせっかくの場が機能しないばかりか、むしろやらない方が良かったということになりかねません。
メンバーの人間関係が影響する場合がある
メンバーの人間関係が影響する場合があるのもデメリットとして挙げられます。
メンバー間で上下関係や対立関係があったとすると、それが発言にも影響を及ぼす可能性があるかもしれません。
KJ法の進め方
この項目では「KJ法」の進め方を4段階に分けてご紹介します。
どのような流れになっているか、確認しておきましょう。
①アイデアを付箋やカードに書き出す
まずはブレインストーミングによって出たアイデアを付箋やカードに書き出していきます。
ホワイトボードやノート等ではなく、付箋やカードに書き出すというのがポイントです。
この過程を経ることによってアイデアを可視化するだけでなく、後で並べ替えたり整理したりすることができます。
②意味や文脈が近いアイデアをグループ化する
アイデアを付箋やカードに書き出し終わったら、意味や文脈が近いアイデアをグループ化していきます。
グループ化する際には、2〜3グループ程度にまとめるということを意識すると良いでしょう。
あまりグループを増やしすぎるとグループとして機能しなくなったり、情報を把握するのが難しくなってしまうからです。
もしどのグループにも属さないアイデアがあった場合、無理にいずれかのグループに入れるのではなくそのままにしておきます。
グループに分けることができたら、各グループが何によってまとまっているのか分かるようなタイトルをつけておくと確認しやすいかもしれません。
③グループの位置関係を並び替える
続いてグループ化した付箋やカードを大きな紙の上に置き、意味の近いもの同士が近くになるように並べ替えていきます。
並べ替えができたら、グループの位置関係を俯瞰してみましょう。
そうすることによって位置関係を整理することができます。
そして共通項のあるグループ同士を囲むと、小さなグループの集合体である大きな島を作ることができるというわけです。
このように並べ替えたりするには付箋やカードの方が都合が良いので、ホワイトボードやノート等に書き出していくのはあまり向いていません。
④全体の関係性を文章化する
このようにして並べ替えが終わったら、最後に全体の関係性を文章化していきます。
一度に全てを文章化するのはかなりハードルが高いので、まずは関係のあるもの同士を繋ぎ合わせていくことから始めていくと良いでしょう。
この作業を繰り返していくことで文章がどんどん繋がっていき、最後には全体の関係性を文章化できるというわけです。
「KJ法」はただ並べ替えるだけでなく、この文章化するところまでできて初めて完成だといえます。
KJ法を行う時の注意点
「KJ法」はメリットの項目でも触れたように様々な利点がありますが、その反面注意しなければならない点もいくつかあります。
この注意点を蔑ろにすると、せっかくの努力が無駄になってしまいかねません。
そのようなことがないよう、この項目では注意点として3点取り上げました。
アイデアを無理やりグループ化しない
まずはアイデアを無理やりグループ化しないということです。
どのグループにも当てはまらないようなアイデアまで入れてしまうと、グループとしての意味がなくなってしまいます。
どうしてもグループに入らないアイデアが出ることは十分起こり得ることなので、あまり気にしなくても問題ありません。
どのグループにも属さないようなアイデアは、独立したアイデアとして分けておきましょう。
最後の文章化までしっかり行う
最後の文章化までしっかり行うというのも非常に重要なポイントです。
付箋やカードを並べ替えるところで満足して止めてしまうケースも見受けられますが、それでは「KJ法」の意味がありません。
またこれらを断片的に繋ぎ合わせるだけでなく、全体の関係性を文章化することで初めて意味を持ちます。
「KJ法」は先述の4段階の進め方を全て実施することが肝心だということを押さえておきましょう。
全員の同意を確認しながら作業を進める
全員の同意を得たことを逐一確認しながら作業を進めることも不可欠です。
一部の人の意見だけが反映されるような進め方をしてしまうと多数決と変わらず、少数意見を活用できるという「KJ法」のメリットがなくなってしまいます。
それでは最初から多数決で良かったのではないかということになりかねません。
せっかく付箋やカード等の道具を用意したり場所を確保したりといった手間をかけているわけですから、「KJ法」として機能させることが重要です。
このことからも、「KJ法」は全員の同意が得られる規模の人数で実施する方が良いといえるでしょう。
まとめ この記事のおさらい
- 「KJ法」は本質的な問題解決策の発見やアイデアの創出をすることができるとされており、収束的帰納法の代表的な技法の一つだといわれている。
- ブレインストーミングとは「集団でアイデアを出し合うことにより、ユニークで新しい発想を生み出すことを期待した技法」で、「KJ法」と相性が良いことからセットで実施される事が多い。
- 「KJ法」のメリットとして課題に対して様々な見解を得られる、情報の共有が容易に行える、少数意見を活用できるといったことが挙げられる。
- 「KJ法」のデメリットは付箋や場所の準備などが必要な為実施に手間がかかる、メンバーによっては情報に偏りが生じる、メンバーの人間関係が影響する場合があるといったことが考えられる。
- 「KJ法」はまずアイデアを付箋やカードに書き出した後に意味や文脈が近いアイデアをグループ化し、グループの位置関係を並び替えた上で全体の関係性を文章化するという進め方をする。
- 「KJ法」を行う上では、アイデアを無理やりグループ化しない、最後の文章化までしっかり行う、全員の同意を確認しながら作業を進めるといった注意点がある。