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この記事では「弁証法」の意味や使い方について解説いたします。
「弁証法」は哲学分野等で使われている証明法の一つですが、ビジネスでも応用できる為身につけておくと重宝するといえるかもしれません。
それでは意味や使い方について、一つずつ確認していきましょう。
弁証法とは|意味・読み方・使い方
「弁証法」は「べんしょうほう」と読み、「対立する二つの事柄を統合することにより、高い次元の結論へと導く思考方法」を意味しています。
元々「弁証法」は「対話の中から相手の矛盾を見つけ、それを修正していくこと」という意味でした。
それが数多の哲学者等の議論を通して現在の意味になっていったといわれています。
また、これだけでは分かりにくいところがあるので、具体例を用いて考えてみましょう。
例えば「野菜は食べたくない子ども」と「何でも好き嫌いせずに食べてほしい親」がいるとします。
この対立する二つの事柄を、どちらの主張も取り入れて結論を導き出す思考方法が「弁証法」というわけです。
今回の例でいうと、「調理方法を工夫することによって子どもが美味しく食べられる料理にする」こと等が考えられるでしょう。
ただし「野菜を我慢して食べたらご褒美をあげる」といった解決方法は、「弁証法」とはいえません。
なぜなら「子どもが我慢する」という妥協が混じっているからです。
あくまで「高い次元への結論」を目指すのが肝心で、だからこそ双方が納得する結論になるといえるでしょう。
弁証法は哲学者の「ヘーゲル」が提唱
「弁証法」は「会話する、討論する」という意味の古代ギリシャ語の「ディアレクティケー」に由来するといわれています。
また古代ギリシャのソクラテスは問答の中から真実を掘り下げる対話法である「問答法」により哲学を探究していました。
そしてドイツの哲学者「ヘーゲル」によって「弁証法」が提唱され、それが今日の意味で使われています。
弁証法における「アウフヘーベン」とは
「弁証法」の中の基本概念に「アウフヘーベン」と呼ばれるものがあります。
「アウフヘーベン」は「止揚」や「揚棄」等と訳され、「否定する、高める、保存する」というのが主な意味です。
そしてこの三つの要素を同時に満たす思考の進め方を「弁証法」における「アウフヘーベン」であるとされています。
まず「テーゼ」と呼ばれる論理的に妥当な概念を「否定」し、それらが矛盾せぬよう高次元に「高める」、そしてその概念を「保存する」というのが一連の流れです。
「アウフヘーベン」には先述の通り「否定すること」と「高めること」、そして「保存すること」の三つが同時に揃っている必要があります。
「保存すること」は言い換えると対立する二つの概念を統一するということです。
この三つが同時に揃っていない場合は「アウフヘーベン」とは言わないので、その点には注意が必要でしょう。
アウフヘーベンとは|意味・使い方・英語表現を解説 類語と例文も紹介
「弁証法的行動療法」とは
「弁証法」の考え方を使ったもので「弁証法的行動療法」(DBT)というものがあります。
これはアメリカの心理学者「マーシャ・リネハン」が開発した認知行動療法の一種で、「境界性パーソナリティ障害」の治療に特化したものです。
「境界性パーソナリティ障害」(BPD)とは「情緒不安定パーソナリティ障害」とも呼ばれるもので、感情や思考の制御不全、衝動的な自己破壊衝動といった特徴があります。
そしてそれらに悩んでいる人々も「弁証法的行動療法」を行うことによって能力や生きることへのモチベーションを高め、獲得したスキルを日常的に使えるようになるといわれています。
また「弁証法的行動療法」はその名の通り「弁証法」の考え方を基にして適応的な言動を増やし、不適応な言動を減らしていく療法です。
このように「弁証法」は哲学分野だけでなく医療分野にも応用される等、その汎用性の高さが確認できます。
ビジネス上での弁証法の例
「弁証法」はビジネス上でも使うことができる考え方です。
例えば社内会議で対立する二つの意見に考えが二分されたとします。
そうした時に双方が自己主張したり相手を批判するだけでは話が平行線をたどり、議論が前に進まないでしょう。
そんな時に「弁証法」を用いることで両方の意見を踏まえた結論に導くことができるというわけです。
では実際どのように使うことができるのか、具体例を交えて確認してみましょう。
「スイーツを食べること」と「太りたくないこと」は一見矛盾した考えのように思えます。
しかし「弁証法」を用いることにより、「ゼロカロリーのスイーツ」という新しい結論を出すことができました。
例えば「糖質オフのビール」や「アルコールテイストのノンアルコールビール」等、食品や飲料業界で同じような事例は少なからず見受けられます。
「環境に配慮すること」と「自動車を生産すること」を両立する為に、「環境に配慮したハイブリッドカー」を誕生させたことが分かります。
このように、ビジネス上において「弁証法」を非常に効果的な使い方ができるといえるでしょう。
弁証法の類義語と例文
「弁証法」の類義語としては、次のようなものが挙げられます。
・アウフヘーベン
・止揚
・揚棄
またこれらを用いると以下のような例文を作ることができます。
何かを妥協することなく新しい価値を世の中に提供するという点で、「アウフヘーベン」の考え方はビジネスと相性が良いといえるかもしれません。
具体的には「学習型ゲームをすることにより、ゲームをしながら勉強することができる」等が考えられるでしょう。
例えば「オンラインゲームを通して、直接人と会わずに交流すること」等も「揚棄」の思考法による解決策だといえます。
弁証法の英語表現
「弁証法」の英語表現として、以下のようなものが考えられます。
・dialectic(弁証法)
・aufheben(アウフヘーベン)
またこれらを使うと以下のような例文を作ることができます。
(彼は「弁証法」に熟練した論理学者だ。)
論理学者といっても色んな分野が考えられますが、この例では「弁証法」を得意にしているということが読み取れます。
(「アウフヘーベン」は日本語で「止揚」を意味している。)
他言語ではどのように表現するのかを説明する時に使います。
この場合、「Aufheben」は日本語で「止揚」といわれていることが分かります。
まとめ この記事のおさらい
- 「弁証法」は「べんしょうほう」と読み、「対立する二つの事柄を統合することにより、高い次元の結論へと導く思考方法」という意味がある。
- 今日の意味で「弁証法」が使われるようになったのはドイツの哲学者「ヘーゲル」によるとされている。
- 「弁証法」における基本概念として「アウフヘーベン」が挙げられる。
- 「弁証法」はビジネスや医療分野等幅広く用いられている。