「満身創痍」の意味とは?正しい使い方を例文とともに解説

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この記事では「満身創痍」の読み方や意味などについて解説いたします。小説やドラマ、あるいはビジネスシーンなど幅広い場面で用いられる言葉ですが、その意味や使い方についてはよく分かっていないという人もいるかもしれません。

そこで今回は「満身創痍」の読み方や意味、類語や対義語なども含めてまとめました。それでは一つずつ確認していきましょう。

満身創痍の意味や読み方とは


「満身創痍」は「まんしんそうい」と読み、「身体中が傷だらけの状態」「精神的に痛めつけられること」という意味です。前者の意味では全身を覆うように外傷があったり、全身で骨折していたりするなど、体の一部ではなく全身で負傷している様子を表します。

後者の意味だと各方面から徹底的に非難されたりするなど、精神的にかなり打ちのめされている状態です。なお「満身」は「全身」、「創痍」は「刀などで受けた傷」を意味しています。

しかしながら、身体的にだけではなく精神的に痛めつけられている場合でも「満身創痍」は用いられることがあるということです。

満身創痍のビジネスシーンでの使い方


「満身創痍」はビジネスシーンでも使われることがある言葉です。「満身創痍」のビジネスシーンでの使い方としては、次のようなものが挙げられます。

あのプロ野球選手は全身を怪我して満身創痍の状態ながらも出場を続けていることから、鉄人と呼ばれている。

プロのスポーツ選手はそのスポーツをすることで生計を立てています。スポーツを自分のビジネスとしているというプロ意識があるからこそ、全身を怪我している中でも仕事を放棄することがないのかもしれません。

彼女は毎日のクレームで満身創痍になりながらも、それを隠して仕事に励んでいる。

職業や職場によっては、毎日のように叱責やクレームを受けて精神的に疲弊してしまうというケースがあるかもしれません。この例ではそうしたことが毎日あって精神的に痛めつけられても、それを隠して仕事を頑張っていうということです。

満身創痍の例文

ドローン
この項目では「満身創痍」の使い方を、例文に解説を添えてご紹介します。

直属の上司が交通事故で満身創痍になってしまったので、代わりに別の先輩が指導をしてくださることになった。

不慮の事故などで大怪我してしまった場合は、無理をせずに仕事などは回復するまで休むのが一般的です。この例でも全身を怪我した上司に代わり、別の先輩が指導してくれることになったということが読み取れます。

満身創痍な時に支えてくれた友人とは、一生付き合っていくつもりだ。

身体中が傷だらけであったり精神的に痛めつけられて弱っている時に支えになってれる人の存在は、とてもありがたいものです。今回の例でも、そんな時に支えてくれた友人を生涯付き合いを続ける意思が感じられます。

「満身創痍の体」は間違い?


「満身創痍の体」という使い方をしているケースが散見されますが、この使い方は誤用だとされています。なぜなら「満身」という言葉の中に「全身」という意味が含まれているからです。

このように意味を重ねる表現を「重言」(じゅうげん)といいますが、重言のほとんどは誤用とみなされています。例えば馬から落ちることを「馬から落馬する」、旅をすることを「旅行に行く」のように重ねて言い表すことです。

しかしながら語調を整えたり意味を強調させたりするため、あるいは確実に理解させるためにあえて用いられることもあります。また言葉は時代とともに変わっていくものなので、今は誤用だとされていても将来的には正しいとみなされることがあるかもしれません。

ただし先述のように誤用だとされている言葉なので、今のところは「満身創痍の体」は使わない方が無難です。

満身創痍の類語

放送作家
「満身創痍」の類語は「疲労困憊」「百孔千瘡」などが挙げられます。「疲労困憊」は「ひろうこんぱい」と読み、「くたくたに疲れ果てること」や「疲れ切って苦しんでいること」といった意味です。

「疲労」は「疲れ果てること」、「困憊」は「疲れ苦しむこと」を意味し、同じ意味の言葉を重ねることでその意味を強調しています。なお「困憊」を「昏憊」と書くのも誤りではありません。

また「百孔千瘡」の読み方は「ひゃっこうせんそう」で、その意味は「ひどく傷だらけでぼろぼろの状態のこと」です。「百孔千瘡」は人の外相に対してだけではなく、建物や環境の破損のひどさに対しても使われることがあります。

それ以外にも人の欠点や短所がたくさんあることに対しても用いられるなど、幅広い場面で使用することができる言葉です。なお「百孔」は百の穴、「千瘡」は千の傷で、ここでの「百」や「千」は数が多いことを意味します。

満身創痍の対義語


「満身創痍」の対義語は「無病息災」「無事息災」、あるいは「平穏無事」といったものが適切でしょう。「無病息災」は「むびょうそくさい」と読み、「病気がなく健康であること」という意味です。

「無事息災」(ぶじそくさい)は「無病息災」と少し似ていますが、「何事もなく平和に暮らすこと」を表します。どちらにも使われる「息災」とは「災いを防ぎ止めること」です。

また「平穏無事」(へいおんぶじ)は「変わらず穏やかなさま」を意味しています。特に困ったことや特別なニュースなどがなく、平和に暮らしている状態のことです。

「何事もないのが一番」という言葉があるように、穏やかに平和に過ごしていけることが何よりだと考える人は少なくありません。そのことを端的に表す上で、これらの四字熟語は非常に便利だといえるでしょう。

満身創痍の英語表現


「満身創痍」の英語表現は「be completely exhausted」「be worn out」といったものが挙げられます。

「completely」は「完全に」、「be exhausted」は「疲れ果てた」という意味です。それらが合わさった「be completely exhausted」は「完全に疲れ果てた」という意味なので、「満身創痍」の英語表現としてぴったりだといえるでしょう。

また「be worn out」は「疲れ果てた」や「すり切れた」、「精魂尽きた」といった意味です。「be worn out」は人に対してだけではなく、物やなどに対しても使用することができます。

単純に疲れているという意味だけを表すなら「be tired」でも表現できますが、上記の英語表現はそれよりも更に疲れがひどいことを意味しているのです。したがって「be tired」よりもそれらの表現の方が的確だといえるでしょう。

せっかくの機会ですから、どちらの表現もこの際にまとめて覚えておくと良いかもしれません。

まとめ この記事のおさらい

  • 「満身創痍」は「まんしんそうい」と読み、「身体中が傷だらけの状態」や「精神的に痛めつけられること」という意味がある
  • 「満身」には「全身」という意味が含まれているため、「満身創痍の体」は誤用だとされている
  • 「満身創痍」の類語は「疲労困憊」や「百孔千瘡」といったものが挙げられる
  • 「満身創痍」の対義語は「無病息災」や「無事息災」、あるいは「平穏無事」といったものが適切
  • 「満身創痍」の英語表現は「be completely」や「be worn out」といったものが挙げられる