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さまざま国で活躍する青年海外協力隊の姿を、ニュースやメディアで目にしたことがある人は多いと思います。「青年海外協力隊」という名称から想像して「海外で何か協力的な活動をしている人たちなんだろうな」ということはわかっても、その内容やどのようにしたら参加できるのかを知っている人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、青年海外協力隊の仕事内容や、協力隊になるためにはどうしたらよいのかなどを分かりやすく解説していきます。
青年海外協力隊とは
青年海外協力隊は、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施するボランティア事業です。JICAは、日本の政府開発援助(ODA)を一元的に行う実施機関として、開発途上国への国際協力を行っている団体です。青年海外協力隊が発足したのは1945年で、50年以上の歴史があり、これまでに延べ4万人を超える人が参加しています。
海外協力隊は20~39歳が対象の青年海外協力隊と、40~69歳が対象のシニア海外ボランティアで構成されていましたが、2018年に制度の見直しがありました。現在では20~69歳までを対象とした海外協力隊を総称とし、「一般案件」と一定以上の経験や技術が求められる「シニア案件」に分けられています。一般案件での参加で45歳以下の人を「青年海外協力隊」、46歳以上の人を「海外協力隊」と呼びます。
青年海外協力隊の仕事内容
自分の持っている技術や経験を生かして開発途上国の国づくりに協力するのが青年海外協力隊です。派遣期間は原則として2年間になります。職種は次の9つの分野に分けられています。
- 「計画・行政」国・地域づくりに関わる仕事
- 「農林水産」食べ物や自然にかかわる仕事
- 「鉱工業」ものづくりに関わる仕事
- 「人的資源」教育やスポーツなど人を育てる仕事
- 「保健・医療」いのちに寄り添う仕事
- 「社会福祉」福祉に関わる仕事
- 「商業・観光」経営管理・マーケティングや観光に関わる仕事
- 「公共・公益事業」生活サービスに関わる仕事
- 「エネルギー」エネルギーに関わる仕事
各分野の中でさらに細かく職種がわかれています。例えば「計画・行政」分野なら、コミュニティ開発・コンピュータ技術・行政サービス・防災災害対策などが、「人的資源」なら、青少年活動・小学校教育・日本語教育・スポーツ・料理などがあります。
短期派遣の募集もある
青年海外協力隊の派遣期間は原則2年間ですが、派遣期間が1ヵ月~1年未満の短期の案件もあります。
長期は原則2年間かけて現地の生活や文化・習慣などを理解しながらじっくり活動を行います。それに対し短期は短い期間の中で、要請に沿った活動を行うことになります。また、長期案件では派遣前に70日程度の合宿型訓練がありますが、短期案件の場合は最大5日となります。
青年海外協力隊になるには
①JICA主催の説明会に参加する
青年海外協力隊として活躍したいと思ったら、まずはJICA主催の説明会に参加しましょう。説明会は、全国約50カ所で開催するキャラバン、応募期間限定で開催する説明会、個別相談会、その他イベントなど豊富に開催されています。説明会はボランティア事業の概要説明から、経験者によるプレゼンテーション、経験者との座談会などで構成され、事前予約をすれば個別相談も受けられます。
会場に足を運ぶのが難しい人や、もっと気軽に情報を得たい人には、WEB型の説明会も用意されています。予約制のリアルタイム視聴では、チャットを通じて質問することもできます。過去の説明会を好きな時間に視聴できるアーカイブ視聴のプログラムもあります。
②JICAに応募して選考を受ける
青年海外協力隊の募集は、例年、春と秋の2回あります。募集時期はおおよそ、春が2~4月、秋が8~9月となっており、JICAのホームページなどで告知されます。
応募・選考は次のようなプロセスで行われます。応募から二次選考合格通知までは3~5か月の期間を要します。
■応募
ウェブから登録を行います。提出書類は次の通りです。
・応募者調書(応募者基本情報、応募職種・要請)
・応募用紙(志望動機)
・語学力申告書
・技術調書
・問診票
・健康診断書
■一次選考
・技術審査:応募書類をもとに、要請への適合性を総合的に評価します。
・健康審査:「問診票」および「健康診断書」をもとに応募者の健康状態を審査します。
・語学力審査:「語学力証明書」の申告内容を基準として行います。
■二次選考
一時選考の合格者に二次選考の詳細が通知されます。二次選考は人物・技術面接です。JICA海外協力隊としての適性について、人物、技術の観点から面接が行われます。職種によっては、面接のほかに試験や作品の提出を求められる場合があります。
選考の結果、合格ラインをクリアしているけれど、募集中の要請内容に適合しない、要請数が合格者より少ないなどの理由で派遣先がない場合は、「登録」という形がとられ、辞退者が出た場合に繰り上げ合格となります。
③合格後に派遣前訓練を受ける
二次選考に合格したら、派遣前訓練に参加することになります。訓練は70日間程度、JICA二本松(福島県)、JICA駒ヶ(長野県)のいずれかで実施されます。万一、訓練での成績が著しく低かったり適性に欠けると判断された場合は、派遣が取りやめになることもあります。
④受入国へ派遣
全てのカリキュラムを受講し、所定の成果が認められると青年海外協力隊として派遣されることになります。
合格倍率はどれくらい?
2019年春募集の海外協力隊一般案件の選考結果を見ると、応募者986人、合格者457人で、合格率は約47%となります。ただ、募集職種は100を超えており、職種によって要請数も応募者数もまちまちです。要請数を大きく上回る応募がある職種もあれば、反対に要請数に応募が届かない職種もあります。
職種ごとの選考結果はJICAのホームページで発表されています。
2019年募集 一般案件 職種別選考状況
青年海外協力隊の応募資格
年齢制限
青年海外協力隊は20~39歳が対象でしたが、2018年に制度が見直され、現在は海外協力隊(一般案件)として20歳~69歳が対象となっています。ただし職種ごとに年齢制限が設定されていて「20~45歳のみ」と年齢制限されている職種が多くなっています。
必要な学歴は職種によって異なる
資格条件も職種によって異なります。大卒、専門学校卒、などの学歴が求められる職種もあれば、実務経験何年以上、としている職種もあります。
募集職種と職種ごとの年齢制限、資格条件などの情報は、募集開始時期にJICAにホームページに掲載されます。応募を考えている人は、自分の学歴や経験と照らし合わせて職種を選びましょう。
英語力は必要?
青年海外協力隊の応募に際し必要となる語学力は、英語の場合、中学卒業程度(英検3級もしくはTOEICRスコア330点)に設定されています。応募時には語学力申告書の提出も必要です。レベルはA~Dに分けられ、それぞれ必要となるスコアが決められています(例:英語Aなら英検準1級以上、TOEFLR550点以上など)。募集時に、職種ごとに必要となる言語とレベルも発表されます。
青年海外協力隊の年収
青年海外協力隊はボランティア活動ではありますが、現地での生活のための経費と毎月の手当が支給される制度があります。
■手当
訓練期間中は月40,000円、派遣期間中は月55,000円が支給されます。加えて帰国時に月額20,000 円×派遣期間が支給されます。
■必要経費等
住居費、往復渡航費は全額支給されます。現地の生活に必要な生活費も、その国の状況や物価に合わせて支給されます。また、青年海外協力隊は単身赴任ですが、配偶者や子女を一時的に呼寄せる場合に旅費の一部が補助される制度もあります。
青年海外協力隊の勤務体系と休日
青年海外協力隊の勤務体系は、派遣先のスケジュールに準じます。勤務時間や休日は派遣先や職種によってまちまちです。
長期休暇としては、配属先の有給休暇の日数内でJICAの定める日数を限度として、私費による任国外旅行が認められており、この範囲内で日本へ帰国することもできます。
青年海外協力隊の将来性
青年海外協力隊への応募者は減少してきています。一度は青年海外協力隊として海外で働きたいと考えている人にとっては、倍率が低くなっている今はチャンスともいえるかもしれません。
青年海外協力隊は、基本的には仕事をいったん辞めて2年の間途上国で協力隊の仕事に就くことになります。一生協力隊を続けていくという人はまずいないでしょうから、帰国してからのメリットが気になるところです。
青年海外協力隊の経歴が就活でどう捉えられるかは難しいところですが、在住外国人が増加している今、外国人とコミュニケーションが必要な職場では強みになることも考えられます。
また、海外協力隊経験者を特別に配慮する選考制度を設置する自治体も増えており、地方自治体職員を目指す人には朗報といえます。
青年海外協力隊がおもに勤める場所
青年海外協力隊の派遣国は、開発途上国であるアジア・アフリカ・中南米・大洋州・中東の国々です。派遣国での勤務先は職種によって決まってきます。
青年海外協力隊についてのまとめ
- 青年海外協力隊は、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施するボランティア事業です。
- 自分の持っている技術や経験を生かして開発途上国の国づくりに協力するのが青年海外協力隊の役割です。
- 派遣国は、開発途上国であるアジア・アフリカ・中南米・大洋州・中東の国々です。派遣国での勤務先は職種によって決まってきます。
- 青年海外協力隊になるには、一次選考、二次選考に合格した後、70日間の合宿訓練に参加しなければなりません。
- 応募職種によって、年齢や学歴、言語力などの基準が定められています。
- 訓練中や派遣中は手当が支給されます。現地での宿泊費や渡航費、生活費も補助されます。
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