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この記事では「情けは人の為ならず」の読み方や意味について解説いたします。
日常的にもよく使われている言葉ですが、実は意味や使い方を間違っているというケースも少なからずあるのです。
文化庁による令和四年国語に関する世論調査でも、この言葉について言及しています。
そこで今回は「情けは人の為ならず」の意味や使い方、語源や誤った解釈、ビジネス上での使い方や英語表現も含めて取り上げました。
それでは一つずつ確認していきましょう。
「情けは人の為ならず」の読み方・意味・使い方
「情けは人の為ならず」は「なさけはひとのためならず」と読み、「人に情けをかけると巡り巡って自分に良いことが返ってくる」という意味です。
「情け」とは他人を労わる心や思いやり、哀れみの感情を表しています。
つまり「他人を労ったり思いやったりしてあげると、それが巡って自分に良いことが返ってくる」ということです。
例えば「情けは人の為ならずという言葉もあるように、人を思いやることは自分の為でもある」というように使います。
なお「人の為ならず」とは「人の為にならない」ということではなく、「人の為ではなく自分の為になる」という意味であることには注意した方が良いかもしれません。
「情けは人の為ならず」の語源
「情けは人の為ならず」の語源は、鎌倉時代の軍記物語である「曽我物語」にその記述が初めて登場したとする説があります。
その後は数多くの物語や謡曲等に「情けは人の為ならず」という言い回しが登場しました。
なお「情けは人の為ならず巡り巡って己が為」というフレーズも度々見受けられますが、この言い回しも出典は定かではありません。
このフレーズに関しては「情けは人の為ならず」の意味を伝えやすくする為、後ろに言葉を付け加えて広がったものではないかとされています。
「情けは人の為ならず」の誤った解釈
「情けは人の為ならず」は、「情けをかけることはその人の為にならない」という意味だと間違えている人が少なからず見受けられます。
多くの人が間違えて覚える理由は、古語である「ならず」の誤った解釈が原因でしょう。
「ならず」とは物事を断定する意味を表す「なり」に、打ち消しの助動詞「ず」がついた連語です。
「人の為なり」は「人の為である」という意味ですが、逆に「人の為ならず」は「人の為ではない」という打ち消しの意味を表します。
しかし誤用している人の多くは、「ならず」を「~ではない」ではなく「~にならない」と誤訳しているのでしょう。
上記のように誤訳すると、「情けは人の為ならず」を「情けをかけることは人の為にならない」と間違えて覚えてしまうというわけです。
このような誤用をしないように、「ならず」は「~ではない」という打ち消しの意味だということをしっかり覚えておきましょう。
「情けは人の為ならず」のビジネス上での使い方
「情けは人の為ならず」は、ビジネス上でも使われることがある言葉です。
例えば次のような使い方が考えられるでしょう。
人に対して思いやりの心で接すると、回り回って自分に良い結果が返ってくるということもあるでしょう。
この例では、上記のようなこともあるので社内外の誰に対しても優しく接するようにしているということです。
後輩に丁寧に指導すると、やがてその後輩が育って戦力になってくれたり、自分の教え方がより良くなることが期待できます。
この例だと、そういった効果が期待できることもあり後輩へ丁寧に指導しているということが読み取れるでしょう。
「情けは人の為ならず」の類義語と例文
「情けは人の為ならず」の類義語としては、次のようなものが挙げられるでしょう。
・因果応報
・善因善果
また上記の類義語を使うと、以下のような例文を作ることができます。
「因果応報」は「いんがおうほう」と読み、「良い行いをすれば良いことが起こり、悪い行いをすれば悪いことが起こる」という意味です。
「因果」は「前世での行いの結果を現世で受ける報い」、「応報」は善悪の行いに応じて受ける吉凶の報いを表して言います。
近年では悪い意味として使われることが多い四字熟語ですが、良いことに対しても使うことができるのが特徴です。
「善因善果」の読みは「ぜんいんぜんか」で、その意味は「良い行いをしていれば、いずれ良い結果が起こる」です。
「善因」は良い結果に繋がった原因を、「善果」は良い果報をそれぞれ表しています。
今回の例では、「善因善果」という言葉を心がけることによって他人にも自然と優しくすることができるようになったということです。
「情けは人の為ならず」の対義語と例文
「情けは人の為ならず」の対義語には、下記のようなものがあります。
・悪因悪果
・身から出た錆
また上記の対義語を使った例文としては、次のようなものが挙げられるでしょう。
「悪因悪果」は「あくいんあっか」と読み、「悪い行いをすれば悪い結果が起きる」という意味で「善因善果」の対義語でもあります。
この例では、悪い行いをしていたので逮捕されるという悪い結果が起きたということです。
「身から出た錆」の読みは「みからでたさび」で、意味は「自分が犯した悪行の結果自分自身が苦しむこと」です。
刀の錆は刀身から生じるところに由来しているとされています。
この例だと、今まで散々悪行を犯してきた為誰も助けてくれないということを表現していることが読み取れるでしょう。
「情けは人の為ならず」の英語表現
「情けは人の為ならず」の英語表現としては、以下のようなものが挙げられます。
・He who gives to another bestows on himself.(情けは人の為ならず)
上記は「情けは人の為ならず」の有名な英語表現です。
「bestow」は「人に授ける」という意味があります。
・Compassion is not for other people’s benefit.(情けは人の為ならず)
「compassion」は「思いやり」という意味です。
上記の表現をそのまま訳すと「思いやりは他人の利益ではない」という意味になり、遠回しに「思いやりは自分の利益である」ということを表現しているのでしょう。
まとめ この記事のおさらい
・「情けは人の為ならず」は「なさけはひとのためならず」と読み、「人に情けをかけると巡り巡って自分に良いことが返ってくる」という意味がある
・「情けは人の為ならず」の語源は、鎌倉時代の軍記物語である「曽我物語」だとされている
・「情けは人の為ならず」は「情けをかけることはその人の為にならない」という意味だと間違えている人がいるが、これは古語の「ならず」を「~にならない」と誤訳している為だといわれている
・「情けは人の為ならず」の類義語としては、「因果応報」や「善因善果」がある
・「情けは人の為ならず」の対義語は「悪因悪果」や「身から出た錆」が考えられる
・「情けは人の為ならず」の英語表現は、「He who gives to another bestows on himself」や「compassion is not for other people’s benefit」がある