郷に入っては郷に従え|意味・類義語・対義語・英語表現と例文を解説

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郷に入っては郷に従えの意味とは

郷に入っては郷に従えとは「あるグループに入ったならば、そのグループの方向性やルールに従う事がよい」という、物事を円滑に進める為の心構えを示すものです。

「郷(ごう)」とは、故郷や郷里といった言葉で使われる漢字で、村や里のような複数の家族が済む村落の単位をさす言葉です。

そこから転じて、共同生活や一定の職業を共にするグループの意味を表す意味を表す事で、今日でも「ハウスルール」や「ローカルルール」についての意味をさすニュアンスを持った言葉として用いられています。

意味の上では問題が無い為「ごうに”はいって”は~」と読んでしまいそうですが、厳密には正しくないので注意した方が良いでしょう。

郷に入っては郷に従えのビジネスシーンでの意味

郷に入っては郷に従えという言葉は、本来的には「余所者である自分を受け入れてくれる得難い存在」である「郷(あるグループ)」に対し、自分の認識やルールを持ち込んで場を乱さないよう敬意を払うという意味合いの言葉として使います。

その為、これからグループに入って来る人に対して、グループの側から言うような使い方は適切ではないといえます。

新しい部署へこれまでの部下を送り出す際に、心構えとして「新しい職場でのノウハウをしっかり学ばせてもらいなさい」というニュアンスで用いるのがよいでしょう。
「郷に従う」事で「郷」の人間となり、そこで居場所を得る事が円滑な生活を送る手順であるという事を、この言葉は示しているのです。

郷に入っては郷に従えの例文

「郷に入っては郷に従えという言葉があるから、まずはそこの詳しい人にノウハウを聞く事から始めたらどうだろう」
「君のやり方を主張するのは悪い事ではないけれど、郷に入っては郷に従え、まずはその職場のやり方をよく観察してみるのも良いんではないか」
「郷に入っては郷に従えとは言うけれど、譲れない事もある。それを伝えるのも大事な仕事じゃないかな」

郷に入っては郷に従えの類似表現として

国に入ってはまず禁を問え・里に入りては里に従う・所の法に矢は立たぬ・人の踊るときは踊れ・門に入らば笠を脱げ、というものがあります。
いずれもある枠組みの中に入ったのであれば、そこから逸脱しないように計らえ、ルールを把握してそれに従え、悪目立ちや疑われるような動作を避けろという意味になります。

こうしたルールの中でも守るべき最も重大なものを指す言葉に「金科玉条」という四字熟語があります。
「金」も「玉」も貴重なものであり「科」「条」はいずれも法律の条文などを表す言葉である事から、尊び守るべき規律・決まり事を表す意味になります。
金科玉条とは

英語の表現では「when in Rome, do as the Romans do(ローマに居るならローマ人がするようにしなさい)」というものがあります。
処世術という意味について共通する認識があるようですね。

郷に入っては郷に従えの対義語

郷に入っては郷に従え、という言葉それ自体に直接的な対義語と言えるものは余りありません。
人間が社会生活を営む上での第一歩として、まず検討すべき姿である点に単純な反対は無いという事かもしれません。

明確な対義語ではありませんが「独立独歩」という四字熟語があります。

「独立独歩」とは「ひとりで立ち、ひとりで歩く」という意味であり、転じて「組織や集団の力をあてにする事無く、自分の力だけを頼みとして一人でやっていく」という意味となります。
「枠組みの中に自分を置かない」という意味を含む事から「郷に入っては~」とは単純に反対と言うよりは、全く別の視点を表す言葉と言えるでしょう。
独立独歩とは

また、かのナポレオン・ボナパルトが残した格言に「状況?何が状況だ。俺が状況をつくるのだ。」というものがあります。
英雄と呼ばれた人物らしく少々過激な表現であり、郷に入る事も郷に従う事も全くない、大衆を率いる側としての視点をうかがわせる言葉と言えるでしょう。

類似表現と対義語の例文

国に入っては禁を問えの例文
「国に入っては禁を問えと言う、まずはやってはいけない事を覚えれば、やるべき事もきっと見えて来るはずじゃないかな」
金科玉条の例文
「同じ職場の人と顔を合わせたら笑顔で挨拶、今でも守られてる創業からわが社で金科玉条としてきた事で、社訓にもなっているよ」
独立独歩の例文
「独立独歩の道を選ぶのは決して気楽な事ではないけれど、今まで学んできた事を糧にしてやって行けば道はきっと拓けるはずだ」