※本サイトはプロモーションを含んでいます。
この記事では「三顧の礼」の読み方や意味について解説いたします。
日常会話やビジネスシーンでもよく見聞きする言葉ではありますが、その意味や使い方等はよく分からないという人もいるかもしれません。
そこで今回は「三顧の礼」の語源やビジネス上の使い方、類義語や英語表現も含めて取り上げました。
この記事で一つでも参考になるような情報があれば幸いです。
三顧の礼の読み方・意味・使い方
「三顧の礼」は「さんこのれい」と読み、「礼を尽くして仕事を頼むこと」という意味です。
仕事等を受けてもらう為、礼を尽くして相手を何度も訪問することを意味しています。
本来の意味では目上あるいは年上の人が、目下あるいは年下の人に対して礼を尽くすことを指していました。
それが段々と意味が変遷していき、現在では上下関係によらずある人を特別に信任したり、優遇する条件で仕事を依頼することを表します。
また元々は何度も訪問してお願いをするという意味でしたが、現在では「(訪問はせずに)優遇条件を提示すること等によって礼を尽くす」という意味でも使われることには注意が必要です。
なお使い方としては「三顧の礼を尽くす」や「三顧の礼を尽くして迎える」といった言い回しが多く見られます。
三顧の礼の語源は「三国志」の故事
「三顧の礼」の語源は、古代中国の歴史書『三国志』の『蜀書』の中にある「諸葛亮伝」に書かれた故事だといわれています。
三国時代の蜀(しょく)の国の皇帝である劉備(りゅうび)が、無官の諸葛亮(しょかつりょう)の能力を見込んで参謀長に招くために自ら出向きました。
ただし一度目と二度目は会うことができず、三度目にやっと会えて懇願し口説き落としたという故事が「諸葛亮伝」には書かれています。
このことから目上あるいは年上の人が目下あるいは年下の人を見込んで、仕事を引き受けてほしいと礼を尽くして頼むことを「三顧の礼」または「三顧」と言うようになりました。
このエピソードは日本でも非常に有名なので、聞いたことがあるという人も多いかもしれません。
三顧の礼の誤用に注意
目上あるいは年上の人が目下あるいは年下の人に礼を尽くすという意味では、ヨーロッパの「カノッサの屈辱」が似ているといわれています。
当時の神聖ローマ帝国皇帝はキリスト教会に対しての権力を持ち、司教の任命権も持っていました。
1073年からローマ法王となったグレゴリ七世は、教会改革を行って神聖ローマ皇帝ハインリヒ四世と争います。
皇帝が法王の廃位を宣言すると、皇帝は法王より教会からの破門を宣告されてしまいました。
皇帝は破門という窮地を脱する為に止むを得ず北イタリアのカノッサに出向き、雪の中を三日三晩立ち続け法王からの許しを請うたという故事が「カノッサの屈辱」です。
この故事は、ローマ教皇の権威が強大化することを示す事件として知られています。
また小説等で描かれる「三顧の礼」において、昼寝をする諸葛亮を劉備がじっと待つという場面が描かれているのを見たことがある人もいるかもしれません。
このことが「カノッサの屈辱」のイメージと重なる部分もある為、「三顧の礼」を「屈辱をもって目下の人を迎えること」という意味で記憶して誤用する人もいるようです。
「三顧の礼」は優れた人に仕事を依頼する為、目上あるいは年上の人が目下あるいは年下の人にも礼を尽くすことを意味しています。
「カノッサの屈辱」は「許してもらう為に権威に屈服して礼を尽くす」という意味であり、その点でこの両者は別物だといえるでしょう。
三顧の礼のビジネス上での使い方
「三顧の礼」はビジネス上でも使われることがあります。
その使い方としては、例えば次のようなものが挙げられるでしょう。
ヘッドハンティングや秘密裏のコネクション等によって、ライバル会社の社員が移籍するということがあります。
そうすることによって、他社のノウハウや実績を活かしてくれたりすることを期待されているのです。
この例では、他社の有能な人物が丁重に迎え入れられたことが読み取れるでしょう。
業界や分野を問わず、経営手腕や財政再建の腕前を評価されて任されるスペシャリストは日本にも実在します。
この例だと、そうした実績が受け入れられて手厚く迎え入れられたということです。
三顧の礼の類義語と例文
「三顧の礼」の類義語としては、次のようなものが考えられます。
・草廬三顧(そうろさんこ)
・三微七辟(さんちょうしちへき)
また上記の類義語を使った例文として、以下のようなものが挙げられるでしょう。
「草廬三顧」は「礼を尽くして有能な人材を招くこと」や「目上の人がある人物を特別に信任・優遇すること」といった意味です。
人事部が就職活動や転職活動の面接をしていると、ぜひ入社してほしいという人材に巡り会うことがあるかもしれません。
この例では、そのような人物がいたので採用してほしい旨を社長に進言したということです。
「三微七辟」は「真心や礼儀を尽くして優れた人材を招くこと」や「目上の人がある人物を信頼して手厚く迎えること」という意味です。
この例のように、優れた人物として招き入れられると大きな期待を持たれてしまうのも無理からぬことかもしれません。
なお上記で分かる通り、「三顧の礼」は「草廬三顧」や「三微七辟」とほとんど同じ意味として使われています。
三顧の礼の英語表現
「三顧の礼」は元々の「目上あるいは年上の人が目下あるいは年下の人に礼を尽くす」という意味から転じて、「優れた人を良い待遇で迎える」という意味でも使われています。
その意味での「三顧の礼」は、「showing special confidence and courtesy」と表現するのが適当だといえるでしょう。
また上記の表現を使うと、次のような例文を作ることができます。
「confidence」は「信頼」、「courtesy」は「礼儀」という意味です。
「特別な信頼と礼儀を見せることによって迎え入れる」ということから、上記のような訳になることが読み取れるでしょう。
まとめ この記事のおさらい
・「三顧の礼」は「さんこのれい」と読み、「礼を尽くして仕事を頼むこと」という意味がある
・「三顧の礼」の語源は、古代中国の歴史書『三国志』の『蜀書』の中にある「諸葛亮伝」に書かれた故事
・「カノッサの屈辱」は「許してもらう為に権威に屈服して礼を尽くす」という意味で、「三顧の礼」とは意味が異なる
・「三顧の礼」の類義語としては「草廬三顧」や「三微七辟」が挙げられる
・「三顧の礼」の英語表現は、「優れた人を良い待遇で迎える」という意味で「showing special confidence and courtesy」と表現するのが適当