心頭滅却とは?読み方や意味、使い方を例文とともに解説

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この記事では心頭滅却の読み方や意味について解説いたします。色々な場面で使われることがある言葉ですが、その意味や使い方についてはよく分からないという人もいるかもしれません。

そこで今回は心頭滅却の由来や使い方、類語や対義語なども含めてまとめました。それでは一つずつ確認していきましょう。

心頭滅却の読み方や意味とは


「心頭」は「しんとう」と読み、心の中という意味があります。激怒するという意味で「怒り心頭」といった表現が使われます。「滅却」は「めっきゃく」と読み、「ほろびてすっかりなくなること」を意味します。

この二つの熟語を合わせた「心頭滅却」は「しんとうめっきゃく」と読み、「心の中の雑念を消し去ること」という意味です。

心頭滅却の由来

心頭滅却を用いた故事のひとつに、「心頭を滅却すれば火もまた涼し」というものがあります。これは、禅僧の快川が織田信長に寺を焼き討ちされた際に燃え上がる山門でこの句を唱えたというエピソードがあります。

「心頭を滅却すれば火もまた涼し」は「心の中の雑念を消し去れば、無念無想の境地に至り、火さえも涼しく感じられる」という意味です。

この句自体は漢詩から引用したもので、中国・晩唐の詩人、杜荀鶴(と じゅんかく)の『夏日題悟空上人院』が出典元です。

心頭滅却のビジネスシーンでの意味


心頭滅却という言葉はビジネスシーンで特別な意味を持っているわけではありません。

しかし、力を発揮するため、パフォーマンス能力を上げるための自己啓発的な場面で用いられることがあります。

例えば、オリンピック選手が世界で戦って良い成績を残すためには、実力以上の力を発揮することが求められます。精神的にも体力的にも限界に挑戦することで、私たちの持っている能力はさらに開花するといわれています。

「心頭を滅却すれば火もまた涼し」という言葉のように、無念無想の境地に至るほど集中することで、限界を超えられる、最高のパフォーマンスができると成功哲学では述べられています。

心頭滅却の使い方と例文


心頭滅却は先述のように、幅広い場面で使われる言葉です。そこでこの項目では心頭滅却の使い方を、例文に解説を添えて取り上げました。

受験日が迫っているため、心頭滅却して毎日の勉強に励んでいる。

受験生にとって受験日が迫れば迫るほど、より危機感を持って勉強に取り組む必要があります。この例では、受験日が迫っているので心を無にして毎日勉強に励んでいるということです。

現場でセキュリティ事故が頻発したことから、従来以上に心頭滅却して作業するよう通知があった。

セキュリティ事故は自社だけではなく取引先や顧客など、多くの人に影響を与える恐れがあるものです。今回の例ではそういった事故が相次いだことから、これまで以上に心を無にして作業するよう通知があったということでしょう。

心頭滅却の類語


心頭滅却の類語としては「無念無想」「明鏡止水」などが挙げられるでしょう。

「無念無想」は「むねんむそう」と読み、「無我の境地に入って、心に何も思わないこと」という意味があります。無念とは雑念を生じる心を捨て、無我の境地に到ることです。

無想は心の働きがないことを意味し、それらが合わさって上記のような意味として使われます。なお無念無想は仏教語であることから、仏教など宗教に関する文脈の中で用いられることが多いかもしれません。

また「明鏡止水」の読み方は「めいきょうしすい」で、その意味は「邪念がなく、落ち着いた静かな心」です。明鏡は澄んでいて曇りのない鏡、止水は止まっているように見えるほど静かな水を意味しています。

どちらもその意味が似ていることから心頭滅却の類語といえるでしょう。

心頭滅却の対義語


心頭滅却の対義語は「疑心暗鬼」「意馬心猿」といったものが考えられるでしょう。

疑心暗鬼は「ぎしんあんき」と読み、「疑いの心があるため、何でもないことに対しても疑問に思ったり恐ろしく感じたりすること」という意味です。疑心暗鬼は「疑心、暗鬼を生ず」を略した言葉ですが、どちらかというと疑心暗鬼の方が有名になっているかもしれません。

例えば人からの善意や好意に対しても「裏があるのではないか」と疑ったり、不必要に恐れたりするような状態を疑心暗鬼といいます。

また「意馬心猿」の読み方は「いばしんえん」で、意味は「欲望などで心の乱れが抑えられないこと」です。走り回る馬や騒ぎ立てる猿のように落ち着きがないことから、このような意味で使われています。

なお語順が変わって「心猿意馬」とすることもありますが、意味は同じです。

まとめ この記事のおさらい

  • 心頭滅却は「しんとうめっきゃく」と読み、「心の中の雑念を消し去ること」という意味がある
  • 心頭滅却の故事のひとつに「心頭滅却すれば火もまた涼し」があるが、これは中国・晩唐の詩人である杜荀鶴の漢詩に由来している
  • 心頭滅却の類語は「無念無想」や「明鏡止水」などが挙げられる
  • 心頭滅却の対義語は「疑心暗鬼」や「意馬心猿」といったものが考えられる