「感服」の意味とは|目上の人に使える?「感心」との違いも

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この記事では、「感服」という言葉の意味や使い方、類義語と対義語、英語表現などについて解説します。
「感服」は一般には耳慣れない言葉ですが、ビジネスシーンでは、おもに「ヨイショ」する目的でよく使われる言葉でもあります。

一方で、そうした「ヨイショ」のニュアンスに抵抗を感じる人もいます。

そこで、ここでは「感服」をビジネスで使う場合の注意点を中心に解説していきます。
ふだん耳慣れない言葉でも、いざというときにきちんと使えるように、ぜひこの記事で、「感服」の意味と用法を確認してみてください。

感服の読み方・意味・使い方


感服という字は「かんぷく」と読みます。

意味は「他者の行動や考え、才能や技量などに深く心を動かされ、尊敬の念を抱くこと」を表します。

「感服」は名詞ですが、実際に使うときは語尾に動詞の「する」を加えて、「感服する」「感服いたしました」「感服しております」などと言うのが一般的です。

感服の語源

「感服」は故事成語ではありませんので、語源となる言い伝えはありません。

そこでここでは個々の漢字の成り立ちについて説明します。

まず「感服」の「感」は、「口」と「戉(まさかり)」、その下に「心」を組み合わせた会意文字(かいいもじ)です。

ちなみに「会意文字」とは、既製の文字を部首として組み合わせることで、複合的な意味の文字を新たに作り上げることです。

たとえば「木」を組み合わせた「林」や「森」は、典型的な会意文字になります。

「感」に話を戻しますと、語源については諸説あります。

例をあげると、「咸」の中の「口」は「儀礼で祝詞(のりと)を書いた布などを入れる器」を表し、その上に武器である戉(まさかり)を置いて「口」を守る、とする説があります。
一方、「咸」の「口」は「人の口」そのものの意味であり、「咸」は「まさかりで相手を威圧して口を封じる」ことを表す、という説もあります。

いずれにしても、「咸」には威圧や封印の意味があり、その下に「心」という文字を加えることで、「外部からの強い刺激に、内なる感情を突き動かされること」を意味する文字になったと考えられます。

一方、「服」の語源についても諸説あります。

まず「 」の「卩」は「ひざまづく人」を、「又」は「手」を表す象形文字とされています。

これはひざまづく人に手を押し当てて、屈服もしくは服従させることを示すとも言われ、そこから「ぴったりとつける」という意味も派生しました。
また「服」の「月」は「舟」を表し、こちらも「舟を両側からはさんで固定する夾木(「きょうぎ」または「はさみぎ」)のように、ぴったりとつけること」という意味を表す、という説があります。

このように「服」には、「屈服する」「服従する」という意味と、「ぴったりとつける」というふたつの意味があります。
そこからさらに派生して、「ぴったりと身につける衣服」を意味するようになったと言われています。

一方で、「衣服」の意味は、服従を示すために相手が指定した服に着替えたことから生じたとする説もあります。

現在でも「服」の動詞の「服する」が、「服を着る」「服従する」「従わせる」という無関係な意味をあわせ持つのは、古い語源の名残といえます。

このように「感服」は、「心を動かす」を意味する「感」と、「服従」を意味する「服」を組み合わせて、「相手の言動や能力に深く心を動かされ、服従したくなるような深い尊敬の念を抱く」という意味を示す言葉になったと考えられます。

「感服」と「脱帽」の違い

「感服」と似た意味の言葉に、「脱帽」があります。

「感服」はすでに解説したように、「他者の行動や考え、才能や技量などに深く心を動かされ、尊敬の念を抱くこと」を意味します。

一方、「脱帽」は文字どおり「帽子を脱ぐ」ことが元々の意味です。

それが転じて、「相手に敬意を表すために帽子を脱ぐこと」「相手の力量に感服し、降参の意を示すこと」という意味を表す言葉になりました。

「感服」も「脱帽」も相手の言動や技量に深い感心と敬意の気持ちを表しているのは同じです。

ただし「感服」が賞賛や感動の気持ちを表現するのに対し、「脱帽」は「相手が立派すぎて降参した」「白旗を掲げた」「手も足も出ない」というニュアンスがより強くなる、という違いがあります。

つまり「感服」は相手を称える言葉であり、「脱帽」は自分の完敗を認める言葉だと覚えておくのが良いでしょう。

「感服」と「感心」の違い

「感服」とよく似た使い方をする言葉として、「感心」が挙げられます。「感心」は「かんしん」と読み、「他者の行動や考え、才能や技量などに深く心を動かされること」という意味です。

「感服」と「感心」の違いは、その程度の差にあるとされています。「感服」はこれまで説明した通り、深く心を動かされるだけではなく尊敬の念を抱くという意味です。

それに対して「感心」は上記のように、深く心を動かされはするものの、尊敬の念を抱くことはありません。したがって「感心」よりも「感服」の方が、尊敬の念を抱くほど深く心が動かされているといえるでしょう。

些細なことに対しても感服という言葉を使ってしまうと、大袈裟な表現になりかえって不適切になってしまう恐れがあります。上記の違いを念頭に入れて、うまく使い分けると良いでしょう。

目上の人には「敬服」

「感服」は「相手の行動や才覚に尊敬の念を抱くこと」を意味する言葉です。

したがって上司やクライアントに対して「感服しました」と言ったとしても、本来の意味からいえば失礼にはなりません。

しかしながら「感服」という言葉に古風で仰々しい印象をもつ人もいないわけではありません。

そこで、目上の人に「感服」という言葉を使う場合は、謙譲語の「いたす」を加えて「大変感服いたしました」とするか、いっそ「感服」を「敬服」に換えて、「大変敬服いたしました」と言うのが良いでしょう。

「敬服」も「感服」も意味そのものに大きな違いはありません。

強いて言えば、「敬服」には「敬」の字があるので相手に敬意が伝わりやすい、というメリットがあります。
現実には、部下に「感服した」と言われて気を悪くする人はそんなにいませんが、「感服」とあわせて「敬服」という言葉も覚えておくと、ビジネスシーンでの表現の幅が広がります。

ビジネスで使える!「感服」の例文


「感服」はビジネスでもよく使われる表現です。そこでこの項目では、ビジネスで使える「感服」の例文を、解説も添えて取り上げました。

些細なことにも妥協しない彼女の仕事ぶりには感心させられる

仕事に慣れてくると細かいところで楽をしたり、つい手を抜いてしまったりすることがあるという人も少なからずいるかもしれません。この例では、そういったことが一切ない彼女の仕事ぶりに深く感動し、尊敬の念を抱いたということです。

自分のことだけでなく、チーム全体のことを考えて行動できる彼には感服するばかりだ

自分の仕事で手一杯で、チーム全体のことまで気が回らないということはあり得るでしょう。今回の例では、彼がそういったことなくチーム全体のことを考えて行動できていることに深く感動し、尊敬の念を抱くばかりだということを表しています。

感服の類義語と例文


「感服」と意味が近い類義語としては、すでにご紹介した「敬服」「脱帽」などをあげることができます。
また、いまどきの言葉では「感動した!」「マジ神ってる!」なども「感服」の類義語だといえるでしょう。

「感動」の例文

「部長のイヤミに耐えてよくがんばった!感動した!」

「マジ神ってる」の例文

「課長の電話の応対って、マジ神ってますよね。さっきの電話も、ガチで神対応っすよ!」

感服の対義語と例文


感服の逆の意味を持つ言葉としては、「反発」があります。

「反発」の例文

「部長が俺に低反発枕をくれたんですけど、これって、俺がいつも反発しやがるっていうイヤミですよね?」

感服の英語表現


「感服」にあたる英語表現としては、「admiration」や「impressed with」などをあげることができます。
ただし、いずれも「感心する」「感嘆する」という意味の言葉で、「感服」に比べると、相手に対する尊敬や服従のニュアンスはありません。

「admiration」の例文

I’ve always felt admiration for my teacher who shared her deep concern for me.
(先生の十全のご配慮には、いつも感服いたしております。)

「impressed with」の例文

I was so impressed with the rich content and thickness of this book. If I get sleepy when I read it, I can also use it as a pillow.
(私はこの本の内容の濃さと厚みに感服しました。もしこの本を読んでいて眠くなったら、枕にもなります。)

まとめ

  • 「感服」は、他者の行動や考えなどに深く心を動かされ、尊敬の念を抱くことを表します。
  • 「感服」に「上から目線」的なイメージを持つ人もいるので、目上の人には「敬服」を使うのが無難です。
  • 「感服」は深く感動するだけでなく尊敬の念も抱くのに対し、「感心」は深く感動するだけで尊敬の念を抱くことはありません。
  • 「感服」の英語表現としては「admiration」や「impressed with」などをあげることができます。