領収書の宛名について解説|ケース別の正しい書き方・よくある疑問を解決

※本サイトはプロモーションを含んでいます。

社会人になると、会社の経費精算の関係などで領収書をもらうケースが増えます。領収書をもらうときに「宛名はどういたしますか?」と聞かれて戸惑った経験がある人もいるでしょう。

この記事では、領収書の宛名について解説します。宛名でよく聞く「上様」って何?、領収書の宛名は自分で書いてもいいの?など、多くの人が疑問に思うことを分かりやすく説明していきます。

領収書をもらう側の人にとっても、発行する側の人にとっても、役に立つ内容になっています。

領収書の宛名とは


領収書の宛名について説明をする前に、領収書にはどんなことが書かれているのかを簡単に説明します。

領収書をもらったことがある人でも、領収書にはどんな項目があって何が書かれているのかを気にしたことがない人もいるでしょう。領収書には次の項目が記載されています。

1.発行日
代金のやり取りを行った日付です。
2.宛名
領収書を受け取る人(支払いをした人)の名前です。個人名の場合と会社名の場合があります。
3.金額
支払われた代金が記載されます。
4.但し書き
何に対しての支払なのかが記載されます。確認されることも多い項目です。
5.発行者情報
領収書を発行した店舗や会社などの情報です。
社名、住所が記載され、多くの場合、押印がされています。

宛名以外の項目は、領収書を発行する側で分かっているものですが、宛名は支払をした人に聞かないと書くことができません。従って、領収書の発行をお願いした場合には、必ず「宛名はいかがいたしますか?」と聞かれることになります。

領収書の宛名の「上様」の意味

「上様」は領収書の宛名のときにしか見聞きしない独特な表現です。「上様」と書いて「うえさま」と読みます。「じょうさま」「かみさま」と読む場合もあります。

領収書の発行をお願いしたときに、「宛名は上様でよろしいでしょうか?」と聞かれるケースがあります。また、もらう方の人が宛名を聞かれて「上で」と返事しているのを聞いたことがある人もいるでしょう。

「上様」というのは、特定の人や会社を差しているものではありません。宛名に個人名や会社名を書く代わりに使われているものです。「お客様」「あなた」などのように誰にでもあてはめられる呼び名です。

どうして領収書の宛名に「上様」と書くようになったのかは2つの説があります。

ひとつめは尊敬の念を込めて相手に使う言葉から来ているという説です。江戸時代は将軍様のことを「上様」と呼んでいました。もうひとつは、「上客」「上得意」の「上」を取った表現だという説です。
どちらにしても、領収書を受けとる相手を立てる意味があるのでしょう。

では、領収書の宛名は「上様」が正式なのかというとそうではありません。何らかの理由で受け取り人の名前が分からない場合に、代替として書く宛名だと認識しておいた方が良いでしょう。

領収書を発行する側の人はしっかりと名前を聞いて宛名を書く、受け取る側の人は宛名を聞かれたら正式な宛名を伝える、ということを守っておいたほうが、なんの用途で領収書を使うにしても間違いがありません。

領収書の「但し書き」も重要

領収書においては「但し書き」も注意を払いたい項目です。

但し書きは領収書にある金額が何に対してのものなのかを示すものです。よく見かけるのが、但し書きが「お品代として」となっている領収書です。
品物を購入した代金なので「お品代」が間違いというわけではないのですが、なにを購入したのかがもう少し具体的に分かるようにするべきです。

経費として認められるのは、事業に関係のある品物やサービスの購入です。「お品代」では、仕事に必要なものを買ったのかプライベートの買い物なのか分かりません。詳細な品名まで記載する必要はありませんが、ある程度、購入した品物がわかるように書かれているのが相応しいといえます。

但し書きの例
 お品代 → ×
 書籍代 → 〇
 文房具代 →〇
 お花代 → 〇
 飲食代 → 〇

領収書を書くときには、相手に但し書きを確認してから記入するのが一般的です。「お品代でよろしいでしょうか?」と聞かれると、受け取る側は「はい」と答えてしまいがちです。書く側の人は「書籍代でよろしいでしょうか?」のように具体的な品物名を出して聞くことを心がけると良いでしょう。

領収書の宛名の正しい書き方

TOEIC 履歴書
領収書が必要な代表的なケースは2つあります。会社員が立て替えて支払った経費を会社に申請するための場合と、個人事業主が確定申告の際に必要経費として申告するために必要な場合です。

それぞれについて、領収書の宛名はどうしたら良いかを説明します。

会社の従業員として代金を立て替える場合

会社の従業員として代金を立て替える場合、領収書の宛名は会社名にすべきか個人名にすべきか迷う人もいるでしょう。

領収書の宛名は本来代金を支払うべき人の名前にします。立て替えは、いったん自分で支払うけれども後に会社から代金をもらうことになります。最終的に代金を支払うのは会社ですから、領収書の宛名は会社名にするのが正解です。

宛名が会社名の場合は「株式会社」などの表記も省略しないようにしましょう。

個人事業主の場合

個人事業主の場合の領収書の宛名は、「屋号」を使用していれば「屋号」と「個人名」を列記します。屋号がない場合は個人名だけで構いません。

参考までに「屋号」とは個人事業主が使用する商業上の名前のことです。法人には必ず社名がありますが、屋号は個人事業主の社名にあたるものです。必ずしも屋号をつけなくてはいけないということはないのですが、お店を経営している場合は、店名を屋号にしているケースが多くなっています。

宛名なしの領収書の発行が認められている事業者

看護師国家試験
領収書に必要な項目は、消費税法で次の5つが定められています。

1.書類の作成者の氏名又は名称
2.課税資産の譲渡等を行った年月日
3.課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容
4.課税資産の譲渡等の対価の額
5.書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称

少し難しい言い回しなので、先ほど説明した領収書の項目にあてはめると次のようになります。

1.発行者情報
2.発行日
3.但し書き
4.金額
5.宛名

ただし、次の事業においては1~4で良いと定められているので、5.の宛名は省略することが可能になります。

・小売業
・飲食店
・写真業
・旅行業
・バス、鉄道、航空会社などの旅客運送業
・駐車場業

ただ、これは会社が消費税を納めるにあたり適用されるものですので、会社員が立替金を会社に申請するのに使う場合は、会社のルールに従った領収書を用意する必要があるでしょう。

領収書の宛名に関するよくある疑問

疑問
こんなとき、領収書の宛名はどうしたらいい?という、多くの人が迷うことについて説明します。

領収書の宛名を自分で書いても良い?

宛名が書いていない領収書をもらった場合に宛名を自分で書いても良いのかというのは、多くの人が一度は考えたことがある疑問でしょう。

空欄で提出するより自分で書いた方がいいかな、と思うかも知れませんが、宛名を自分で書いてはいけません。

領収書のすべての項目は発行する側が記載するものです。自分で書き加えることは避けましょう。自分で書いた場合には私文書偽造にもなりかねませんし、他人がもらった領収書を自分のものとして不正に利用しているのではないかと疑われる恐れもあります。

領収書の宛名が個人名の場合、会社の経費として認められる?

会社に提出して経費精算するつもり領収書を、うっかり個人の宛名でもらってしまった経験がある人もいるでしょう。この場合、会社の経費として認められるかどうか悩むところです。

会社の税制上で考えれば、宛名が会社でなくても経費として計上することができます。経費計上が可能かは事業に関係する支出かどうかが一番のポイントになります。宛名が個人宛でも、上様であっても経費計上ができないということはまずありません。

ただ、会社員が立替金を会社に申請して経費として認めてもらうには、会社のルールが適用されるでしょう。もし会社のルールで宛名が会社名以外のものは認めないとなっていれば、立て替えた分の代金を受け取ることが難しくなってしまいます。

会社に税務調査が入ったときも、宛名が個人のものがあると、用途をたずねられたり説明を求められることも考えられます。会社に経費申請するつもりのものは、領収書の宛名に会社名を書いてもらっておいたほうがなにかと安心です。

宛名なしの領収書は経費として認められる?

宛名が空欄の領収書でも、用途が事業に関係するものであれば、会社は経費として計上することができます。

ただしこれも立替金を会社に支払ってもらうには会社のルールがありますので、宛名は空欄や上様ではなく会社名を記入してもらっておけば何の心配もありません。レシートやレジで印刷されるタイプの領収書が認められるかどうかも確認をしておくと良いでしょう。

領収書の宛名を間違えたときの、正しい訂正方法


もし領収書の宛名を書き間違えて訂正したい場合には、その領収書は無効にし新しく発行するのがベストですが、訂正も可能です。
訂正する場合は、間違えた個所に二重線を引き、訂正印(発行者の会社印もしくは個人印)を押印、余白に正しい宛名を書きます。

次の方法での訂正は絶対にしてはいけません。

・修正液・修正テープを使う
・そもそも消せるボールペンで記入する

どちらも訂正として認められず領収書が無効になってしまう可能性がありますので注意しましょう。

間違いが起こらないように、領収書を依頼する際には、名刺やメモ書きを利用して、口頭ではなく視覚的に確認できる方法で宛名を伝えるようにすると、発行する側も受け取る側も面倒がありません。

まとめ この記事のおさらい

  • 「上様」は会社名や個人名がわからないときに使う不特定多数にあてはまる呼び名です。
  • 領収書の但し書きは「品代」ではなく品物やサービス内容がわかるものが相応しいです。
  • 小売業など一部の事業者は宛名なしの領収書を発行して良いとされています。
  • 会社の立て替えで支払った分の領収書の宛名は「会社名」にします。
  • 個人事業主が確定申告に使うための領収書の宛名は「屋号」+「個人名」にします。
  • 領収書の宛名は自分で書いたり訂正してはいけません。
  • 宛名が個人名や空欄の領収が会社に経費として認められるかどうかは会社のルールによります。
  • 領収書の宛名を訂正するときは二重線を引いて訂正印を押印します。