進歩とは?意味や「進捗」との違い、類義語や英語表現などを解説

※本サイトはプロモーションを含んでいます。

この記事では「進歩」という言葉について解説しています。進歩は日常での使用頻度が比較的高く、日本人なら誰でもご存じのはずですが、ビジネスシーンでは「進化」や「進捗」といった類義語もよく使われるため、意味の違いをしっかり理解する必要があります。

そこでこの記事では「進歩」の正しい意味や使い方、同義語の「進捗」や「進化」との違いをはじめ、ビジネスでの使い方や例文、類義語、対義語、英語表現などについて多角的に解説いたします。

「進歩」の意味や使い方


「進歩(しんぽ)」は物事の状態が良い方向に変化することを、人の歩みにたとえた名詞です。語源的な意味は歩みを進めて前に行くことですが、現代語としての「進歩」は人に関する物事の価値がより高い次元へ漸次良くなっていくことを意味します。

具体的には、人の精神や文化、社会といった人間に関する物事の価値や環境などが漸次的に良い方向に変化することをあらわす言葉です。進歩はこうした変化の時間経過を人の歩みにたとえた言葉ですので、変化のスピードはそれほど速くありません。

物事が徐々ながら着実に良くなっていくというニュアンスを持つ言葉です。また進歩が意味する変化は質的な向上だけでなく、量的な増加も含む場合があります。

「進歩」と「進捗」の違い

「進捗(しんちょく)」はあらかじめ設定した目標がどの程度達成できているかを示す意味で用いられる言葉です。「捗」は訓読みで「はかどる(捗る)」と読み、仕事や学習などの行動が計画通り順調に進んでいることを意味します。

進捗は進歩ほど良い方向に変化するというニュアンスは強くありません。進捗が良いか悪いかは目標の達成率によります。つまり進捗には目標という具体的なゴールがありますが、進歩には到達点としてのゴールはありません。そこが進捗と進歩の違いです。

「進歩」と「進化」の違い

「進化」とは、人やさまざまな生物体の性質が世代を重ねるにつれて変化する生物学的な現象のこと。進化が意味する生物の変化は遺伝的で、世代間で集団的に発生します。個々の生物の成長や虫の変態といった普遍的な形質の変化は進化とは呼びません。

進化という言葉を日常生活で使う場合は、個人と組織の成長や技術的な改善、生産性の向上や環境への適応、社会の文化的な発展などを意味することもあります。この場合、進歩と進化の意味や用法はほぼ同じといえるでしょう。

生物学における進化の意味は、前述のように生物の形態や性質が長い時を経て世代間で遺伝的に変化することをあらわします。また進化の過程では、人の盲腸のように不要となった器官が縮小したり機能が減退したりする「退化」という現象も発生します

生物学的な意味での進化は退化も含めた概念であり、必ずしも進歩ばかりとは限りません。一方、進歩もまた必ずしも良い変化ばかりではありません。たとえば電気自動車の普及は技術的には進歩ですが、ガソリン車の製造販売者にとっては悪い方向への変化となります。

進歩が意味する「より良い方向への変化」は立場や視点によって変ることも理解しなければなりません

「進歩」のビジネス上での使い方や例文


「進歩」をビジネス上で使う場合は、人や組織のスキルが向上するという意味で用いるのが一般的です。具体的には人の精神性や技術的な向上、企業における業務フローや組織構造の改善、科学技術の発達とそれにともなう社会の拡大発展などを意味します。

たとえば人事評価制度において社員の行動や組織のパフォーマンスを定量的に評価する場合、コメント欄に「昨年と比較して技術力に明らかな進歩が見られる」とか「初歩的なミスを頻発しており、進歩が見られない」といった表現で記入されます。

また特許法では特許を受ける条件のうち最も重要な要件として発明の進歩性をあげています。この場合の「進歩性」とは、その道の専門家が世に知られている技術をもとに特許対象の発明の創案を試みても容易には実現できないことをいいます。

「進歩」のビジネスでの例文

業務の成果や目標の達成度を数値化することで社員ひとりひとりのスキルと能力の進歩を客観的に分析することができる。

AIテクノロジーの進歩による労働力の代替が雇用に大きな影響を及ぼす可能性が高まっている。

「進歩」の類義語


「進歩」と同じような意味を持つ類義語としては前述の進捗や進化のほかに向上、上達、増進、発達、発展などがあげられます。向上は物事が上に向かって進むこと、より良い方向やすぐれた状態に高まること。上達は技能が向上して上手になることを意味します。

増進は活力や能力、勢いなどを増し進めること。発達は人の体や精神が成長して完全な形態や機能に成長することをあらわします。発展は物事の勢いや力などが伸びて広がることを意味する言葉で、進歩よりも幅広く複雑に展開するニュアンスがあります。

「進歩」の対義語


進歩と反対の意味を持つ対義語としては後戻り、退化、退歩(たいほ)、悪化などがよく使われます。後戻りは元の方向へ引き返すこと。退化は進歩が止まって元の形態に戻ること、または機能が衰えたり規模が縮小したりすることを意味します。

退化は進歩よりも進化の対義語といえるでしょう。退歩は「進む」に対して「退く」という文字通りの反対語ですが、現代ではほとんど使用されません。悪化は物事の状勢や状態が悪くなることを意味する言葉です。

「進歩」の英語表現

英語
「進歩」を英語で表現する場合はadvance、develop、progressの3語を使い分けるのが一般的な用法です。日本語ではadvanceは「前進する」developは「発達する」progressは「進歩する」というニュアンスになります。

developは土地開発業者を意味する「デベロッパー」の語源です。日本ではおもに「新しいものを開発する」という意味で使われますが、developには生物や組織が成長する、物事が発展するという意味もあります。

advanceは特定の分野における知識や技術の進歩をあらわしますが、「前」という意味でも使われる言葉です。たとえば「advance ticket」は前売り券のこと「in advance」は「あらかじめ」「前もって」いう意味でよく使われるフレーズです。

また可算名詞として「Technological advances(さまざまな技術の進歩)」という表現も使われます。一方、「progress」は不可算名詞で 「前進」や「進行」のほか「成り行き」や「経過」といった意味があります。日本語の「進捗」に近い言葉といえるでしょう。

「advance」と「progress」は動詞ではともに「前進する」「進歩する」という意味で、単語を差し替えても違和感なく通じるケースもあります。

まとめ

  • 「進歩」は人間に関する物事の価値や環境などが漸次的に良い方向に変化することを、人の歩みにたとえた言葉です。
  • 「進捗」はあらかじめ設定した目標がどの程度達成できているかを示す言葉です。
  • 「進化」は人やさまざまな生物体の性質が世代を重ねるにつれて変化する生物学的な現象を意味する言葉です。
  • 「進歩」をビジネス上で使う場合は、人や組織のスキルが向上するという意味で用いるのが一般的です。
  • 「進歩」の類義語には進捗や進化のほかに向上、上達、増進、発達、発展などがあります。
  • 「進歩」の対義語には「後戻り」「退化」「退歩」悪化」などがあります。
  • 「進歩」の英語表現は「advance」「develop」「progress」の3語を使い分けるのが一般的です。