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この記事では「します」という動詞について解説していきます。「します」は日常会話や文書の中で多用されるおなじみの言葉ですが、あまりにおなじみすぎてビジネスシーンでは敬意を欠く表現になるのではないかと使用をためらう人も少なくありません。
そこでこの記事では「します」の敬語表現に着目。ビジネスでも安心して使える「します」の敬語的表現をはじめ、類語や英語表現なども紹介していきます。ぜひ最後までお読みいただき、皆様のよりよいビジネス展開にお役立てください。
「します」の意味と使い方
「します」という言葉の意味と使い方は多彩です。まず動詞として「意図的に何かを行う」「何らかの状態になったことが感じられる」「ある役割を担って働く」「人や物事を今とは違った状態に変える」「(マスクなどを)身につける」などの意味で用いられます。
「意図的に何かを行う」という意味の「します」の例文
総会には社長が出席します。
「何らかの状態になったことが感じられる」という意味の「します」の例文
なんだかいやな予感がします。
「ある役割を担って働く」という意味の「します」の例文
「人や物事を今とは違った状態に変える」という意味の「します」の例文
次に補助動詞の「します」は他の動詞を強調する用法をはじめ、「仮定の状況で考察する」「今にも何かが起こりそうになる」などの意味をあらわします。また接頭語の「御(『お』または『ご』)」と合わせて謙譲の意をあらわす敬語としても用いられます。
補助動詞として他の動詞を強調する「します」の例文
仮定の状況で考察する「します」の例文
接頭語「御」と合わせて謙譲の意をあらわす「します」の例文
「します」は敬語のひとつ「丁寧語」
「します」は動詞「する」の丁寧語になります。丁寧語は尊敬語や謙譲語とともに敬語を構成する3要素のひとつ。話し手が自分以外の全員に敬意を示す表現をいいます。尊敬語や謙譲語とちがって、相手との上下関係によって表現を変えることはありません。
では「する」を尊敬語と謙譲語で表現する場合はどのような表現になるのでしょうか。
「する」の尊敬語は「なさる、される」
「する」の尊敬語は「~なさる」「~される」という表現が基本。古い言葉では「あそばす」も「する」の尊敬語になりますが、現代ではほとんど使われません。
「する」の謙譲語は「いたす」
「する」の謙譲語は「いたす」です。謙譲語とは自分を下げることで相対的に相手を高める敬語です。逆に相手の行為に「いたす」を加えると大変失礼な言い方になります。くれぐれも目上の人の言動について「いたす」と表現しないように注意してください。
「いたす(致す)」の用例としては、「仰せの通りに致します」「不徳の致すところです」などのように単独で使う場合と、「お願いいたします」「ご連絡いたします」のように補助動詞として動詞や形容詞・形容動詞などに後続して謙譲語化する表現があります。
ちなみに公文書などの表記については文化庁の内閣訓令によって、補助動詞はひらがなで表記することと定められています。前述した「いたす」の用例も「不徳の致す」は漢字で、「ご連絡いたします」はひらがなで表記しているのもそのためです。
ビジネス文書や公的な書類を作成する場合には補助動詞のひらがな表記にもご注意ください。
「します」と「いたします」の違い・使い分け
「します」と「いたします」の違いは敬語の丁寧語と謙譲語の違いと同じです。丁寧語は相手に丁寧な言葉で伝えたいときや、相手の言動を丁寧に表現するために使います。丁寧語の「します」は相手を主語にする場合でも敬語として使用可能です。
一方、「いたします」は謙譲語ですので、主語の人物がへりくだることを意味します。謙譲語は目上の人を主語にする場合は注意が必要です。たとえば「社長は外出いたしております」という場合、話の相手が社長の部下であれば不適切な言い方になります。
一方、話の相手が社外の人や社長よりも地位が高い場合は、「社長は外出いたしております」という謙譲語は相手を高めるための正しい敬語表現になります。
「します」と「いたします」の混在はNG?
「します」は文法的には敬語の丁寧語ですが、謙譲語とちがって自分がへりくだる表現ではありません。しかも丁寧語とはいえ、形は一般的な「ですます調」の表現と同じ。改まった席で「します」を多用すると配慮が足りないと思われるかもしれません。
ビジネスシーンでは直属の上司や同僚といった身近な相手に「します」を使うのは問題ありませんが、地位の高い人や取引先が相手の場合には敬意に欠ける印象を与えてしまう可能性もあります。ビジネスでは「します」の多用は避けたほうが良いでしょう。
丁寧語の「します」と尊敬語の「されます」、謙譲語の「~いたします」「申し上げます」は敬語のルールに則って使い分けてください。使い方が適切であれば、「します」と「いたします」の混在はNGではありません。
「します」の類義語と例文
「します」の類義語としては「行います」「為します」「やります」などをあげることができます。「行います」は「物事を実施する」という意味の「行う」という動詞の丁寧語。「入社式を行います」「披露宴を執り行います」といった使い方ができます。
「為します(なします)」は「為す」という動詞の丁寧語ですが、現在ではほとんど使われません。強いて言えばスピーチで「災い転じて福を為す」という格言を引用する際に「災い転じて福を為します。」という場合です。
「やります」は「やる」の丁寧語で、意味は「何かする」。たとえば「子供にお金をやります」のように何かを与える意味や、「そちらに部下をやります。」のように人や物を差し向ける意味などがあります。
ちなみに「行います」「為します」「やります」などの動詞には補助動詞としての用法はありません。
「します」の英語表現
動詞の「します」をストレートに英訳すると「I do it.」か「I will do it.」となります。この「SVO」文型をベースに主語と動詞と目的語を適切に選ぶことで、「~します」の英語表現が可能です。
たとえば「テニスをします」は「I play tennis.」。同様に「私は英語を話します」は「I speak English. 」。「メールします」は「I’ll email you」と表現できます。
「悪い予感がします」は「I have a bad feeling.」と翻訳できます。ただし英語の場合、「する」と「します」の区別は表現できません。
一方、補助動詞としての「します」を英語にする場合はニュアンスや状況に応じてさまざまなフレーズを使い分ける必要があります。
たとえば「私は自分の目標を達成します」を英語にしたい場合は助動詞の「will」を使って「I will achieve my goal.」といった方法が可能です。
まとめ
- 「します」は動詞で「意図的に何かを行う」という意味で用いられます。
- 「します」は補助動詞で他の動詞を強調する用法もあります。
- 「します」は「する」の丁寧語で敬語表現になります。
- 「する」の尊敬語は「なさる、される」です。
- 「する」の謙譲語は「いたします」です。
- 「します」の英語表現はニュアンスに応じてさまざまなフレーズを使い分ける必要があります。