※本サイトはプロモーションを含んでいます。
ここでは「所存です」という言葉について解説いたします。
「所存です」はビジネスシーンや改まった席でよく使われる、社会人にはおなじみの言葉です。一方で、熟語としての「所存」の意味を聞かれると、大半の人は答えに詰まってしまうのではないでしょうか。
そこで、ここでは「所存」の語源やビジネスシーンでの使い方、類語、英語表現などを含めて多角的に解説いたします。どうぞ最後までお読みください。
「所存です」の読み方・意味・使い方
「所存です」は「しょぞんです」と読みます。意味は「(今述べたように)存じているところです」「(このように)思っています」「(今後はこのように)するつもりです」などと目上の人に自分の考えや意思、決意などを表明することをあらわします。
「所存です」という言葉は謙譲の表現で控えめに自己アピールする場合に用いられます。そのため以下の例文のようにビジネスメールでの売り込みや、履歴書・エントリーシート(ES)の自己PRなどでもよく使われます。
ビジネスメールの例文
ESの自己PRの例文
「所存です」の語源
所存は「存ずる所」を意味する熟語です。それぞれの漢字を解題すると、まず「所」は「戸」と「斤(斧=おの)」を組み合わせた文字で、「斧を脇に置いた入口の戸」を意味する象形です。そこから転じて「場所」や「範囲」の意味をあらわす漢字になりました。
一方、「存」の左偏は「在」の省略形で、木の棒を十文字型に組んだ柵や堰をあらわします。右偏の「子」は「頭が大きな乳児」の象形ですが、この場合は子々孫々とつながる係累のことを意味します。
つまり「存」は「しっかりした柵や堰」を意味する「在」と、「子々孫々まで維持する」という意味の「子」を合わせて「存在する」「残存する」をあらわす文字となり、その後「心の中にある」「思いがある」という意味も含む文字になったと考えられます。
「所存です」と「次第です」の違い
「所存です」とよく混同されるフレーズに「次第です」があります。両者は基本的な使い方は同じですが、意味は全く違います。
まず「所存です」は前述のように自分の意思や考えを表明する際に、「私はこのように思っています」としめくくる意味の言葉です。一方、「次第です」は物事の経緯について説明した後、「よって、今の状況になったわけです」としめくくる意味の言葉です。
たとえば就職活動でエントリーシートを書く場合、志望動機の欄に「御社の説明会で社員の皆様の懇切丁寧な対応に感動して入社を志望した次第です」というように過去の経緯を説明する際には「次第です」という言葉を使うことができます。
一方、内定式などで入社後の抱負を伝える際には、「鋭意努力いたす所存です」というように将来に向けた意気込みなどを示す際に「所存です」を使います。
「所存です」のビジネス上での使い方
「所存です」の「存」は、「存じる」という動詞で「思う」「知る」の謙譲語になります。したがって「所存です」にも謙譲のニュアンスがあります。
日本のビジネスシーンは上下関係に厳格な世界です。そこで目上の人を相手に自分の考えや決意を表明する際には「所存です」というフレーズがよく用いられます。
また商談やプレゼンでの自己アピールする際には「微力ながら誠心誠意尽力いたす所存でございます」というように用います。ただし「所存」を多用すると言い方がくどい印象を与えます。「所存です」は説明をしめくくるときの「キメの言葉」だと考えましょう。
「〜と思う所存です」は誤用
最近「所存です」を「〜と思う所存です」と誤用する例が散見されます。「所存です」は「思っております」という意味の言葉です。「〜と思う所存です」は二重表現になってしまうので、丁寧に言いたい気持ちを抑えて、シンプルな表現を心がけましょう。
「所存です」の類義語と例文
「所存です」と同じような意味の類義語としては「思います」「考えます」「存じます」「つもりです」などをあげることができます。
「思います」と「考えます」「存じます」は自分の思いや考えを伝える言葉です。また「存じます」は「このように認識しています」という意味でも用いられます。
「つもりです」は自分の意思や決意を相手に表明する際に用いることができます。
「所存です」という言葉は語感が堅く、ビジネスライクに感じられます。ビジネス以外のシーンでは、状況に合わせて「思います」「つもりです」などに言い換えることで打ち解けた表現にすることができます。
「思います」の例文
「存じます」の例文
「所存です」の英語表現
英語には敬語のニュアンスがないため、「所存です」を英語で表現する場合には、「~したいと思う」「するつもりだ」という意味の「intend to~」「I will~」「would like to~」などのフレーズを使うのが一般的です。
「intend」は「意図する」「つもりである」などを意味する単語で、「intend to~(do)」の形で「(~をする)つもりである」という意思を表現します。
「I will~」も「私はそれをしたいと思う」という強い意思や決心をあらわします。また「あらかじめ決めていたことをする」という意味では、「be going to~」というフレーズもよく使われます。
「I would like to~」は「(さしつかえなければ)~をしたいと思うのですが」という丁寧な表現になります。ただし「所存です」のような謙譲のニュアンスはありません。
また「~したいです」の意味では「I want to~」という表現も一般的ですが、ビジネスシーンでは子供っぽい言い方に聞こえるかもしれません。
「intend to~」の例文
私がこの新システムを導入してどのようなことをいたす所存かはすでにご説明したとおりです。
「I would like to~」の例文
ここで、本日のプレゼンテーションにご協力いただいたソフトウェア開発会社の責任者をご紹介したい所存です。
まとめ
- 「所存です」は目上の相手に自分の考えや決意などを表明する際に用いる言葉です。
- 「次第です」は過去の経緯を説明する際に使う言葉です。
- 「所存です」の類義語には「思います」「考えます」「存じます」「つもりです」などがあります。
- 「所存です」を英語で表現には「intend to~」「I will~」「would like to~」などが使われます。