この記事では、「サバティカル休暇」の意味や語源、メリット・デメリット、導入のポイントなどについて考察します。

働き方改革が進む中、「サバティカル休暇」という言葉を時々耳にします。欧米では多くの人々が利用している制度ですが、日本ではまだまだ実践している企業は少ないのが現状です。

しかし、働き方の多様性における選択肢のひとつとして取り入れる企業は確実に増えています。この記事を通して「サバティカル休暇」の意味やメリット・デメリットなどを理解して、ビジネスパーソンとしてのスキルアップにつなげてください。

サバティカル休暇の意味とは


サバティカル休暇とは、長期間勤務した従業員に対して長期間の休暇を与える制度のことです。1か月以上1年未満が一般的で、従業員のスキルアップやリフレッシュを目的にしています。

世界的にも有給休暇の取得率が低い日本では、このような長期間は現実感のない、夢物語のように思えるでしょう。しかし、その原因は法律的な問題にあります。休暇先進国とも呼ばれるフランスでは、1936年に「バカンス法」が制定されました。

この法律で、全ての労働者に2週間の有給休暇が義務付けられました。日本では2019年から有給休暇の取得が義務化されましたが、年10日以上有給休暇が付与されている労働者に対して5日という内容になっています。

フランスでは、サバティカル休暇が取得できる条件は、勤務年数が3年以上かつ通算の勤務年数が6年以上と明確に設定されています。休養期間は6~11か月で、該当企業で6年間長期休暇を取得していないことが条件になっています。

心や体をリフレッシュするためには、2週間程度の休暇は必要ですが、サバティカル休暇という長期間の休暇は、どのような目的から生まれたのでしょうか?

サバティカル休暇の語源

サバティカル休暇は、旧約聖書に登場するラテン語の「安息日」を意味する「sabbaticus(サバティクス)」に由来しています。1880年にハーバード大学で、大学教員が研究目的のために導入された長期休暇が起源と言われています。

その後、欧米の大学の広がり、1990年代の欧州では、離職者対策としてサバティカル休暇を取り入る企業が増えていきました。日本では2013年にIT大手のヤフージャパンが導入、ニュースなどにも取り上げられ大きな話題になりました。

さらに、2018年には経済通産省の有識者研究会において「リカレント教育(学びなおし)」の一環としてサバティカル休暇の導入を企業に呼びかけ、中小企業でもサバティカル休暇を取り入れた会社が登場しています。

休暇中に給料が出るかどうかは会社や組織により異なる

サバティカル休暇の条件や期間などは、会社や企業によって異なります。期間としては最長3か月の企業や最長で1年から2年の留学などを認めている企業もあります。また、サバティカル休暇中の給料に関する法的な規定はありません。一般的には無給が原則のようです。

但し、これも企業によって異なります。例えば、ヤフージャパンでは、支援金として基本給与の1ヵ月分を支給。医療システムの開発をしている株式会社ファインデックスでは、最長6か月のサバティカル休暇期間中、基本給の3割を支給しています。

また、同業以外なら休暇中の副業を認めている企業もあるようです。

サバティカル休暇のメリット


長年日本では、ひとつの会社につくして汗水たらして働くことが美徳のように思われてきました。しかし、今や仕事と生活のバランスを保つ「ライフワークバランス」が重要視されています。

労働に対する考え方が大きく変わりつつある現在、サバティカル休暇を導入する企業が増えてくるのは当然ですが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

離職者の防止につながる

サバティカル休暇が欧州で普及した理由が、「離職者防止」です。海外では、スキルアップして転職するのが一般的で、有能な人材が流出していますのが大きな悩みでもありました。在職中でも自由な研究などが可能になるサバティカル休暇は、労働者にも大きな魅力です。

特に日本では、研究や資格取得のために長期間の休暇を取得するのはほぼ不可能。そのためには退職するしか道はなかったのです。このような有能な人材を失わないためには、サバティカル休暇は効果的です。

また、介護離職や産後の鬱などの解消にもつながり企業にとっては大きなメリットになります。さらに、サバティカル休暇を導入することは企業イメージもアップするので、一挙両得とも言えるでしょう。

個人のスキルアップやリフレッシュになる

毎日忙しいビジネスパーソンにとって、スキルアップのために時間をとるのは至難の業です。特に難しい資格などを取得するには集中できる時間が不可欠。数か月の休暇が取得できれば安心ですね。

また、忙しい職場環境から数か月離れることができれば、心身ともにリフレッシュされます。休暇後の仕事もあらたな気分で取り組め生産性の向上にもつながります。

サバティカル休暇のデメリット

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企業と労働者にメリットの大きいサバティカル休暇ですが、デメリットもいくつか考えられます。

収入に対する不安

労働者にとって最大の問題は、サバティカル休暇中は基本的には無給であることです。前述した企業のように一部は支給されても、生活ができる金額ではありません。それなりの蓄えや家族の支えが必要になります。

サバティカル休暇を申請するためには、その間の生活設計をしっかりと考えることが大切です。

他業種へ転職するリスク

サバティカル休暇中に学習する中で、これまで経験しなかった分野に興味がわくこともあります。復帰後に他業種へ転職する可能性もあります。職業選択は個人の自由ですから、サバティカル休暇を取得したからといって、その権利を奪うことはできません。

企業にとっては、人材が流出するリスクもはらんでいるのカが大きなデメリットです。

サバティカル休暇導入に必要なこと


ライフワークバランスを整えるためにも有効なサバティカル休暇ですが、効果的に導入するためには以下のように労働環境や社内体制を整えることが必要です。

従業員の労働環境を整える

日本の場合、長期間の休暇をとることに罪悪感を抱く傾向が少なからずあります。サバティカル休暇を導入するには、このような古い固定観念を取り除き、休暇のとりやすい環境づくりが必要です。

さらに、サバティカル休暇中の人の仕事が支障なくできるようなサポート体制も日頃から構築しておくことも重要です。

従業員が帰ってきやすい体制を整備する

長期休暇を取得する人にとって、復帰後に自分の居場所があるのかが大きな心配事になります。「もし自分のデスクがなかったら」などと不安な気持ちでサバティカル休暇を取得しても精神的に良くありません。

従業員が安心してサバティカル休暇を取得できるようにするために、復帰後のポジションや業務の在り方を明確して、復帰しやすい体制を整備することが求められます。

まとめ この記事のおさらい

  • サバティカル休暇は、長期間勤務した従業員に対して長期間の休暇を与える制度。
  • ハーバード大学が、大学教員が研究のために導入した長期休暇が由来と言われています。
  • サバティカル休暇中は、基本的に無給ですが、企業によって一部金が支払われることも。
  • サバティカル休暇のメリットは、「離職者防止につながる」「個人のスキルアップやリフレッシュになる」など。
  • デメリットは、「収入に対する不安」「他業種へ転職するリスク」などがあげられます。
  • サバティカル休暇を導入するには、「従業員の労働環境を整える」「従業員が帰ってきやすい体制を整備する」などが大切なポイント。