非正規雇用とは何か 現状と問題点について詳しく解説

※本サイトはプロモーションを含んでいます。

政府が進める「働き方改革」の一環で、今、「非正規社員」にスポットが当たり処遇改善をしようという動きがあります。

ここでは「非正規社員」について解説します。そもそも、非正規社員とは何か、その現状と問題点を具体的に解説します。

非正規雇用とはそもそも何か?

非正規社員の法的な定義はありませんが、「正規社員」に対して「非正規社員」といわれ、契約期間の定めがある社員のことをいいます。

一般に正規社員が「正社員」といわれますが、非正規雇用の社員は契約方法によってさまざまな形態と呼称があります。

非正規雇用の種類 契約社員・嘱託社員

非正規雇用のひとつ、働く人の仕事の範囲(職務内容)や期間、労働時間について、個別に契約を交わしたうえで雇用するため契約社員といわれます。働く人すべてが契約を結んでいますが、特に「契約社員」は一人ひとりの個別の仕事に合わせた契約になるでしょう。

ある特定の仕事を委嘱し個別に契約する意味で、「嘱託社員」も契約社員の一種です。

特に定年退職後に、再雇用されて働く場合の呼称として使われる場合が多いです。いずれにしろ、正規社員と比べると、仕事の内容が限定され契約期間に定めがあります。

 

 

非正規雇用の種類 派遣労働者

非正規雇用の「派遣労働者」は、派遣元企業に社員として雇われ、業務命令で実際に勤務する企業に派遣されるため、こういった呼び方になります。

派遣先の企業からすると、自社社員と区別して「派遣社員」と呼びますが、派遣先と雇用関係はありません。

派遣労働者の雇用契約は派遣元と結ぶので、給与の支払いや各種社会保険の加入は派遣元が行います。派遣先での仕事上の上司と、雇い主が違い不安定なのが問題点です。

パートタイム

パートタイムとはいわゆる短時間勤務で働くため、「パートタイマー」あるいは「パート社員」と呼ばれる非正規雇用です。

短時間というのは、正社員の勤務時間・日数に満たない、限られた時間数での勤務のことです。具体的には、1日の就業時間を4~5時間にしたり、週の勤務日数を4~5日にしたりします。

勤務日数と勤務時間をどこで設定するかは、会社の求める仕事内容によるでしょう。

正社員より短時間であるため勤務内容には差が出てきて、どうしても正社員の補助的業務や作業が中心になります。

非正規雇用の種類 アルバイト

アルバイトは、働く時間や日数が限定的で、それに合わせて仕事内容や責任も限られているため、前項のパートタイム労働者と同様の扱いの非正規雇用になります。

ただ、パート労働者は家庭の主婦の手すき時間活用になる一方、アルバイトは学生が学業のかたわら行うことが多いです。パートとアルバイトの勤務時間帯や季節はそれぞれ特徴があります。

非正規雇用の現状

下記では非正規雇用者といわれる人たちは、日本全体でどれだけいるのか現状を解説していきます。

非正規雇用者は全体の37.5%

出典の表によると、非正規雇用労働者の割合は平成6年より緩やかに増え続け、平成28年では37.5%となりました。全労働者の4割近くが非正規労働者となります。

一方、正規労働者は平成26年まで少しずつ減少していましたが、平成27年から景気上昇を反映してか、8年ぶりに上昇に転じました。

高齢者およびパート・アルバイトの増加

非正規雇用者を年齢別に見ると、平成23年から28年の5年間で、65歳以上の高齢者が133万人も増え、全体の中の割合が+5.6%となっています。

一方、形態別では同期間で、パートが113万人、アルバイトが60万人増え、両方の割合は合計で69.3%にも達します。

不本意非正規の状況なりたくてなったわけでない人たち

問題になるのが、「不本意非正規」の状況です。これは、正規社員としての就業を希望しているが、不本意ながら非正規社員にとどまっている人たちです。

表では、全体の15.6%、約300万人近い人たちが不本意非正規社員ということです。特に働き盛りの20代~40代でもかなりの数字に登ります。

正規雇用と非正規雇用労働者の推移

非正規雇用の問題点

働く側からみて、非正規雇用に問題があると思われる点は以下の3点です。

期限が限られているのが問題

働く非正規雇用者にとって雇用期間が限られているというのは大きな問題点です。一般的には3年間といわれますが、せっかく見つけた就職先も3年後にはまた探さなければなりません。

そもそも非正規雇用は雇用期間に定めがあるという前提とはいえ、特に不本意非正規社員には厳しい現実です。

低賃金・薄い待遇が問題な非正規雇用

前述した表の「賃金カーブ(時給ベース)」では、正社員といわれる一般労働者と、それ以外の短時間労働者の時間給を、年齢毎に出してグラフ化したものが紹介されています。

非正規の低賃金が一目瞭然で、正社員の平均が1950円なのに対して、正社員以外の短時間労働者の平均は1060円で、約2分の1です。

また、非正規雇用には契約時点でボーナスや昇給がないのが一般的で、会社によっては交通費がでないところもあります。

同一労働低賃金という差別の問題

給与や処遇の差が、仕事内容(難易度、スキル、出来映えなど)によるものであれば仕方ありませんが、実際の仕事現場では、まったく同じ仕事内容であるにもかかわらず、差があるというのが大きな問題となっています。

「働き方改革」の指針のひとつである「同一労働同一賃金」による非正規雇用の処遇改善はここにあります。

厚生労働省「同一労働同一賃金特集」

このような非正規雇用の厳しい現実に直面している場合、もしくは、2018年に顕在化した雇い止めに直面した場合、その環境にとどまらず、転職を志すことを強くおすすめします。

業種&年代など経歴特化型転職エージェントの紹介と比較 
転職したい!その思いに答える16のエージェント解説と、効率的な転職の仕方 
正社員の極々一部ですが、非正規雇用者を相手に優越感を感じている方も少なからずいます。そのような方の下で働いている中で1番の問題は時間を無駄に消費することです。
せっかく会社のために身を捧げても報われるわけではありません。自分は頑張ったと胸をはっていえる方はきっと他の職場であなたの力を必要としている方がいるはずです。
一度、周りへと視野をひろげてみませんか?

非正規雇用を選ぶメリット

不本意非正規雇用ではなく、あえて非正規雇用を選ぶというメリットもあります。

非正規雇用は採用されやすい

企業の採用活動で、パート社員や契約社員を募集する理由は、人件費が正社員に比べて安くあがるのと、業績を見ながら雇用を延長する、しないをタイムリーに決定できるためです。

逆にいえば、長く雇用するつもりがないため学歴や職歴などの採用要件をゆるくしています。結果、受ける人からすれば入りやすいというメリットがあるでしょう。

非正規雇用は柔軟に働ける

非正規ながら、たとえばパート・アルバイトという短時間でも働きたいというニーズがあるのは、非常に時間の融通のつけやすい働き方というのがメリットです。

家事、保育、学業の合間を縫って都合の良い時間に働けるのは魅力です。また、定年後の自由時間の有効活用として、自分の得意なジャンルの仕事だけをする職場があれば魅力でしょう。

非正規雇用は生活に専念できる

述べてきたように、非正規雇用の仕事は会社の補助的部分であったり、ごく狭い部分の仕事に終始するため、基本的には重要ポストになることはありません。

ほとんどの場合、異動もなければ大きな責任を持たされることもないため、ワークライフバランスを考える人には合致する働き方でもあります。

非正規雇用とは何かについてのまとめ

  • 非正規雇用は、正社員などの正規雇用に対して、一般に契約期間の定めがある雇用のことを言います。形態として、契約社員、嘱託社員、派遣労働者(社員)、パートタイム、アルバイトなどがあります。
  • 非正規雇用の割合は厚生労働省調べでは、平成28年の全労働者の37.5%が非正規雇用で、平成6年以来緩やかに増えています。年齢別では65歳以上の高齢者、形態別ではパート・アルバイトが増えています。
  • 非正規雇用の問題点は3つ、「雇用期間が限られている」「低賃金と薄い待遇」「同一労働低賃金」です。一方、不本意非正規雇用は別にして、非正規雇用ならではのメリットもあるので使い分けることも意味があります。