日本語の敬語には、一つの言葉に対し、いくつかの敬語が存在するものがあります。その中でも、ビジネスでも使用頻度が高いのが「来る」の敬語です。ここでは、「来る」の尊敬語、謙譲語、それに相当する熟語、古語の「来る」などをまとめます。間違いやすい敬語をしっかりおさえて、正しいコミュニケーションができるビジネスパーソンになれます。

来るの尊敬語の解説

「おみえになる」、「お越しになる」、「いらっしゃる」などがあります。
これらは、どれも尊敬語なので、使い方で失礼になることはありません。

「来られる」という尊敬語もありますが、人によってはあまり敬意を感じない言葉なので、目上の人には使わないのが無難でしょう。

敬意の高い順に並べると、「おみえになる」>「いらっしゃる」、「おこしになる」>「来られる」となります。
ちなみに、「おいでになる」は「行く」の尊敬語です。
お越しになるといらっしゃるは下記記事を参考にするとより理解が深まります。

来るの尊敬語例文

「最寄り駅は赤坂見附のA出口ですので、そちらからおみえになってください。」
「では、明日の展示会には、どうぞお気をつけてお越しください。」
「3時までにはいらっしゃると、メールを頂戴しております。」
「○○様も来られるとうかがっていますので、楽しみにお待ちしております。」

来るの謙譲語の解説

謙譲語には、「参る」、「伺う」があります。
謙譲語は、自分をへりくだって使う表現なので、他の人の行為に対して使うのは間違いです。

たとえば、「では、御社へ3時に参ります。」と言えますが、「○○様が参られました。」とは言えません。
ただし、身内を指して相手にへりくだる表現はできるので、社外の人に「(わが社の)社長が参りますので、少々お待ちください。」という使い方なら、正しい使い方です。
参ると伺うは下記記事を参考ください。

 

「伺う」と「参る」の違い

「伺う」は、「聞く」「問う」の尊敬語でもあります。また、人を「伺う」場合、つまり尊敬できる“人”にのみ使える言葉です。
「来週、アメリカに伺います。」とは言えませんが、「来週、アメリカに参ります。」と言うのは正しい使い方です。

「伺う」の例文は、
「明日11時にお伺いしたいのですが、ご都合はいかがでしょうか?」
「ご意見をお伺いいたします。」
「ご講演の内容について、ひとつ伺ってもいいでしょうか?」などがあります。

来るの尊敬語を熟語でいう場合

「来る」の尊敬語で上手く表現するのが難しい時や長すぎる文章の時には、どこに来るかを具体的に表す丁寧な熟語を使うと便利です。
たとえば、「当店へおこしいただきまして、ありがとうございます。」は、「ご来店ありがとうございます。」と置き換えられます。
他に、「ご来校」、「ご来場」、「ご訪問」、「ご来訪」、「ご来宅」などがあります。

また、やってくる人に敬意を表す熟語「ご来駕(らいが)」、「ご尊来(そんらい)」、「ご光臨(こうりん)」などもあります。「○○様にご来駕をあおぎました。」「○○さまからご尊来の返事をいただきました。」などと使えます。

古語の来るの尊敬語

古文では、「来る」の尊敬語は「おはします」、「いでます」などがあります。
「おはします」の方が敬意の度合いが高く、天皇や皇后にも使える尊敬語です。

来るの敬語表現のまとめ

  • 「来る」の尊敬語には、「おみえになる」、「お越しになる」、「いらっしゃる」などがあります。「来られる」も尊敬語ですが、人によってはあまり敬意を感じない言葉でもあるので、使う時には注意が必要です。
  • 「来る」の謙譲語には、「参る」、「伺う」があります。「参る」は何に対しても使えますが、「伺う」はへりくだることができる人(人間)に対してのみ使います。また、「伺う」は、「聞く」と「問う」の謙譲語でもあります。
  • 「来る」の尊敬語は、丁寧な熟語で置き換えることもできます。「ご来店」、「ご来校」、「ご来場」、「ご訪問」、「ご来訪」、「ご来宅」、「ご来駕」、「ご尊来」、「ご光臨」などがあります。
  • 古文では、「来る」の尊敬語は「おはします」、「いでます」などがあります。「おはします」は最高の度合いの敬語です。