ここでは「宣伝」とまぎらわしい「喧伝」について解説します。

「喧伝」は日常会話の中でそれほど多く使われる言葉ではありません。
ウェブ上の出現頻度もかなり低いほうですが、一方で、政治経済などの論説文や、少し古めの文学作品では、決して珍しくない言葉でもあります。

「喧伝」の意味は、「宣伝」と似ています。漢字も似ていますが、意味も字も全く同じではありません。

どうぞ最後までお読みになって「マナラボは勉強ためになる」と、広く世間に喧伝していただけると幸いです。

喧伝の読み方・意味・使い方

喧伝は「けんでん」と読みます。

「喧」は音読みでは「けん」、訓読みでは「喧しい(かまびすしい)」「喧しい(やかましい)」と読みます。意味はまさに訓読みのとおり「かまびすしい」「やかましい」をあらわす漢字です。

次に「伝」は、音読みでは「でん」、訓読みでは「伝える(つたえる)」「伝(つて)」などと読みます。意味としては「つたえる」「語りつぐ」「ひろめる」などをあらわす漢字です。

喧伝の意味

「喧伝」は、「やかましい」を意味する「喧」と「つたえる・ひろめる」を意味する「伝」からなる熟語です。

意味としては「盛んに言い広めること」「世間に言いはやし伝えること」をあらわします。

ちなみに「宣伝」には商品の販売を促進するためにメリットや効果の周知をはかる、という営利目的の意味がありますが、「喧伝」には、そうしたニュアンスは含まれません。

喧伝の使い方

「喧伝」という言葉を日常生活の中で使う機会はまずありません。

また「喧伝」は必ずしも良い意味とは限らないことも理解しておく必要があります。

というのも、「喧伝」には「何かを目立たせようとして声高にいいふらす」というニュアンスがあるからです。
「悪事千里を走る」という言葉も、「喧伝」の効果を示しているものといえなくもありません。

いずれにせよ「喧伝」はあまり一般的な言葉でありません。会話の中で使ってみたくなっても、相手が語彙力のある年長者でもなければ、避けたほうが無難でしょう。

喧伝の例文

例文:立志伝中の人は自らの苦労と功績を喧伝したがる傾向にある。
例文:某国がG20サミットで喧伝していたアジア経済圏構想には、軍事戦略的な野心が隠されている。
例文:今の時点では、気象庁が喧伝していたような天候の変化は見られない。

喧伝の類語

喧伝の類語としては、言い広める、言いふらす、売りこむ、周知させる、宣伝する、吹聴する、触れまわる、流布する、などがあります。

インターネット用語の「拡散」や「炎上」「バズる」なども、「喧伝」に近い言葉といえます。

喧伝の対義語

「喧伝」の意味は「声高に言いふらすこと」です。
したがって対義語は、黙殺、度外視、聞き流す、傍観、高みの見物など「何も言い広めない」という意味を持つ言葉か、あるいは「意図的に広まるのを防ぐこと」を意味する隠匿、隠蔽、隠し立て、口止め、伏せる、などをあげることができます。

類義語と対義語の例文

喧伝の類義語

言いふらす

例文:「お姑さんったら、あんなことまで言いふらして!ほんと、歩くスピーカーだわ!」

流布する

例文:中国では、ずっと以前から山口百恵は楊貴妃の子孫だという話が流布しているらしい。

バズる

例文:SNSでバズった猫の動画を100歳のひいひいばあちゃんに見せたら、「それならとっくにスマホで見とるわ。ダウンロードアプリで保存もしたで」と言われて、マジびっくりした。

吹聴する

例文:彼は英会話学校で「I was born in the U.S.A.」と吹聴しているが、本当は U.S.Aではなく、宇佐(USA)で生まれたコテコテの日本人だ。

喧伝の対義語

黙殺する

例文:「仕事はなくてもいいです。給料さえもらえれば」という若手社員の声は、社長にすげなく黙殺された。

高みの見物

例文:義実家の醜い相続争いがどう決着するのか、三男の嫁の私は、高みの見物を決め込んでいる。

喧伝の英語表現

「喧伝」は「声高に言いふらす」「吹聴する」という意味の言葉です。
英語では、「(うわさ)を広める」「(商品などを)売り込む」「周知させる」を意味する、diffuse,propagate,rampant,spread,disseminate, tout, trumpetなどの言葉に該当します。

propagate & diffuse

「propagate」は宣伝する、伝播する、という意味の英語です。「diffuse」は広める、拡散する、といった意味の英語です。

If you propagate the piece of information, you should diffuse it and try to make people support it and believe it.
(ある情報を喧伝する場合は、世間に広めると同時に、人々の支持と信頼を得るように尽力するべきです。)

tout

「tout」はしつこく勧誘する、うるさく売り込む、大げさに宣伝する、という意味の英語です。

Maybe if She had touted this accomplishment, she’d be first female president some time soon.
(もし彼女がこの功績を喧伝したら、きっと彼女は近いうちに史上初の女性大統領になるでしょう。)

rampant

「rampant」は流行する、はびこる、横行する、という意味の英語です。

On the first day of school, a rumour was rampant in my class that the new music teacher was a famous retired pianist.
(新学期の初日、私のクラスは新しい音楽の先生が引退した有名なピアニストであるという噂で持ちきりだった。)

trumpet

「trumpet」といえばラッパのひとつですが、英語では、大声で知らせる、吹聴する、といった意味があります。

One of the trumpeted truths is the fact that the chance of the bread falling with the buttered side down is directly proportional to the cost of the carpet.
(世間に広く知られた真実のひとつは、トーストを落としたときにバターを塗った面が下になる確率はカーペットの値段に比例する、というものです。)

まとめ この記事のおさらい

  • 「喧伝」は「盛んに言い広めること」「世間に言いはやし伝えること」を意味する言葉です。
  • 喧伝は宣伝とよく似ていますが、喧伝には、宣伝のような商業主義的な意味はありません。
  • 喧伝という言葉は日常生活の中ではほとんど使われないため、使う場合は話す相手を選ぶ必要があります。
  • 「喧伝」の対義語は「何も言い広めない」「意図的に広まるのを防ぐ」などを意味する「黙殺」「隠蔽」などの言葉になります。
  • 「喧伝」の英語表現は、「(うわさ)を広める」「(商品などを)売り込む」を意味するdiffuse,propagate,rampant,spread, tout, trumpetなどの言葉に該当します。