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ここでは退職者が離職票を入手できない場合に考えられる原因と、その対処法について解説いたします。
離職票とは雇用保険の基本手当(失業手当)を受給するために必要な書類のひとつです。通常は退職後に元の勤め先から郵送されますが、なんらかの事情で手元に届かない場合があります。
離職票がないと失業手当の給付手続きができません。手続きが遅れると受給が遅れたり、受給期間を過ぎて給付を打ち切られたりすることもあります。離職票が入手できないときは、ただ漫然と待ち続けたり、あきらめたりせず、この記事を参考にして適切な対処を行ってください。
離職票が発行されて郵送されるまでの流れ
勤労者が会社を退職して離職票が必要になると、会社側は「雇用保険被保険者離職証明書(以下・離職証明書)」という書類をハローワーク(正式には「公共職業安定所」)に提出します。
この証明書は複写式の3枚綴りで、1枚目は会社用の「事業主控」、2枚目はハローワークの保存用。そして3枚目が「雇用保険被保険者離職票-2(以下・離職票-2)」になっています。
離職証明書の内容に問題がなければ、ハローワークは受領と確認の証として「事業主控」と「離職票-2」に公共職業安定所長印を押印するとともに「雇用保険被保険者離職票-1(以下・離職票-1)」あらたに発行して会社に交付します。
そのうちの離職票-1と-2を、会社側から退職者に郵送する、という流れになります。
離職票が手元に届く目安は2~3週間
従業員が退職すると、会社は退職日の翌日から10日以内に、離職票の交付をハローワークに申請しなければなりません。その際には退職者の勤務状況を確認できる書類として、離職証明書とともに退職者の出勤簿や賃金台帳、辞令なども提出します。
ハローワークはそれらの書類を精査して、退職者が失業手当の受給資格を満たしていることを確認すると、離職票-1と-2を会社に交付します。それを後日、会社から退職者に郵送するため、退職者に離職票が届くまでにある程度時間がかかるのはやむを得ません。
離職票はなるべく早く入手したいものですが、実際には間に土日をはさむこともあり、会社を退職してから離職票が手元に届くまでには、おおむね2~3週間を要するのが目安だと思ったほうがよいでしょう。
離職票の発行が遅れてしまうおもな原因
退職して2~3週間を過ぎても会社から離職票が届かない場合には、以下のような原因が考えられます。
会社側が離職票を必要であることを認識していない
離職票は失業手当の給付手続きに必要な書類ですが、退職者の転職が決まっている場合や、そもそも再就職の意思がない場合には、失業手当の支給対象外となるため、離職票は必要ありません。
従業員が退職の意思を表明すると、会社は離職票が必要かどうかを、退職希望者に確認するのがふつうです。このとき退職希望者との意思疎通が不十分だったり、具体的な要望がなかったりすると、会社側は離職票は不要と判断して、申請を見送ってしまうこともありえます。
会社側が忙しさなどで手続きを忘れている
家族経営の零細企業や発足後間もない会社では、人事担当者が多忙や不慣れのために手続きを怠ったり、書面上のミスなどでハローワークから訂正や追加資料を求められたまま、手続きが宙に浮いている可能性があります。
会社側が離職票を発行する手続きを怠っている、嫌がらせをしている
たとえば従業員が穏便とはいえない形で退職し、元の会社にしこりを残してしまうと、報復や嫌がらせで離職票が交付されないケースがあります。また、いわゆる「ブラック企業」を退職した際にも、同様のトラブルが起こる可能性があります。
ハローワーク側が繁忙期で発行が遅れている
転職者向けの求人は毎年10月と3月に増える傾向があります。そのため2~3月と9~10月ごろは退職者が増加する繁忙期になり、ハローワークの事務処理が遅れる可能性もでてきます。
離職票が発行されないときの対応方法
退職して3週間以上が過ぎても離職票が届かない場合、退職者には以下のような対処が必要になります。
まずは会社に問い合わせる
離職票はハローワークが会社に対して交付する書類です。離職票がなかなか届かないときにまず疑われるのは、会社の手続きに何らかの不備があることです。まずは会社に問い合わせて、離職票の送付手続きが問題なく進んでいるかどうかを確認しましょう。
ハローワークに相談する
離職後に会社が倒産したり、操業停止におちいったりするなどの事情で、元の勤務先への問い合わせが困難な場合は、ハローワークに相談しましょう。
会社側が故意に離職票を申請しない場合は、雇用保険法違反になります。その際は会社の所在地を管轄するハローワークに申し立てて、会社側に離職票の交付申請を督促してもらうことも可能です。
離職票なしで「仮手続き」を進める
退職から12日を過ぎても離職票を入手できるめどが立たない場合は、ハローワークに退職を証明できる書類を提出し、失業手当の「仮手続き」を進めることができます。
仮手続きは退職日の12日後から可能になります。自己都合で退職した場合、失業手当の受給申請から給付までには7日間の待機期間に加えて給付制限期間が3ヶ月あるので、その間に離職票を入手してハローワークに提出できれば、受給が遅れることはありません。
一方、リストラや倒産など会社の都合で退職を余儀なくされた場合は、3ヶ月の給付制限期間はありません。失業手当は受給申請から7日間の待機期間を経たのちに支給されます。それまでに離職票を用意できれば、最短で7日後に受給できるようになります。
仮手続きをしても離職票なしで失業手当が受給できるわけではありませんが、仮申請時にハローワークに申し立てて、元の勤務先に離職票の送付を催促してもらうこともできます。その意味でも仮手続きは効果的な手段といえます。
ハローワークに離職票を提出する期限はいつまで?
ハローワークに失業手当の給付を申請する場合、離職票を必ず提出しなければなりません。では、いつまでに提出すればよいのでしょうか。
基本的には提出の義務や期限はない
離職票には提出の義務や期限はありません。ただし提出しないと失業手当が受給できませんし、提出が遅れると、そのぶん給付日数が短くなります。失業手当の受給を申請したい方は「善は急げ」を心がけて、なるべく早く提出しましょう。
失業給付を受ける場合は、退職の翌日から1年間が期限
失業手当は退職の翌日から1年間を期限として、所定の給付日数分が支給されます。給付の申請手続きが遅れて1年間の受給期間を過ぎてしまうと、給付日数がいくら残っていても手当は支給されなくなります。
たとえば自己都合で退職した人がハローワークに離職票を提出して失業保険の受給資格が認められても、実際に手当が給付されるまでには7日間の待機期間と3ヶ月間の制限期間が発生します。
受給期間の満了日は、退職の翌日から1年後です。仮に所定給付日数が210日だったとしても、離職票の提出に2ヶ月以上かかると、待機期間と制限期間を含めた期間が1年を超えるため、所定給付日数が残っているのに支給が打ち切られてしまうことになります。
失業給付の手続きはできるだけ早めに行いましょう。
まとめ
- 離職票は雇用保険の失業手当を受給するために必要な書類のひとつです。
- 離職票は会社がハローワークに離職証明書を提出して交付を申請します。
- 離職票はハローワークが会社に交付します。その後、会社から退職者に送付されます。
- 退職して離職票が手元に届くまでの目安は2~3週間です。
- 離職票の入手が遅れた場合は、ハローワークに失業手当の仮申請ができます。
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