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この記事では、「ジェンダー」の意味や使い方、関連用語、類語、英語表現について解説します。
テレビなどで「ジェンダー」という言葉をよく耳にします。かつては男女平等など性差別の問題が数多く取り上げられていましたが、最近は生物的な男女にとらわれない在り方が注目されています。
21世紀の社会を考える上でも「ジェンダー」は重要な言葉です。この記事を通して、「ジェンダー」の意味や関連用語を理解して、これからの社会への大切な知識を身につけてください。
「ジェンダー」の意味とは
「ジェンダー」とは、オス・メスという生物学上の性差ではなく、社会的・文化的につくられる「男らしさ」「女らしさ」を意味します。例えば、日本の場合、「男は外で働き、女は家庭を守るもの」という「男らしさ」「女らしさ」がありました。
つまり、仕事をするのは「男らしい」、家庭を守るのが「女らしい」というジェンダーがつくられていたのです。これはある意味、男性中心の社会にとっては都合の良いジェンダーであり、これこそが男女不平等の要因にもなっていました。生物学上の「男さしさ」「女らしさ」は変わることはありませんが、ジェンダーは時代と共に変化していきます。
当然、世界の国々では文化も異なるので、ジェンダーが一緒になることは難しいでしょう。しかし、人々が平等で快適に暮らすために、より良いジェンダーを模索することは大切で、国際的な課題にもなっています。
「ジェンダー」の語源
「ジェンダー(gender)」は、種類・タイプを意味するラテン語の「genus」が語源で、ドイツ語では性を示す言葉でした。それが、1960代になると社会学の分野で、生物学上の性差「セックス」に対して、社会的・文化的につくられる性差を表現する言葉として「ジェンダー」が使われるようになりました。
一般的に「ジェンダー」という言葉が知られるようになったのは、1995年からです。この年、北京において第4回世界女性会議が開催され、ジェンダーに基づく偏見や不平等が取り上げられたのです。
この会議を契機に、「ジェンダー」という言葉が、世界中に広がり、日本においても1996年7月に「男女共同参画ビジョン」の中で、初めて公文書に「ジェンダー」という言葉が使われました。
「ジェンダー」の使い方
男女格差の是正や生き方の多様化に対応するためには、「ジェンダー」という概念をきちんと理解する必要があります。今後ますます、「ジェンダー」という言葉は目にすることになるでしょう。ジェンダーの意味をしっかり把握して使うことが大切です。
「ジェンダー」の使い方で誤解されやすいのが、「LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)」の同義語や「トランスジェンダー」の略語として使っているケースです。
ジェンダーの誤解されやすい使い方の例
- 彼はジェンダーだから料理も上手です。
- ジェンダーでも差別されない社会の構築が重要です。
あくまでもジェンダーは、生物学上ではない「男らしさ」「女らしさ」の概念で、特定のあり方を意味するものではありません。概念であることをきちんと理解することが大切です。
「ジェンダー」を使った例文には以下のようなものがあります。
例文
- 男女平等の社会づくりのためには、ジェンダーをこえた発想が重要です。
- 世界には、ジェンダー格差が大きい宗教が数多くあります。
「ジェンダー」の関連用語
「ジェンダー」の関連用語には、「ジェンダーレス」「ジェンダーフリー」「ジェンダーギャップ指数」などがあります。
「ジェンダーレス」
ジェンダーレスとは、生物学上の性差を前提とした社会的・文化的性差をなくそうという考え方です。例えば、かつて小学生のランドセルは、男の子が「黒」、女の子が「赤」を選ぶのが慣習で、制服では女子はスカート、男子はスラックスと決められていました。
このような、生物学上の性差をなくし、男女区別のない嗜好を重視する考え方が「ジェンダーレス」です。最近では、男女区別のない中性的なファッションの「ジェンダーレス男子」「ジェンダーレス女子」という言葉もよく聞かれます。
ジェンダーレス男子は、メイクやヘアアクセサリーで、美しく着飾り、ジェンダー女子は、ショートヘアでキリっとファッションで、中性的なカッコよさを演出しています。
「ジェンダーフリー」
「ジェンダーフリー」は、ジェンダーにとらわれずに、個性や資質に合った生き方を自由に選択できるようにしようとする考え方です。特に女性の貧困や格差を解消する目的から生まれました。
日本の場合、結婚・育児・家事などは女性の役割という考え方があり、それにより仕事や給与などに格差が生まれていました。この格差を解消しようとする考え方が、「ジェンダーフリー」で和製英語です。英語では、「gender-neutral」「gender-blind」と呼ばれます。
日本で「ジェンダーフリー」という考え方が広がったのは、1990年代半ば以降です。男女共同参画に取り組む自治体がよく使用しますが、一般企業においても積極的な女性の社会進出をサポートする言葉としても使われています。
「ジェンダーギャップ指数」
「ジェンダーギャップ指数」は、スイスの非営利団体・世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が、2006年から毎年発表している「各国の男女格差を数値化したもの」で、「男女格差指数」とも呼ばれています。
2021年3月に公表された「ジェンダーギャップ指数(2021)」における日本の順位は以下のようになっています。この指数は、経済・政治・教育・健康の4つのデータを基準に、「0」が完全不平等、「1」が完全平等を示しています。
順 位 | 国 名 | 値 | 前年値 | 前年からの
順位変動 |
1 | アイスランド | 0.892 | 0.877 | - |
2 | フィンランド | 0.861 | 0.832 | 1 |
3 | ノルウェ― | 0.849 | 0.842 | -1 |
11 | ドイツ | 0.796 | 0.787 | -1 |
30 | 米国 | 0.763 | 0.724 | 23 |
102 | 韓国 | 0.687 | 0.672 | 6 |
107 | 中国 | 0.682 | 0.676 | -1 |
119 | アンゴラ | 0.657 | 0.660 | -1 |
120 | 日本 | 0.656 | 0.652 | 1 |
121 | シエラレオネ | 0.655 | 0.668 | -10 |
このように、日本の「ジェンダーギャップ指数」は非常に低く、先進国の中でも最低レベルになっています。日本で男女格差が解消される日は、まだまだ遠いと言えるでしょう。
「ジェンダー」の類義語と例文
「ジェンダー」の適切な類義語はありません。しかし、「ジェンダー」という概念が生まれる以前に、性差別を取り上げた言葉として「フェミニズム」があります。フェミニズムは、「男女平等の信念にもとづいて女性の権利を主張すること」と解説されています。
しかし、元来はラテン語の「女性の特質」という意味で、そこから女性解放の意味合いで使われるようになりました。
例文
- フェミニズムは、18世紀の市民革命が起源と言われています。
「ジェンダー」の英語表現
「ジェンダー」は、もともと英語の「gender」が由来ですから、意味も同様に「社会的・文化的性差」になります。但し、一般的には性別の「sex」と同じように使われているので、「gender」を単体で使う場合は、意味や定義を考える必要があります。
文章などでは、「gender gap」「gender equality」など他の単語を組み合わせて使うことが多くなります。
例文
-
- Another factor playing into lack of Japanese work force, is the large gender gap.
日本の労働力不足のもうひとつの要因は、大きな男女格差です。
-
- Gender equality is a key factor in poverty reduction.
男女平等は貧困を索然するための重要な要素です。
まとめ この記事のおさらい
- 「ジェンダー」は、社会的・文化的につくられる「男らしさ」「女らしさ」の意味。
- 「ジェンダー」は、種類・タイプを意味するラテン語の「genus」が語源。
- 「ジェンダー」の関連用語は、「ジェンダーレス」「ジェンダーフリー」「ジェンダーギャップ指数」など。
- 「ジェンダー」の類語として「フェミニズム」が考えられる。
- 「ジェンダー」の英語表現は、「gender」で、「gender gap」「gender equality」など他の単語を組み合わせて使うことが多い。