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ここでは「ご用命」という言葉について解説いたします。
「ご用命」は「用命」の敬語ですが、使う際には謙譲表現にするという独特のルールがあります。そこで、ここでは「ご用命」の意味と正しい使い方を、類義語と英語表現なども含めて詳しく解説いたします。どうぞ最後までお読みください。
「ご用命」の読み方・意味・使い方
「ご用命」は「ごようめい」と読みます。意味は「用命」の丁寧語ですが、「(目上の人が格下の相手に)用をお命じになる・注文をなさる」というニュアンスがあります。一般的には、目上の人が「ご用命」する相手は「自分」になる場合がほとんどです。
「ご用命」の語源
「ご用命」は「用を命じること」「注文すること」をあらわす「用命」に、丁寧語の接頭辞「ご」をつけて敬語化した言葉です。
「用命」の「用」は「甬鐘(ようしょう)」という鐘をあらわす象形文字で、鐘を打つときは柄をつかんで持ち上げたことから、「とりあげる」「もちいる」という意味をあらわす漢字になりました。
一方、用命の「命」は、ご存じのように動詞では「命じる」。名詞では「いのち」と読み、「生命」を意味する字です。「命」の語源は「口」と「令」を合わせた会意文字で、「令」は冠の下で人がひざまずく姿の象形といわれています。
「命」の「口」については諸説ありますが、「命」が「神の言葉」を語源とするという解釈は一致しています。そして「命(いのち)」も神から授かったものという理由から「命=生命」の意味もあわせ持つようになったと考えられています。
「ご用命」を使うときの注意点
前述したように「ご用命」は敬語ですので、自分が「用命」するのではなく、目上の人が格下の人に「用命」するという意味で用いるのが基本です。「ご用命」する側は目上の人に限られますが、「ご用命(を)する」という形では使われません。
「ご用命」を使うときは、「『ご』~になる」という敬語の基本形にしたがって「(社長が)ご用命になる」とするか、「(社長から)ご用命を承る」「(社長の)ご用命をいただく」といった受け身の用法が基本です。
最近では「わたくしがご用命させていただきます」「社長がご用命されました」などという盛りすぎた表現も見受けられますが、「ご用命」自体が敬語ですから、これらは「二重敬語」といわれる誤用になります。
名詞に敬語の接頭辞「ご」をつけるパターンは「ご注文」や「ご指示」も同じです。ただし「ご注文」や「ご指示」が「注文」「指示」など「ご」抜きでもよく使われるのに対し、「ご用命」を「ご」抜きで使うケースは現代ではほとんどありません。
強いて言えば、自分が部下に命令する場合は「私が用命する」といえますし、尊敬の助動詞「される」を使う場合も「(社長が)ご用命される」では二重敬語になってしまうので、「(社長が)用命される」と「ご」抜きで表現するのが正しい用法になります。
ただし、このような場合は「私が指示する」や「社長が注文される」のように違う言葉にすることが多く、「用命」という言葉をあえて使うケースは稀だといえます。「用命」は「ご用命」という敬語形が標準化していると理解した方が良いでしょう。
「ご用命」のビジネス上での使い方
昨今のビジネスシーンでは敬語表現が標準語になっている、といっても過言ではありません。敬語の「ご用命」も営業や接客業を中心に幅広く用いられています。使い方は「目上の人や顧客が自分に指示(または注文)する」という場面で用いるのが基本です。
目上の人や顧客が自分に指示する場合の例文
ほかに何かお困りのことやご希望等がございましたら、どうぞ遠慮なくご用命ください。
カスタマーサービスでは年中無休でいつでもご用命を承りますので、よろしくお願い申し上げます。
顧客から商品などの注文を受ける場合の例文
納期は来月15日ということで、すでにご用命を賜っております。
ご用命の商品につきましては、一週間以内にお届けできるかと存じます。
より丁寧な表現は「ご下命」
昨今のビジネスシーンでは敬語が当たり前になりすぎて、より丁寧で敬意の強い言い方を求める傾向があります。「ご用命」も敬語表現として不足のない言葉ですが、より丁寧な表現を使いたいときには「ご下命」という言葉を用いる場合もあります。
「用命」は注文や命令することを意味するのに対して「下命」は「命令を下す」こと。接頭辞の「ご」がなくてもトップダウンの意味を持つ言葉ですので、命令を受ける側が使用することで「用命」よりも謙譲の意味が強い表現になります。
ただし「ご下命」という表現は上意下達の意味が強すぎて、場合によっては慇懃無礼なニュアンスになりかねない、という難しさもあります。「ご下命」を用いるのは相手が極めて格上の場合に限ることをおすすめします。
「ご用命」の類義語と例文
「ご用命」と同じような意味を持つ類義語としては、「ご依頼」「ご所望」「ご注文」「ご要望」「ご依頼」「お求め」「お買い求め」「お申し付け」などをあげることができます。
そのうち「お求め」について補足しますと、近年よく用いられる「お求めやすい価格」という言い方は、文法的には誤用表現になります。現代では「お求めやすい」が一般的になってはいますが、正しい表現は「お求めになりやすい価格」となります。
「ご所望」の例文
「お申し付け」の例文
「ご用命」の英語表現
英語には敬語のニュアンスを持つ単語はありません。したがって「ご用命」の英語表現は「依頼・注文・命令・問い合わせ」などを意味する「ask」「command」「contact」「order」「request」などを用います。
また英語で日本語の敬語に相当するニュアンスを表現したい場合は、「恐縮ですが」を意味する「regret」や、「感謝します」を意味する「appreciate」、「どうぞ」「どうか」を意味する「please」などを添えるのが良いでしょう。
「regret」の例文
大変恐縮ではございますが、難しいご用命にはお応えいたしかねます。
「contact」の例文
資料か詳しい説明をご希望の際はお気軽にご用命ください。
「order」の例文
弊社にご用命いただき誠にありがとうございます。
まとめ
・「ご用命」は「(目上の人が格下の相手に)用をお命じになる・注文をなさる」という意味の言葉です。
・「ご用命」の類義語は「ご依頼」「ご所望」「ご注文」「ご要望」「ご依頼」「お求め」「お買い求め」「お申し付け」などになります。
・「ご用命」の英語表現には「ask」「command」「contact」「order」「request」などを用います。