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この記事では「バーター」について解説します。
「バーター」は、ビジネスシーンで使う場合と芸能界で使う場合とで言葉の意味が違ってきます。ここでは、それぞれのシーンでの意味や使い方を紹介します。
意味を勘違いしていると話しのつじつまが合わなくなってしまいます。この機会に2つの意味について覚えておきましょう。
「バーター」の意味とは
「バーター」という言葉がおもに使われるのは、ビジネスシーンと芸能界の2つです。どちらのシーンで使うときも表記にもイントネーションにも変わりがありませんが、意味合いがまったく違ってきます。
2つのシーンでのそれぞれの意味は、後の章で詳しく説明します。
「バーター」の語源
「バーター」の語源もビジネスシーンと芸能界、どちらで使われるのかで違ってきます。
ビジネスシーンで使われる「バーター」は、英語で物々交換を意味する「barter」から来ています。
いっぽうで、芸能界での「バーター」は「束」の意味で使われます。芸能界では言葉をひっくり返して言う習わしがあり、「束(たば)」をひっくり返して業界用語っぽく伸ばして言ったものが「バーター」です。
ビジネス上での「バーター」の使い方
「バーター」はビジネスシーンと芸能界でおもに使わますが、それぞれ違う意味合いがあります。まず、ビジネスシーンで使われる場合について見ていきましょう。
ビジネス上での「バーター」の意味
ビジネスシーンで「バーター」と言った場合には、「物々交換」「交換条件」を意味します。「〇〇をするする代わりに××をしてください」という、いわゆる「ギブアンドテイク」と同じ意味合いだと考えてよいでしょう。
ビジネスシーンでは、このように、金銭を介在させずに条件で互いの持っているものを交換する形での取引のことを「バーター取引」と呼びます。
「物々交換」というと物品と物品を交換するイメージが強いですが、形のある「物」に限らず、サービスや人材、仕事そのものといった無形のものもバーター取引の対象となります。
「この商品を買うので御社のサービスを無料で使わせてもらえないか」といった交渉などがバーター取引にあたるでしょう。
企業同士ではなくても、「今度ランチをごちそうするから今日の残業を代わってもらえないか」というような社員同士のやり取りも、一種のバーター取引といえるでしょう。
バーター取引の企業事例としては、トヨタとUberが成功事例としてあげられています。
Uberはスマホからタクシーが呼び出せるタクシーアプリですが、トヨタはこのUberにプリウスを提供しました。一見トヨタになんの得があるのか分からない気もしますが、Uber側は車を持っていない一般の人も運転手として活躍させることができるというメリットが、トヨタ側は店に来てもらう人以外にもプリウスに乗ってもらう機会が得られ、顧客の層を広げられるというメリットがあります。
また、貿易で輸出と輸入を一つの為替決済方法で互いに結びつけ物々交換の形で行う方式のことを、特に「バーター貿易」と呼びますが、バーター貿易は国際規模でも行われています。
例えば数年前に、ロシアはイランへの禁輸解除を受けてミサイルの輸出を始めましたが、イランの石油とロシアの穀物の物々交換がその条件となっています。
このような国家間のバーター取引にはさまざまな問題が絡んでおり、一概に良し悪しの判断が難しいところではあるでしょう。
おもにビジネスシーンで行われるバーター取引ですが、もう少しライトなニュアンスで、家族や友達、知り合いとの間で行われることもあります。
「来週の料理当番を代わるから週末の掃除はお願いしてもいいかな」「バイト代わるからノートコピーさせてくれない?」のような交渉も、バーター取引と考えられるでしょう。
ビジネス上での「バーター」を使った例文
「今回は御社の〇〇と当社の××のバーター取引ということでお願いできませんでしょうか。」
「〇〇社からバーターでの取引を持ち掛けられましたがどうしましょうか。」
「その条件のバーター取引では、当社が不利になると思われます。」
「キミのその仕事とオレのこの仕事、バーターしない?」
芸能・テレビ業界での「バーター」の使い方
「バーター」という言葉は、ビジネスシーンだけでなく芸能界でも使われています。芸能界で使われる場合のバーターはビジネスシーンの場合と全く意味が異なるので覚えておきましょう。
芸能界での「バーター」の意味
芸能界で使われる「バーター」は「抱き合わせ」の意味で使われます。
抱き合わせは、物を売る際にメインとなる商品と他の商品をセットにして値段をつける「抱き合わせ販売」という手法でよく使われます。一般的には、よく売れている商品とあまり売れ行きがよくない商品が抱き合わせ販売されます。
芸能界では、売れている芸能人とあまり売れていない芸能人をセットでメディアに出演させることを「バーター」といいます。売れっ子のタレントと無名の駆け出しタレントを一緒に出演契約してもらう手法です。
メディアが売れっ子タレントAにオファーした場合に、事務所側が「Aを出演させるからB(無名のタレント)」の出演機会もくれないか」と交渉するようなケースがこれにあたります。
メディア側としてはAに出演してもらうことが一番の目的、事務所側はBを売り出すことが目的という両者の利害関係がうまくマッチすることで、バーターが成り立っているのです。
しかし、ビジネスシーンでのバーターの語源となっている英語の「barter」には抱き合わせという意味はありません。では、なぜ芸能界ではタレントを抱き合わせることを「バーター」というのでしょうか。
芸能界の「バーター」の語源は「束(たば)」にあります。AさんとBさんをひとまとめ(束)にして契約するからです。どうして「束」が「バーター」になったのかというと、芸能界独特の習わしがあったからです。
芸能界にはさまざまな業界用語がありますが、言葉を逆さまにする言い方もそのひとつです。一昔前に芸人が面白おかしく使いだしたことから、一般にも知られるようになったものもあります。
例えばビールのことを「ルービー」、寿司を「シースー」といったりするのは逆さ言葉です。グルメレポーターの「まいうー」もそうでしょう。
抱き合わせを「バーター」というのも、「束」を逆さにして業界独特の伸ばした言い回しにした表現なのでしょう。
芸能界での「バーター」を使った例文
「来月の番組はAさんとBさんのバーターで決定しました。」
「新人アイドルを売り出し中なんですけど、今度バーターで使ってもらえませんか?」
「あのタレント、最近テレビでよく見るようになったけどバーターかな?」
「バーター」の類義語と例文
「バーター」と似た意味を表す言葉にはどのようなものがあるでしょうか。ビジネスシーンと芸能界、それぞれのシチュエーションについて考えてみましょう。
ビジネス上での「バーター」の類義語
ビジネスシーンでの「バーター」の類義語としては次のようなものが考えられます。もともと英語の「barter」から来ていますので、barterの意味である「物々交換」「交換条件」が代表的な類語となるでしょう。
意味:品物を貨幣などの媒介物によらず、直接他の品物と交換すること。
例文:「現金ではなく物々交換での取引は可能でしょうか?」
意味:相手の要求を受け入れる条件として自分の出す要求。
例文:「御社の品物を買いますので、交換条件として新しいサービスを無償で提供いただけませんでしょうか。」
意味:物と物、人と人とを交換すること。
例文:「うちの部署のAさんとそちらの部署のBさんをトレードしませんか?」
意味:交換すること。取り替えること。
例文:「キミの仕事とボクの仕事をチェンジしない?」
芸能界での「バーター」の類義語
芸能界での「バーター」は大物と新人を抱き合わせで使うことです。類似の表現には次のようなものが考えられます。
意味:よく売れるものとあまり売れないものとを組み合わせて売る。
例文:「Aさんの出演交渉が上手くいっていないようだが、Bさんとの抱き合わせで交渉してみたらどうかな?」
意味:組み合わせてひとそろいにすること。
例文:「次のCさん出演のドラマなんですが、Dさんもセットで出演させていただけないでしょうか。」
意味:ひとつにまとめること。
例文:「EさんとFさん一緒にでしたら出演契約してもいいですよ。」
「バーター」の英語表現
ビジネスシーンでの「バーター」はもともと英語で物々交換を意味する「barter」から来ていますから、英語表現はそのまま「barter」となります。
例文:trade by the barter system(物々交換で取引する)
芸能界の「バーター」は「束」を逆さ読みした業界用語ですから、直接の英語表現にあたるものはないことになります。
まとめ この記事のおさらい
- 「バーター」はビジネスシーンと芸能界で言葉の意味が違います。
- ビジネスシーンの「バーター」は英語の「barter」が語源です。
- 意味は「物々交換」「交換条件」をあらわし、「バーター取引」という表現もよく使われます。
- 類義語としては「物々交換」「交換条件」「トレード」「チェンジ」などがあります。
- 英語表現はそのまま「barter」です。
- 芸能界の「バーター」は「束」の逆さ読みから来ています。
- 意味は「抱き合わせ」で、大物と新人の芸能人を抱き合わせで出演させるときに使う表現です。
- 類義語としては「抱き合わせ」「セット」「一緒」などがあります。