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この記事では「先憂後楽」について解説いたします。あまり聞き覚えがないという人もいることでしょうが、とても含蓄に富んでいて実生活にも生かせる言葉です。
そこで今回は「先憂後楽」の意味やビジネスシーンでの使い方、類語や反対語なども合わせてピックアップしました。この記事を最後まで読めば、「先憂後楽」についてよく理解できるようになることでしょう。
先憂後楽(せんゆうこうらく)の意味とは
先憂の「憂」は苦労や心配するという意味をあらわし、後楽の「楽」は、その字の通り楽という意味や楽しみをあらわしています。
先憂後楽は、人々よりも先に国のことを心配し、人々が楽しんだ後で自身が楽しむべきという政治を行う者の心得を説く言葉で、中国の北栄の政治家である范仲淹(はんちゅうえん)が述べた言葉です。
先憂後楽は先に苦労や苦難を経験したり、心配事をなくしたりしておけば、後で楽が出来るという意味で用いられています。
同義語として、「先難後獲」(せんなんこうかく)などがあり、先憂後楽は「後楽園」の語源になった言葉でもあります。
先憂後楽のビジネスシーンでの使い方
先憂後楽はビジネス用語ではありません。しかし、かの有名な昭和の大経営者である松下電器産業(現パナソニック)の創業者・松下幸之助さんが繰り返し重要性を語った言葉がこの「先憂後楽」です。
松下幸之助さんは、人の上に立つ経営者は人よりも先に憂い、人よりも後に楽しむという先憂後楽の精神を持たないといけないとおっしゃっています。
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先憂後楽の使い方と例文
先憂後楽の使い方を理解する上では、具体的な例があった方がイメージしやすいことでしょう。そこでこの項目では、先憂後楽の使い方を、例文に解説を添えて以下にご紹介します。
先憂後楽は政治家の間でもたびたび使用されますが、その場合の意味はまず民衆が楽しんでから政治家が楽しむべきだというものです。この例では、まず民衆を優先して自分の楽は後回しにするという精神を政治家として持つべきだという決意が読み取れます。
利己的な考えでは民衆がついてこないということを分かっているからこそ、政治家としての強い理念を持っているということが感じられるでしょう。
一般的な用法として、先憂後楽は「先に心配事をなくしておけば、後から楽が出来る」という意味で使われます。今回の例でも、後で楽するために仕事では苦手な分野から先に着手しているということです。
先憂後楽の類語
先憂後楽の類語は、冒頭でも記載したように「先難後獲」が適当でしょう。「先難後獲」は「他人のために困難を先に解決して、自分の利益をにすること」という意味です。
この先難後獲は孔子の『論語』に由来しており、道徳的にこうあるべきだというあり方を示した言葉として知られています。これを訓読にすると「難(かた)きを先にして獲(う)ることを後(のち)にす」です。
「後獲」は厳密にいうと、他人の利益を優先して、自分はその後から利益を取るということではありません。他人の利益を優先にはしますが、自分の利益を得るのは二の次だということです。
人はどうしても自分の利益になることばかり考えて行動してしまうところがありますが、誰もがこのような原理で行動していては損得主義な社会になってしまいます。そのようなことがないよう、孔子はこの言葉を残したのかもしれません。
先憂後楽の反対語
先憂後楽の反対語は、「自己中心的」や「利己的」といった言葉が考えられます。
自己中心的は「じこちゅうしんてき」と読み、「何事も自分を中心に考え、他人のことを考えないさま」という意味です。若者の間では自己中心的を省略して「自己中」(じこちゅう)と呼ばれることもあります。
また「利己的」の読み方は「りこてき」で、その意味は「自分の利益だけを中心にして考え、他人の立場などを考えないで行動するさま」です。「利」は利益、「己」は自分のことを表すので上述のような意味を持っています。
どちらも非常にネガティブで忌み嫌われるタイプだといっても過言ではありません。学校や職場などでは、マイナスイメージを持つ人の代表格としてよく挙げられます。
組織に属する以上、自分のことだけではなく周囲のことも考えた言動が必要だということです。
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先憂後楽の英語表現
先憂後楽の英語表現は、「hardship now , pleasure later」が適切でしょう。「hardship」は「困難」や「苦しみ」という意味の英単語です。
日本語でも困難や苦しみという意味で形容詞の「hard」を「ハード」という言い回しで使用することがありますが、「hardship」は「hard」の名詞形であると考えると覚えやすいでしょう。
また「pleasure」は「喜び」や「楽しみ」という意味で、「now」は「今」、「later」は「後で」という意味を持っています。したがって「hardship now , pleasure later」とは「今は苦しみ、後で楽しむ」ということです。
したがって先憂後楽の英語表現として適しているということが読み取れるでしょう。なおこの英語表現は英語の詩や歌詞などでも使われることがあるものです。
英語圏でもそのように使われているくらい、普遍的で世界的にも使われる考え方・価値観だということがそのことからも分かるでしょう。
まとめ この記事のおさらい
- 先憂後楽は「せんゆうこうらく」と読み、「先に苦労や苦難を経験したり、心配事をなくしたりしておけば、後で楽が出来る」という意味がある
- 先憂後楽の類語は「先難後獲」が適当
- 先憂後楽の反対語は、「自己中心的」や「利己的」といった言葉が考えられる
- 先憂後楽の英語表現は、「hardship now , pleasure later」が適切