ボーナスカットは違法か?その正当性と対処法、転職時の注意点を解説

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ここでは「ボーナスカット」に関する疑問と対処法について紹介します。

給与やボーナスのことは深く考えずに会社を決めてしまった。そんな人も多いはず。しかし、いざ入社したら「ボーナスカット」と言われたら、ショックは大きいですね。

ボーナスとはどういうものなのか?この記事をとおしてボーナスの正当性とボーナスカットされた場合の対処法を学んでいきましょう。

ボーナスは絶対に払われるものなのか?

ボーナスは、「賞与」「夏期手当」「年末手当」「期末手当」「一時金」などとも呼ばれています。
労働厚生省の通達では、ボーナス(賞与)を以下のように説明しています。

・定期又は臨時に労働者の勤務成績、経営状態等に応じて支給され、その額があらかじめ確定されていないもの

つまり、会社の業績や社員の勤務成績などによって支給金額が決まるのがボーナスで、業績の悪化や個人の勤務成績が悪い場合は、支給されない場合もあります。

一方、賃金は毎月一回以上一定の期日を決めて支払わなくてはならないという労働基準法の原則があるので、給与が支払われないのは違法になります。

「でも、就業規則にはボーナスは年二回支給と書いてあった」と思われるかもしれません。

一般的には、ボーナスは4月1日から9月30日が前期の支給対象期間で12月10日に支給され、10月1日から3月31日が後期の支給対象期間として、6月10日に支給されます。支給金額は、給与の〇ヵ月分になっています。

このような就業規則を見れば「ボーナスは絶対に支払われるもの」と勘違いされるのは当然です。

しかし、ほとんどの場合、雇用契約書や就業規則には「会社の業績等によっては支払わない場合がある」と但し書きがあるはずです。但し書きがある限り、ボーナスはカットされる可能性があるのです。

ボーナスカットが違法になる例

ボーナスカットが違法になる場合は、以下のようにボーナス支給が会社との取り決めになっている場合です。

・労働組合と会社との労働協約に記載されている
・労働者と使用者で締結される労働協定に記載されている

また、ボーナスの計算方法を従業員に約束している場合は、最低限その金額を支給する必要があります。

上記のような会社との取り決めがない場合でも、ボーナスカットが違法になることがあります。
それは、ボーナスカットの理由のひとつである「労働者の勤務成績」です。

・ノルマを達成しない
・勤務態度が悪い
・欠勤や遅刻が多い

これらの理由でボーナスカットされる場合、会社の基準が適切かどうかが問われます。過剰なノルマや不当な評価によるボーナスカットは違法になる可能性があります。

また、以下のような理由でのボーナスカットはあきらかに違法です。

・有給休暇取得
・結婚、出産、育児
・男女差

但し、産休や育休期間の場合、実際に出勤しなかった期間によってボーナスが減額されるのは違法ではありません。

ボーナスカットが問題ない例

ボーナス支給の有無は、企業の裁量が認められています。つまり、ボーナスを支払うかどうかは会社次第と言えるのです。
会社との取り決めがない限り、ボーナスカットに問題はありません。ボーナスカットの理由は、以下の2つです。

業績不振
当然業績が悪く、ボーナスを出す資金的な余裕がなければボーナスは出せません。日ごろから会社の経営状態を把握しておきましょう。

勤務状態
極端に欠勤が多い場合や長期休暇などはボーナスカットの対象になります。また勤務態度や能力などを理由にされた場合は、違法になる可能性があります。

大手企業ならボーナス支給は当然のように思われますが、ボーナスカットは大手企業でもあり得ることです。就業規則や労働協定などをきちんと理解することが大切です。

ボーナスがちゃんと払われるか転職前に確認する方法

転職を考えている場合、ボーナスがきちんと支払われる会社を選びたいものです。そのためには以下のような項目を事前にチェックする必要があります。

求人票の賞与と雇用契約書の賞与について確認する
転職する場合は、まず求人票の内容を確認しましょう。求人票に賞与が記載されていない場合は、まずボーナスは期待できません。但し、求人票に記載されていても実際にはボーナスはなかったというケースもあります。会社の信頼性を調べることも必要です。

また、就職する際には必ず雇用契約書を確認しましょう。ボーナス支給に関する記載はあるのか、但し書きがあるか、をしっかりとチェックしてください。会社には労働条件などを書面にする義務があります。必ず書面は受け取りましょう。

月収と年収を照らし合わせてボーナスがあるかないかを確認する
ボーナスがあるかないかは、企業データを調べればわかります。平均年収から平均月給を12倍した額を引けば、ボーナスの金額が算出されます。年収と12か月分の月給との差がなければボーナスがないと推測できます。逆に差が大きければボーナスは多いと考えられます。但し、月給が少なくてボーナスが多い場合は注意が必要です。ボーナスの金額で年収が大きく左右するので、リスクは大きくなります。

新卒の場合はそもそも1年目のボーナスがあるかを確認する
一般的にボーナスの支給対象の期間は10月1日から3月31日が夏のボーナスで、4月1日から9月30日が冬のボーナスです。ですから、新卒の場合は夏のボーナスはありません。
もらえるとしたら冬のボーナスからです。これを踏まえて、1年目の社員はどうなっているのかを確認しましょう。

いきなりボーナスがカットされた際の対処法

ボーナスを当てにしてクレジットの分割などをしている人も多いでしょう。そんな時いきなりボーナスがカットされたら大変です。突然ボーナスがカットされた際には、以下のような行動をしてください。

雇用契約書をまず確認する
雇用契約書にボーナスに関する記載があるか、但し書きがあるかを確認します。但し書きがある場合は、ボーナスカットに問題はありません。但し、書面には明記されていなくてもボーナスの支給が慣例になっている場合には、請求できる場合があります。これまでの支払い明細書などを整理しておきましょう。

労働基準監督署に相談
ボーナスカットの理由に納得いかない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。ブラック企業では会社の業績が悪くないのに、勤務態度などを理由にボーナスをカットしたケースもあります。会社が通常の経営状態である場合は、労働基準監督署、労働センターに相談してみましょう。労働基準監督署が会社に指導しても支払わらず、悪質と認められれば法律違反として起訴されることもあります。

どうしても欲しい場合は弁護士に相談
労働基準監督署でも解決しない場合は、弁護士に相談するのが得策です。会社側にも弁護士がついている場合もあり、個人で会社と交渉しても太刀打ちできません。
弁護士なら、法律的な立場で会社と交渉でき、会社が交渉に応じない時は、裁判で争います。会社側に正当な理由がない限りボーナスが支払われるケースが多いようです。

もう会社をやめたくなった場合は、会社都合という形でやめる
会社と争うのも嫌で辞めたくなった場合は、離職票の退職理由を「会社都合」にしてもらいましょう。離職理由には「自己都合」と「会社都合」の2つがあります。

・自己都合
労働者の事情で労働者の判断による退職。家庭の事情や健康状態、転職などで会社を辞める場合です。

・会社都合
会社側からの働きかけによる退職。倒産やリストラ以外に、解雇、上司や同僚によるいじめ、賃金の大幅な減額や未払いなども会社都合になります。

会社都合による退職のメリットは、失業保険の給付が早く給付期間も長くなるからです。「辞めるからどうでもいい」などと思わず、得になるのであれば手間を惜しまないことをすすめます。

まとめ この記事のおさらい

・ボーナスは原則として定期又は臨時に労働者の勤務成績、経営状態等に応じて支給され、その額があらかじめ確定されていないもの。
・就業規則や雇用契約書にボーナス支給が記載されていても、但し書きで「会社の業績等によっては支払わない場合がある」と書かれてあれば、ボーナスカットは違法ではありません。
・ボーナスカットは、労働契約書や労働協定に記載、勤務状態の不当な評価、有給取得や男女差などによる不払いは違法になります。
・転職する前に、会社のボーナス支給の実態をチェックすることが大切です。
・ボーナスカットに不服がある時は、労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。