袂を分かつ|読み方・意味・過去形やビジネス等での使い方・英語表現などを解説

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この記事では「袂を分かつ」の読み方や意味について解説いたします。

「人との別れ」を表現したい場面で使われる言葉ですが、単なる別れを意味しているのではありません。

今回はその言葉に込められた意味や使い方、過去形やビジネス上での使い方、類義語や反対語なども含めてピックアップしました。

この記事を通して「袂を分かつ」という言葉への理解が深まれば幸甚です。

「袂を分かつ」の読み方・意味・使い方


「袂を分かつ」は「たもとをわかつ」と読み、「これまで一緒に行動していた人と別れる」という意味です。

単に「人との別れ」を表しているのではなく、「同じ目標を持って行動していた人と、価値観や意見が違ってきたので別れてしまう」という状況で使われます。

男女の別れに対して使う言葉だというイメージがあるかもしれませんが、上記のように同じ目標を持って行動していた人同士に対して使うことに注意が必要です。

「袂」という漢字の「ころもへん」を「しめすへん」にしてしまうのがよくある間違いとして挙げられるので、文字で書く場合には気をつけた方が良いかもしれません。

また「袂」とは和服の一部分を表しています。

和服には手を出す「袖口(そでぐち)」と腕の関節付近を通す「袖丈(そでたけ)」があり、「袖口」と「袖丈」の間の垂れ下がっている部分が「袂」です。

「袂」にはその他にも「そば」や「きわ」といった意味があり、「分かつ」とは古文単語で「分ける」を意味しています。

このことから「袂を分かつ」は「そばから離れる」ということを表し、それが転じて上記のような意味になるというわけです。

また「袂を分かつ」の使い方ですが、次の例を交えて確認していきましょう。

・長年苦楽を共にしてきた彼とどうしても意見が合わなくなり、袂を分かつことになりそうだ。

幼馴染など幼少期から仲良くしてきた間柄であっても、意見が合わなくなることは十分あり得ることです。

そうするとこれまでの関係を解消し、もう会わなくなるという事態にまで発展することがあります。

今回の例では、長らく苦楽を共にした彼と価値観の不一致があり、離れることになるかもしれないということでしょう。

・先日の出来事が発端で、二人は袂を分かつ決意をしたようだ。

同じ目標を持って頑張っていた関係でも、何かしらのきっかけで関係が修復できなくなることがあります。

この例だと、先日起こった出来事が引き金となって二人は別れる決意をしたということです。

「袂を分かつ」の語源

「袂を分かつ」の語源は「手元」が「袂」に転じたことだといわれています。

「手元」とは自分のすぐ近くを表す言葉で、それが由来となり「袂」にも「そば」や「きわ」といった意味があるとされているのです。

また昔は「袂」の部分を好きな人に向かって振ると、一緒になれると考えられていました。

「袂」を振った相手と結婚すれば親元を離れなければならなくなるので、「袂を分かつ」という言葉ができたとされています。

「袂を分かつ」の過去形での使い方

「袂を分かつ」の過去形での使い方は、「袂を分かつようになった」が良いでしょう。

「袂を分かった」でも過去形にはなりますが、「分かった」を「理解した」というように誤った解釈をされるかもしれないからです。

上記のような誤解を防ぐ為にも「袂を分かつようになった」、あるいは「袂を分かつ結果となった」のような表現にした方が分かりやすいといえるでしょう。

「袂を分かつ」のビジネス上での使い方

退職 挨拶
「袂を分かつ」はビジネス上でも使われることがある言葉です。

ビジネス上での使い方としては、例えば以下のようなものが考えられます。

・彼とは新入社員の頃からのパートナーだったが、価値観が合わなくなり袂を分かつ結果になった。

新入社員の頃から仕事のパートナーだった人と、価値観が合わなくなりパートナー関係を解消することになったことを表す例文です。

どんなに気が合う相手だとしても、時間が経つと立場や役職も変わっていくことなどが影響し考え方にズレが生じることがあるかもしれません。

・昔から懇意にしていた取引先との関係が悪化しており、袂を分かつことになるかもしれない。

良好な付き合いをしてきた取引先であっても、時代が変わっていくと関係が険悪になってしまう可能性はあります。

今回の例では、関係が悪くなっているので今後の取引がされなくなるかもしれないということです。

「袂を分かつ」の類義語と例文

只管
「袂を分かつ」の類義語としては、下記のようなものが挙げられます。

・袖を分かつ

・袂別

また上記の類義語を使うと、次のような例文を作ることができます。

・段々と価値観が合わなくなってきた為、彼とは袖を分かつことになった。

「袖を分かつ」は「そでをわかつ」と読み、「一緒にいた人と別れる」という意味です。

「袂を分かつ」とほとんど同じ意味で使われています。

・今日の話し合いの結果次第では、彼女とは袂別することになるかもしれない。

「袂別」の読み方は「べいべつ」で、意味は「袂を分かつ」と同じです。

読み方は少し難しいですが、使われている漢字から意味は連想しやすいかもしれません。

「袂を分かつ」の反対語と例文

仕事が大好き
「袂を分かつ」の反対語は、「袖を連ねる」が適当でしょう。

「袖を連ねる」とは「たもとをつらねる」と読み、「共に行動する」や「大勢の人が連なって行く」といった意味です。

この言葉は「着物を着た人が袂を並べて座っている様子」からできたとされています。

また「袂を連ねる」の例文としては、次のようなものが考えられるでしょう。

・先日の会議では役職者のほとんどが袂を連ねて出席した。

会議の種類や規模によっては役職者がほとんど出席しないことがあります。

逆に重要な会議や大規模な会議では、多くの役職者が出席することもよくあることでしょう。

今回の例でも、先日の会議が重要あるいは大規模なものであったのでほとんどの役職者がこぞって参加したのかもしれません。

「袂を分かつ」の英語表現


「袂を分かつ」の英語表現は、「break off」などが該当します。

「break off」は「引きちぎる」や「やめる」の他に「断ち切る」という意味もあり、人との関係を断ち切るケースなどで使うことが可能です。

実際に「break off」を使った例文としては、以下のようなものが挙げられます。

・I will break off with them.(彼らとの関係を断つつもりだ。)

この例では、「絶交する」というニュアンスを含んでいることが読み取れるでしょう。

また「break off」は「break off an engagement」のように、「婚約を解消する」という意味で使うこともできます。

まとめ この記事のおさらい

・「袂を分かつ」は「たもとをわかつ」と読み、「これまで一緒に行動していた人と別れる」という意味がある

・「袂を分かつ」は男女の別れではなく、目標を同じくする人との別れを意味している

・「袂を分かつ」の過去形での使い方としては、「袂を分かった」ではなく「袂を分かつことになった」の方が誤解を与えにくい

・「袂を分かつ」の類義語としては、「袖を分かつ」や「袂別」などが挙げられる

・「袂を分かつ」の反対語は「共に行動する」や「大勢の人が連なって行く」などを意味する「袂を連ねる」が適当

・「袂を分かつ」の英語表現は「人との関係を断ち切る」ことを意味する「break off」が考えられる