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誰しも、歴史や倫理の授業で「啓蒙思想」や「啓蒙書」などの言葉を耳にした事があるでしょう。
この記事では、啓蒙(けいもう)の意味、啓蒙と啓発の違い、啓蒙の英語表現について解説します。この記事を読むことで、啓蒙の正しい使い方を知ることができます。
啓蒙の意味は人を正しい知識に導くこと
啓蒙の意味は、無知の人を啓発して正しい知識に導くことです。
啓蒙のもともとの意味は、「暗いものをおもてに出して明るくする(光で照らされること)」です。ヨーロッパで発生した言葉であり、17世紀後半から18世紀に用いられていました。
啓蒙は上のものが下の者に使う言葉
啓蒙という言葉を聞くと、社会の授業で習った「啓蒙主義」を思い出す人も多いでしょう。モンテスキューの『法の精神』や、ルソーの『社会契約論』などが啓蒙主義の代表として取り上げられています。
啓蒙とは、人に知らないことを教え広めるという意味の言葉です。
例として、専門的な知識を持った人が講演会を開いたり、一般の人にもわかるように本を書いたりすることは、一種の啓蒙活動です。
教師から生徒、専門家から一般の人に物事を教えるため、啓蒙は基本的に、立場が上の者から下の者に対して使う言葉です。
啓蒙を差別用語としてみる人もいる
啓蒙は社会の授業で習うものの、日常生活ではあまり馴染みがない言葉です。「啓蒙」が差別用語だとする人々がいることが理由の一つです。
啓蒙自体を差別用語と断定することはできません。しかし、本来の意味は無知な人に正しい知識を教えることであるため、「無知な人々」という表現が相手を馬鹿にしているように感じるでしょう。
「啓蒙=馬鹿で無知な人に教える」という単純なものではありませんが、失礼な意味に捉えられ兼ねないため、最近は不適切用語として、あまり使われなくなってきています。
一昔前だと、役所が行う「啓蒙事業」というものがありました。しかし、現代で啓蒙を使うと「上から目線で、庶民を馬鹿にしている。」などという不満が出る可能性もあるため、現在は使われていません。
啓蒙を使った例文
啓蒙と啓発の違いは教わる側のレベル
「啓蒙」と似た言葉に「啓発」という言葉があります。
両者はよく似た意味を持つ言葉ですが、知識を教える対象が異なります。
啓発は、知識を与え理解を深めることが目的で、気づきを教え、知識を向上させるという意味があります。
「知識を与える」という意味では、「啓蒙」も「啓発」も同じような意味を持っています。しかし、啓蒙には知識がない人に教えるという意味があり、教えを受ける人のレベルに違いがあります。
啓発の場合、一般の知識よりも高度な内容を教え示して、知識をより高めるときに使われます。ただ知識を教えるだけではなく、知識の先にある気づきを与える事が最終目的であるという特徴があります。
啓発を使った言葉には以下のものがあります。
自分自身の知識や考えを高めることです。分野は問わず、自分が進歩することは全て自己啓発に含まれます。
ある分野に対して、認識を高めてもらい、相手に気づいてもらうための活動することです。人権啓発活動などがあります。
知的財産に関する意識啓発というように、分野に対しての意識をより高めるために行う活動ことです。
啓蒙の場合、分野について全く知識のない人に、説明をして、興味を持ってもらうときに使われます。啓発に比べると、直接的な知識を相手に与えることで、間違いや考えを正すという意味が含まれます。
啓蒙セミナーのように、啓蒙という言葉は、大衆などと不特定多数の人々向けに使われることが多いです。
「啓蒙された」と使うのは正しい
啓蒙は主に誰かを教え導く時に使いますが、自分が新たな考えを得たり、教えられたりした時には
「この本は私を多いに啓蒙しました」
などと言うことができます。
私達は大人になっても学び続ける必要があり、「啓蒙される」ことを必要としています。
「自己啓発」は自分の中での「気づき」が必要なのに対し、「啓蒙」には違う考え方や物事の味方に触れて教えてもらう必要があります。
そのため、啓蒙を受けるためには常に新たな出会いを続ける必要があるのです。
自分にとってプラスになる啓蒙を見つけよう
私達の周りには、異なる物の考え方や見方を持つ人がたくさんいます。啓蒙を受けるためには、新たな見方をする人に対して心の扉を開く必要があるでしょう。
ポイントは、様々なタイプの人を一旦「受けとめる」という考え方です。
有名な金子みすゞさんの言葉に「みんなちがってみんないい」というものがありますが、その精神を人付き合いにも活かことができます。
異なったタイプの人を受け入れることができれば、特にビジネスにおいて成功するチャンスが大きくなるでしょう。
いつもと違う発想で物事を考えるほど、打開策となる案や、ピンチを切り抜ける名案が生まれるものです。
1人で考えていてもまとまらなくても、会議で話し合っているうちに良い解決策が見出せるのも、様々な考え方を持つ人が意見を出し合うからです。
仕事で価値観の異なる人がいるならば、その人が自分に持っていない物の見方を持つ人であり、啓蒙を与える可能性がある人と見てみましょう。
「この人の価値観はどうしても受け入れられない」と感じている人ほど、自分の価値観を分かってほしいと強く思っている傾向があります。
自分が正しいはずだという考えを捨てて、どの人からも学ぶことができるという謙虚な気持ちを持つと、見えなかった相手の良い部分が見えてきます。
実際、他の人の良い部分に目を向けて、学ぶことができる人ほど人間性が高いのではないでしょうか。
柔軟で謙虚な人ほど、周りから愛され慕われるものです。
自分が啓蒙された、新たな考え方をすることができた、と感じたならば、そのことを素直に伝えて感謝してみてはいかがでしょうか。
そうすれば相手は嬉しくなりますし、関係も良くなるでしょう。職場の環境が良くなることは、仕事の効率アップにも繋がります。
ぜひ啓蒙を受ける心を忘れずに、日々成長していきたいですね。
啓蒙の類語・対義語
啓発、教育、拡散、伝達、諫める、導き、宣教、教え、指導、知識を高める、鍛える、強化する、などがあります。
道理に暗く愚かなことや愚か者を指す。
愚かなこと。
ばかで、物の道理に暗いこと。
啓蒙の英語表現はenlightenment
啓蒙
啓蒙する、教育する
啓蒙運動
啓蒙の英語表現の例文は以下の通りです。
これは啓蒙思想の基本的な原理原則です。
神の啓蒙に従う。
啓蒙の類語・対義語の英語表現
啓蒙と必ずしも一致する意味ではありませんが、類語の英語表現には以下のものがあります。
教育する
広める
諌める
導き
鍛える
強化する
啓蒙の対義語を英語であらわすと以下通りです。
愚蒙
暗愚
啓蒙についてのまとめ
- 啓蒙は、ある分野において知識のない人に物事を教えるという意味です。
- 啓蒙主義、啓蒙セミナー、啓蒙家など、大衆に対して行うものに、啓蒙という言葉が使われます。
- 啓発は、その人の能力を高めるだけではなく、気づかせるという目的があるときに使われる言葉です。
- 啓蒙の対義語には、愚昧、暗愚、愚蒙などがある。どれも愚かであり、道理がわからないことを意味します。
- 啓蒙の英語表現にはenlightenmentが当てられることが多いです。