終身雇用の習慣がいまも根強い日本の社会では、転職は人生の大きな転機になります。
再就職もいろいろと大変ですが、いま勤めている会社を退職するのも容易なことではありません。
退職願や退職届、辞表などいろいろある中で、退職するときにどれを選んで提出すればよいのかわからない。
そんな方も案外多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは「辞表」に焦点を当てて解説いたします。

退職願と退職届と辞表の違いとは

一般的に退職願は「○月○日に退職したいので、よろしくお願いします」と勤め先に願い出るための書類です
したがって、退職願を提出した段階で退職が決まることはありません
上司に退職を慰留されたり、その場で却下される可能性もあります。
それに対し、退職届と辞表は「○月○日に退職します」と勤め先に通知するための書類です
勤め先に提出した時点で退職が決定し、原則として撤回はできません
退職届と辞表の違いは、退職を希望する者と勤め先との雇用形態の違いによります。
一般的には、労働者と企業とは雇用契約を交わした関係にあります。
それに対して、企業経営に携わる役員や公務員の場合は雇用契約ではなく、委任もしくは任用制度にもとづいた労働契約になっています。
そのため役員が役職を辞する場合や、公務員が自己都合で退職する場合には、退職届ではなく辞表を提出するのが、社会的な慣習となっています
なお、退職届と退職願の違いや書き方については、以下の記事もご参照ください。
退職届・退職願の書き方とマナー・例文集

辞表の書き方 封筒の選び方

辞表の内容は、基本的に退職届と同じです。
会社によっては、就業規則で所定の様式を指定している場合もあります。
指定がなければ、書式のテンプレートをインターネットでダウンロードして作成し、パソコンでプリントアウトしてもかまいません。

辞表を書く際の注意点

辞表の用紙は、A4サイズ程度の白い便せんか事務用紙を使いましょう
手書きの場合、筆記具は黒の万年筆かボールペンを使うのが一般的です。
書式は縦書きが基本ですが、横書きでも問題はありません。
ご自身の署名の下に、押印することをを忘れないようにしましょう。
印鑑は認印でもかまいませんが、株式会社の取締役の場合、辞任が決まると役員変更登記申請書を法務省に提出することになります。
その際に添付書類として、当該役員の本人確認証明書が必要となります。
したがって会社役員のような重職の辞表には、印鑑証明書を添付できる実印を用いるのが理想です。
辞表を作成したら、誤字脱字がないかもう一度よく確認し、まちがいがあれば訂正せず、最初から書き直しましょう。
書き終えた辞表は3つ折りにして、表に「辞表」と縦に書いた白無地の封筒に収めましょう。
封は閉じなくてもかまいませんが、シールをはがしてのりづけできる封筒の場合は、しっかり封を閉じてください。
封筒はできれば郵便番号用の四角い枠がないものを選んでください。事務用の茶封筒を用いるのはマナー違反です。
辞表は人目に触れるのを避ける意味で、スーツの内ポケットに収まるサイズがよいとされています。
封筒のサイズは長形3号(120x235mm)程度を選びましょう。
完成した辞表は、シワや汚れ、折り目などをつけないように、提出するまでは厳重に保管してください。

辞表を提出する際の注意点

退職を決めたら、まずは上司、または周りの人に一度相談してみましょう。
退職の日までに処理すべき業務の引き継ぎ作業や、必要な手続きの確認も必要です。
辞表を作成したら、直属の上司に直接手渡しするようにしてください
何かとお世話になった人に、面と向かって辞表を提出するのは心苦しいかもしれません。
だからといって他の人に辞表の提出を委託したり、郵送したりするのは、よほどの事情がない限り、やるべきではありません。
ビジネスパーソンとしてのマナーは最後まで守りましょう。
場合によっては、退職の手続きをなかなか進めてもらえないかも知れません。
そんな時でも決して感情的にならず、退職の意志が固いこと、熟慮の末に得た最善の結論であることを粘り強く伝えて、円満に承認を得るのがスマートなやり方です。

辞表の例文 テンプレート

封筒
表書き:辞表
裏書き:所属部署役職名と氏名
書状

辞表

私儀   

このたび、一身上の都合により、勝手ながら2019年12月20日をもって退職いたします。

2019年10月18日
         常務取締役
             品川 太郎  印

高輪ゲートウェイ株式会社
 代表取締役社長  田町 慶 殿

まとめ

退職願は退職を願い出るために提出する書状です。
退職届と辞表は、ともに退職することを通知するための書状です。
一般の労働者が退職するときは退職届を、役員や公務員が退職するときは辞表を提出します。
辞表の書式や提出方法については、規則やマナーに従いましょう。