現在の自分の教養や技術に満足できず、より高めていきたいという時に、「研鑽を積む」という表現をすることがあります。

現在よりも高い能力を得ようとするときに使われる言葉は練磨や修行、探求など他にもありますが、ここでは研鑽の意味と使いかた、ほかの言葉との違いを紹介します。

研鑽の読み方と意味

研鑽は「けんさん」と読みます。

研鑽の意味は、学問や技術などを深く探求して、自分のものにしていくということです。

研鑽の鑽という字には異体字に鑚というものもありますが、現在はどちらも使われており、どちらが正しいということはありません。

研鑽と練磨の違い

研鑽と錬磨はどちらも技術や学問を磨き上げる時に使われる言葉です。

この二つの言葉の違いは、磨き上げた結果が明確に要求されるか否かです。

練磨は、鍛えて磨き上げる行為そのものを指し、その結果についてまでは要求されません。
練磨した結果、現在のランクで完成度を上げることにとどまっても問題ありません。

研鑽は、鍛えて磨き上げた結果、研鑽する前よりも深く究められていなければなりません。研鑽はより高いレベルに達する結果を実現することを求めています。

研鑽の語源

研鑽の「研」の意味は、とぐ、みがくということです。

「鑽」は切る、削る、穴を開けるという用途に使う工具のことです。現代でいうキリやノミ、たがねを示します。

今眼の前にある物に対して、切り、削り、穴をうがってより美しい正しい形に整え、それをさらに磨き上げて、より高い価値のある物を作り出すという行為から、学問や技術を現在のレベルより高いレベルまで到達するという意味になりました。

研鑽の英語表現

研鑽を英語で表現する場合は、どのような言葉を使うことになるでしょうか。

普通に翻訳すると「Study」という言葉になりますが、これでは少し意味が弱く、研鑽のニュアンスが伝わりません。

研鑽をよりふさわしい意味で訳す場合は「diligent study」という方がいいでしょう。「diligent」は勤勉な、真面目な、といった意味です。

さらにレベルを向上させるという意味合いに合った表現を選ぶなら、「Improve」「Imorovement」を使う方がいいでしょう。

「Improve」は、改善する、進歩させる、上達するなどの意味ですので、日本語の意味合いにより近くなります。

よく使われる自己研鑽という言葉は「Self Improvement」と訳されることが多いです。

研鑽の類義語

研鑽の類義語としては修練、探求などが挙げられます。

広い意味では、修行や練磨、訓練や練習なども類義語と考えることができます。

技術や学問を向上させるという意味では、上の言葉は似た意味を持っていますが、どれも向上するための行為のみを示しているので、研鑽をそのまま置き換えることはできません。

研鑽には継続して努力するだけでなく、より高いレベルに到達するというニュアンスがありますので、修練、探求の方が類義語としてはより近い意味を持ちます。

研鑽の対義語

研鑽には明確な慣用句としての対義語はありません。

意味で考えて言葉を選ぶと、以下のような言葉が研鑽の対義語にあたります。

・怠惰
・怠慢
・無為
・無精

研鑽の意味どおり、勤勉に真剣に向上しようとすることの反対ですので、今よりも少しでも能力を磨こうという気持ちがない行為が研鑽の対義語になります。

怠惰や怠慢、無精はやらなければならないのにやらないという意味で研鑽の反対の意味を持ちます。

無為は向上すべき何ものもなく、何もしないで過ごしているという意味で研鑽に反対する言葉です。

自己研鑽とはなにか

自己研鑽は、自分自身を研鑽していくことを指します。

自分が向上させていきたい技術や学問をより深く極め、今よりもレベルを上げていくことを示します。

会社や親など、外部からの働きかけや指示で向上させようとするのではなく、自分が自らの意思で現在より伸ばしたいと思っている能力、技術を向上させていこうとする行動のことです。

自己研鑽を積みたいという意思は、自分自身の能力を適正に把握できて初めて現れるものであり、この意思が持てるようになると仕事や学問が楽しくなり、自然にさらなる向上へとつながっていきます。

現在行っている仕事や学問がつまらないと感じている場合は、まず自分が現在持っている能力や技術の棚卸をしてみましょう。

棚卸した結果、伸ばしたいと思われる能力や技術を見つけられれば、それがつまらないと感じている現状を打開する鍵になります。

研鑽の例文とその解説

明確な目的がなく行うトレーニングや練習に対しては、研鑽という言葉は使えません。

明確な目的があって、到達点が今よりも上であるような場合に、研鑽という言葉を使えます。

「今よりも高いレベルの仕事をやらせてもらいたいなら、研鑽を積んで個々の技術をより高いレベルに引き上げなければならない。」

自己研鑽を使う場面と例文

自己研鑽は、本人が強い意志を持って技術や学問を向上させようとするときに使います。

「彼はプログラマーとして優秀だが、現状に満足することなく常に新しい言語や開発環境を学び、自己研鑽を欠かさない。」

すでに高いレベルに達している人がさらに高い領域を目指そうとするときに、自己研鑽という言葉がしっくりと合います。

研鑽を重ねるを使う場面と例文

研鑽を重ねるという言葉は、技術や学問の向上をはかる時に、同じことを繰り返すのではなく、毎回これまでやってきたことをかえりみて、さらなる向上を目指すために最適な鍛錬を重ねていくという意味合いがあります。

「一流料理店のコックをしている彼は、高い評価を受けてからもさらに研鑽を重ねて現在の地位にまで登りつめた。」

常に自分の技術や学問を客観視し、どうすればさらによくなるか、高いレベルに到達できるかを考え続けている人間が鍛錬を続けている時に使うことができます。

研鑽に励むを使う場面と例文

研鑽に励むという言葉は、これからの未来に向けて技術や学問の向上をはかっていこうとする場合に使われます。

「厳しくご指導いただいたおかげで、ようやく一人前と言える入り口にまでたどり着けたと感じています。これからはさらに研鑽に励んで、一人前と認めていただけるように精進します。」

これまで以上に深く技術や学問に真摯に向き合っていこうという意思を表明する場合に、その向上心を伝えるのに適した言葉です。

研鑽を積むの使う場面と例文

研鑽を積むという言葉は、長い時間に渡って継続的に技術や学問の向上をはかってきている場合に使えます。

「一流のスポーツ選手は一刻も休むことなく、常に研鑽を積んで自分の技術を向上させてゆく。一流の選手は、技術の鍛錬は一日休むと数日分後退してしまうということをよくわかっているのである。」

研鑽を積むという行為は、積み重ねられた研鑽の上にさらに研鑽を積んでいくという短期間では得られない高いレベルを目指す様子を表します。

まとめ この記事のおさらい

・研鑽は「学問や技術などを深く探求して自分のものにしていく」という意味である

・物に対して形を作って磨き、研ぎあげ、より高い価値のある物に作りかえるという行為からきている

・結果を伴わない練習や鍛錬を示すときには使わず、現在より高いレベルを目指すときに使う

・誰かに言われてする行為ではなく、自分自身が行う場合に使うのが通常の用法である

自分の得意な分野や必須の技術や学問について、より切れ味を増していこうとしている時に使える言葉です。

人には容易に真似のできないレベルまで自分のスキルを上げていくという意思表示にもなります。
現状と大きな差のないレベルにしか到達できない修練や鍛錬に対してこの言葉を使っていると、言葉だけで実質を伴わないとみなされて軽んじられてしまうこともあるので、使う時には注意しましょう。