仕事のメールなどで「よしなにお願いします」という言葉をよく目にします。やわらかく端的ではない表現が、物事をオブラートにくるむ日本人らしさを出しているようです。しかし、この「よしなに」と言う表現はビジネスの場においては危険をはらんでいる言葉でもあります。
大切なビジネスシーンで失敗しないよう、使い方や意味合いを理解しましょう。

「よしなに」とは

「よしなに」の意味は

・うまいぐあいになるように
・よろしく
・よいように

とこのような形で使用します。

分かりやすく端的にいえば「よしなに」は「よろしく」と同じ意味で「よしなにお伝えください」とこのように使用します。

「よしなに」の語源

よしなにの語源は、古事記の天孫降臨神話にまでさかのぼるといわれています。

天照大御神の孫にあたる、邇邇藝命(ににぎのみこと)と、その妻の木花之佐久夜毘売(このはなさくやひめ)が三つ子を生んだ際、祝いに駆け付けた信濃地方の県守4人に赤ん坊を包んでいた胞衣をまつらせて欲しいと頼まれた。

子供は3人しかいないため、3つの胞衣を4人でうまく分けて欲しいと伝える際に「よしなにはからう」と言う表現が生まれたとされています。

ビジネスでの「よしなに」の使い方

ビジネスにおいてよしなにを使う場合語源から考えれば、よしなにという表現は、”お互いに折り合いをつけてうまく物事を進める”と言う意味合いで使われている事が理解できます。

参考 言葉の意味

しかし、うかつに「よしなに」という表現を使う事で要らぬ失敗を招く可能性もあるため注意が必要です。

「よしなに」の曖昧表現(失敗例)

よしなにとは、トゲもなく端的な物言いをせずに相手にお願いができるため、一見すると非常に使いやすい言葉のように思えます。
しかし、この端的な物言いをしない事こそがビジネスにおいて失敗を招く事につながります。

失敗例:
部下に資料作成を任せた際、「ここはどうすればいいですか?」と質問をされた。
「よしなに作成してください」と、言う返事をしたら自分が意図していたものと全く違う資料が出来上がってしまった。

具体的な指示を出さなかったため、部下は「よしなに(=自分にとって良いように)」と解釈して資料作成を進めてしまった。

「よしなに」は責任の範囲が曖昧

上記例を見ても、仕事の指示などをよしなにと言う表現で済ませてしまう事で、指示された側の責任の範囲が曖昧になってしまうというデメリットがあります。

「よしなにつくってください」という言葉に「相手に伝わりやすいように分かりやすい資料をつくってください」と言う意味を込めて伝えたしても、「よしなに」の一言だけでは全く伝わりません。

指示を受けた側も「自分の判断でどの程度作りこんでいいのか」「入れ込むべき情報の量や質はどの程度か」「見た目やデザインはどのようにすればいいのか」と言う具体的な責任の範囲が分からない為すべて自分で判断することになります。

これは、自分が指示をされる側であっても同じ事がいえます。すべて一任されていると思って作った資料が実は上司の意図しているものではなく、酷評された末に作り直しと言う末路も有り得るのです。

「よしなに」の曖昧さを回避する方法

「よしなに」の曖昧さを回避するためには、具体的な指示が必要です。

また、「よしなに」の指示を受けた場合も、必ず具体的な指示を仰ぐ癖をつけましょう。
例えば、5W1Hで指示をする。指示を受けた場合は5W1Hが埋まるように質問をする。というのがポイントです。

もちろん、事前の会議や指示で期限や方法などが取り決められている場合はそれに従うべきですが、それもなく「よしなに」とだけ指示があった場合は、「いつ」「どこで」「誰が(誰に)」「何を」「どのように」を聞き取るようにします。

「よしなに」と言われた際に、確認しておく事の例:
「〇〇株式会社用の資料をよしなにつくって欲しい」と上司に言われた場合。いつ・・・期日は?
どこで・・・発表の場は?
誰に・・・資料を見せる相手は?担当者のレベルか、責任者のレベルか、経営者のレベルかなど
何を・・・資料の内容や必要項目
どのように・・・紙媒体なのか、データなのか、PPT資料なのか、Word文書なのかなど