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映画やドラマで見るボディガードは、黒服に身を包み身体を張って大切な人を守り抜くというイメージです。しかし、実際にどのような仕事をしているのか、どうしたらボディガードになれるのかなどを知っている人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、ボディガードの仕事内容やボディガードになる方法、年収や勤務先などを解説します。
ボディーガードとは
ボディガードは、要人の身辺を警護する仕事です。総理大臣や国賓、会社役員、著名人など、さまざまな危険にさらされている人の身を守る役割です。
ボディーガードの仕事内容
ボディガードといえば、守るべく人物にピッタリと寄り添って、危害を加えられないように守っているイメージがありますが、隣に寄り添うだけが警護のスタイルではありません。
不審者が侵入しないように建物の出入りを見張る、不審な届け物がないをチェックする、控え室やロッカーの私物を守るのも警護の一環です。
ボディガードは身体や生命を守るのはもちろんですが、その人の財産、情報、イメージを守る役割もあります。場合によっては対象人物と離れた場所で任務に就くこともあります。
ボディガードは、仕事中は決められた任務から離れることができません。好きな時間に食事を取ることもできませんし、場合によってはトイレに行くことも難しい状況になります。任務が長時間にわたる場合や深夜におよぶことも珍しくありません。そして任務中は一瞬たりとも気を抜くことは許されません。
感情や環境に左右されずに緊張感を持続させたまま警備にあたるボディガードの仕事は、強い体力と精神力が求められます。
このように過酷なボディガードの仕事ですが、世界的に名の知れた要人の安全を自分が守るという大きな任務を与えられることは、ほかにはないやりがいを感じることができるはずです。
ボディーガードになるには
ボディガードは大きく分けて「公的機関で働く」「民間企業で働く」の2つのパターンがあります。
公的機関で働く場合
公的機関でのボディガードの役割は、警視庁警備部警護課に所属するSP(セキュリティポリス)と、皇室関係の警護を行う皇宮護衛官がそれにあたります。
SPは、警視庁警備部警護課に所属する警察官で、総理大臣、国賓、国会議員などの身辺の安全を守ります。
SPになる第一歩は、警察官採用試験に合格して警察官になることです。その中からSP候補生として特殊な訓練を受け、SPに任命された人がSPの職務に就くことができます。
警察官採用試験を受験するには、身長・体重、視力、色覚などの身体条件を満たしていることが必要ですが、SP候補生にはさらに「身長173cm以上」「柔道または剣道3段以上」「拳銃射撃上級」「英会話ができること」などが求められます。
皇宮護衛官は、天皇皇后両陛下をはじめ、皇室の方々の護衛と皇居、御所等の警備を行います。
護衛部門では、各国の元首や大使・公使の皇居参内時には、騎馬やサイドカーで護衛にあたることもあり、護衛のスキルはもちろんのこと、乗馬・スキー・テニス・外国語などの幅広い素養が不可欠とされています。
警備部門は、皇居、赤坂御用地、京都御所、大宮仙洞御所、桂・修学院離宮、正倉院、御用邸等を警備することが任務です。警察で唯一消防活動を行う部門でもあります。
皇宮護衛官になるには、皇宮護衛官採用試験に合格する必要があります。採用試験を受験するには身長・体重、視力、色覚などの身体条件を満たしていることが必要で、試験は筆記のほかに身体測定や体力検査もあります。
採用された後は、皇宮警察学校で特別な訓練を受けることになります。
民間企業で働く場合
民間企業でボディガードとして働く場合は、警備会社に所属するのが一般的です。
公的なボディガードは天皇や皇室関係者、総理大臣や国会議員、国賓などの警護を行いますが、民間企業のボディガードは、法人や個人から依頼を受けて、企業の重役や著名人などの警護を行います。
特定の人の警護にあたるという仕事内容は、公的機関も民間企業も共通のものです。しかし、公的機関のボディガードは警察官で民間企業のボディガードは民間人なので、出来る装備に違いが出てきます。民間企業のボディガードは拳銃や警棒などの所持や使用が認められていませんから、武器は自分の身体ということになります。
必須となる学歴や資格はない
公的機関のボディガード、SPや皇宮護衛官は警察官です。従って、採用試験の受験資格として高卒以上の学歴は必須です。また、身長・体重、視力、色覚などの身体条件を満たしていることも求められます。
民間企業でボディガードとして仕事をするために、必須な資格や免許はありません。所属する警備会社の採用条件に学歴や経験などの条件があればそれを満たしている必要がありますが、取得していないとボディガードとして働いてはいけないというような免許や国家資格などはありません。
ボディガードは身辺警護という特殊な仕事ですから、身につけなければならないスキルがあります。武道で優秀な成績を残した人や警察OBなどが引き抜かれるケースもあるようです。数は少ないですが、ボディガードを養成するスクールもあります。
ボディーガードの仕事に役立つ資格・スキル
ボディガードに免許や資格は必要ありませんが、持っていると有利だと考えられる資格やスキルはあります。
警備員指導教育責任者
「警備員指導教育責任者」は、警備会社の教育担当として警備員に指導教育を行うための資格です。ボディガードとしての知識を有している証明にもなりますので、取得しておくとよいでしょう。
「警備員指導教育責任者」は警備業務の区分ごとに4つに分かれています。
第2号警備:雑踏警備・交通誘導警備・競技会場警備・催事警備
第3号警備:輸送警備・貴重品輸送警備・核燃料物質等運搬警備
第4号警備:身辺警備・要人警備・特殊警備
「警備員指導教育責任者」の資格は、5日間~7日間の講習を受講し、修了考査に合格することで取得できます。
講習は下記のいずれかの条件に該当する人が受講できます。
2.受講する警備区分の警備業務検定1級の合格証明書の交付を受けた方
3.受講する警備区分の警備業務検定2級の合格証明書の交付を受けてから1年以上継続してその区分の業務に従事している方
4.受講する警備区分の旧検定1級に合格している方
5.受講する警備区分の旧検定2級に合格した後、1年以上継続してその区分の業務に従事している方
英語などの語学力
ボディガードとして働くためには、強い精神力、気配りや状況を察する力、タフな肉体と武道の心得は持ち合わせていないとならないものです。そして、さらに身につけていたいスキルは語学力です。
公的なSPでも民間のボディガードでも、海外からの要人を警護するケースはこれから増加することが考えられます。英語が堪能であることはボディガードとしての強みのひとつとなるでしょう。もちろん、英語以外の言語もできるに越したことはありません。
ボディーガードの年収
公的なSP、皇宮護衛官の給料は、国家公務員公安職俸給表(一)が適用されます。「平成30年国家公務員給与等実態調査の結果」によると、月給の平均はおよそ37万4941円でした(平均年齢41.3歳) 。これにボーナスが加わり、年収では600万円を超えるくらいになります。
令和2年4月採用者の初任給でみると、大卒者で月額 250,320円となっています。SP、皇宮護衛官は国家公務員のため、福利厚生や休暇などの待遇も整っています。
民間の警備会社でボディガードとして働く場合の給料は、会社の規定によるのでまちまちではありますが、年収で400万円~600万円程度といわれています。
警備会社に所属している場合、普段は一般の警備の仕事に就き、要請があった場合だけボディガードとしての職務に就くのがスタンダードです。ボディガードの仕事を行った分は手当が加算される形になります。
ボディーガードの勤務体系と休日
ボディガードの勤務時間は不規則になりがちです。公的なSP、皇宮護衛官の勤務は、当番、非番、週休、日勤を繰り返す4交代制が基本です。
民間の場合は依頼の内容によりますが、警護の仕事は早朝、夜間を問わず発生しますので、毎日決まった時間に働くことはないと考えたほうがよいでしょう。
休憩や食事をとるタイミングが難しかったり、トイレに行く時間も制限される場合も多いですから、体調や心を管理する方法を自分なりに確立しておく必要があるでしょう。
ボディーガードの将来性
日本は世界的にも治安がよく安全な国だとされています。しかし、海外では「安全はお金で買うもの」という認識があたりまえです。
今でこそ日本で日常的にボディガードをつける人はまれですが、将来的には日本の安全もお金で買う時代が近づいてきているかもしれません。要人のボディガードだけでなく、ストーカー対策などでの需要が高まることも考えられます。
ボディガードはAIやロボットに置き換えるのが難しい仕事です。そういった意味からも、ボディガードの仕事がなくなることは考えにくいといえます。
ボディーガードがおもに勤める場所
公的なSP、皇宮護衛官は警察庁に所属する警察官です。総理大臣、国賓、国会議員などの警護にあたります。皇宮護衛官は皇居、御用邸の警護にあたります。
民間では警備会社に所属するのが一般的です。身辺警護専門の警備会社もあるので、ボディガードを目指すなら身辺警護に力を入れている警備会社に入社するのが近道でしょう。
まとめ この記事のおさらい
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