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この記事では「天台宗」について解説いたします。
「天台宗」は学校の歴史の授業でも取り上げられるくらい有名ですが、その詳細についてはよく分からないという人もいるかもしれません。
そこで今回は「真言宗」との違いや、「天台宗」の葬儀の特徴も含めて取り上げました。
この記事の中で一つでも参考になるような内容があれば幸いです。
天台宗とは
「天台宗」とは「中国を発祥とする大乗仏教の宗派の一つ」です。
元々の中国の天台宗の開祖は、中国の「智顗」(ちぎ)という人だと言われています。
中国の天台山という山に登って修行し教えを確立した為、「智顗」のことを天台大師と、またその教えを「天台宗」というようになりました。
日本で天台宗を開いたのは「最澄」という人物
日本の「天台宗」を開いたのは、平安時代の「最澄」(さいちょう)という人物です。
「最澄」は平安時代の僧で、中国で「天台宗」を学びそれを日本に伝えたこと等から「伝教大師」として広く知られています。
今から約1200年程前、近江国(現在の滋賀県)にある大津市坂本の一帯を統治していた「三津首」という一族の中に「百枝」という人がいました。
子どもになかなか恵まれなかった「百枝」は日吉大社の奥の神宮禅院に籠もり、子どもを授かるようにと願を掛けたといわれています。
その後神護景雲元年(767年)、願いが叶って男の子が誕生し「広野」(ひろの)と命名されました。
そしてこの「広野」が、後の「最澄」だったというわけです。
天台宗の総本山は「比叡山延暦寺」
「天台宗」の総本山は「比叡山延暦寺」(ひえいざんえんりゃくじ)です。
「比叡山延暦寺」は「滋賀県大津市坂本本町にあり、標高848mの比叡山全域を境内とする寺院」のことを指しています。
1994年には古都京都の文化財の一部として、ユネスコ世界文化遺産にも登録されました。
また室町幕府六代将軍の「足利義教」(あしかがよしまさ)や戦国時代の武将「織田信長」といった歴史上の人物により度々制圧されたり焼き払われたことでも有名です。
天台宗のご本尊は?
「天台宗」のご本尊は、「阿弥陀如来」(あみだにょらい)や「釈迦如来」(しゃかにょらい)です。
ご本尊とは「仏教寺院や仏壇等に最も大切な信仰の対象として安置される仏像や経典、仏や菩薩等の彫刻・絵画・曼荼羅・名号」のことを指しています。
また「仏教以外の宗教において信仰の対象として大切に扱われるもの」という意味もあり、例えばその宗教の開祖の像等が考えられるでしょう。
「阿弥陀如来」は「大乗仏教の如来の一つ」で、あみだくじや「他力本願」という言葉の由来にもなっているといわれています。
天台宗と真言宗の違い
「天台宗」とよく比較される宗派として「真言宗」が挙げられるでしょう。
その違いが分かるように、この項目ではそれぞれの教えや考え方を取り上げました。
天台宗の教え・考え方
「天台宗」の教えや考え方には、大きく分けて次の4つがあるとされています。
1.全ての人は皆、生まれながらにして仏となりうる素質をもつ
「生きとし生けるものは誰でも仏陀になる可能性を持っており,誰もが悟りうる」という仏教の思想です。
このことを「一切衆生悉有仏性」(いっさいしゅじょうしつうぶっしょう)といいます。
2.悟りに至る方法を全ての人々に開放した
仏教には八万四千もの教えがあるとされていますが、これらはいずれも釈迦と同じ悟りに至る方法の一つです。
巡礼や写経、茶道や華道等分野によらず、そこに真実を探し求める心(道心)があればそのままそれが悟りに至る道だといわれています。
3.自分自身が仏になり得ることを自覚する
自分自身が仏になり得るということを自覚する為、「天台宗」ではお授戒を奨励しています。
「戒を授かる」というのは自分の身に仏さまをお迎えするということです。
なお仏さまと共に生きる人を菩薩といい、その行いを菩薩行といいます。
4.一隅を照らす
「一隅を照らす運動」は信仰と実践により一人ひとりが心豊かな人間になり、平和で明るい世の中を共に築いていこうという社会啓発運動のことです。
「一隅を照らす、これすなわち国宝なり」という「最澄」の精神を現代に生かすために生まれたもので、一隅とは今自分がいるその場所を意味しています。
これは一人ひとりが今自分の置かれている場所や立場で、それぞれベストを尽くして照らすことが重要だという考えです。
自分が光れば周りも光り、町や社会が光り、そうやって小さな光が集まって日本や世界を、やがて地球を照らすとされています。
真言宗の教え・考え方
「真言宗」は「弘法大師空海」によって開かれた宗派です。
その教えの中心となるのが、「即身成仏」だとされています。
これは今現在生きているこの身のまま成仏できるというもので、それは大日如来を自分自身の中に確認し、それと一体となるということです。
つまり仏と自分とが一体になった状態こそ「即身成仏」ということだといわれています。
天台宗の葬儀の特徴
「天台宗」では、仏の教えを「顕教」(けんぎょう)と「密教」(みっきょう)の2つに分けて考えています。
顕教は「自身を救い他人を利する」という教えで、もう一方の密教は「仏と自己の一体を観念し、仏の力で仏の境地に達する」という教えのことです。
この「顕教」や「密教」を元に、以下の3種類の儀礼が生まれました。
まず「顕教法要」では法華経を唱え、日々の懺悔をします。
「天台宗」の教えでは全ての人がその身に仏性を宿しているとしており、この仏性を高めるために懺悔を行うのです。
また「密教法要」では様々な印を結び、故人が極楽へと導かれることを祈念し真言を唱えて故人を供養します。
そして「例時作法」ではお経を唱え、「極楽の如く現世も素晴らしい世界に変えるのだ」という願いも込めて死後極楽へ行けることを祈願します。
葬儀で唱えられるお経の種類
「天台宗」の葬儀で唱えられるお経は、釈迦が「すべてのものは仏になる」と説いた『妙法蓮華経』(みょうほうれんげきょう)が根本の聖典とされています。
その中でも『自我偈』(じがげ)、『観音経』(かんのんぎょう)、『般若心経』(はんにゃしんぎょう)が用いられることが多いです。
天台宗の数珠の特徴
「天台宗」の数珠は、「天台宗」を信仰している人だけが使うことのできる専用のものです。
サイズは3種類あり、男性は「9寸サイズ」、女性は「8寸サイズ」を使い、また僧侶は「大平天台」のサイズを使うことが多いといわれています。
数珠の形は3種類とも同じで「天台宗」独特の平玉を使っており、「8寸サイズ」が一番小さい玉の大きさで、続いて「9寸サイズ」、「大平天台」です。
これらの数珠は、人間の持つ煩悩の数と同じ108玉でできています。
108玉の数珠を持つことによって煩悩を消し去り、身を清めるご利益があるとされているからです。
まとめ 天台宗についてのおさらい
- 天台宗」とは「中国を発祥とする大乗仏教の宗派の一つ」で、日本で「天台宗」を開いたのは「最澄」。
- 「天台宗」の総本山は滋賀県大津市にある「比叡山延暦寺」で、ご本尊は「阿弥陀如来」や「釈迦如来」。
- 「天台宗」には「一切衆生悉有仏性」や「一隅を照らす」といった教えや考え方がある。
- 「真言宗」は「弘法大師空海」によって開かれた宗派で、その教えの中心となるのが、「即身成仏」だとされている。
- 「天台宗」の葬儀で唱えられるお経は、釈迦が「すべてのものは仏になる」と説いた『妙法蓮華経』(みょうほうれんげきょう)が根本の聖典とされている。