ここでは「傭兵」について解説いたします。

テレビや新聞などの一般的なメディアではほとんど見ない言葉です。

でもRPGの世界ではゲームキャラの兵種として、わりとおなじみの言葉でもあります。その意味では、年配者よりもむしろ若い世代のほうが「傭兵」のことをよくご存じかもしれません。

ここではRPGではなくリアルな世界の「傭兵」について詳しく解説いたします。ゲーム好きな方もそうでない方もぜひお読みください。

傭兵とは|意味・読み方・使い方

「傭兵」は「ようへい」と読み、「金銭で軍隊に雇われて戦闘や紛争に参画する一般人や外国人の兵士」を意味します。

簡単に言えば「傭兵」は「金で雇われた兵士」のことです。自国を守るため自発的に志願した者や、徴兵制によって正規の軍隊に召集された者は、給与を得ていても「傭兵」には含まれません。

傭兵の語源

傭兵の「傭」は「人をやとうこと」「やとわれた人」を表す漢字です。また「兵」は古代中国では「戦争」そのものをあらわしました。その当時は戦争に参画する者を「兵士」と呼びましたが、やがて「兵」だけで「兵士」を意味するようになりました。

このような成り立ちから「傭兵」は「兵」を「傭」すること、つまり「人を兵士として雇うこと」「兵士として雇われた人」などを意味する文字になりました。

「傭兵」と「軍人」の違い

「傭兵」も「軍人」も「紛争や戦闘に参画する人」という意味では同じですが、細かく言えば、両者の意味には大きなちがいがあります。

それは「軍人」が自国の軍隊に所属するのに対し、「傭兵」は自国とは無関係に金銭で雇用されて軍務に就く者を意味する、という点です。

軍人の場合、国家が管理する軍隊組織に所属して、専門的な教育や訓練によって能力やキャリアを向上させることができます。また勤続期間や資格、実績などによって昇進したり、希望の部隊に転属したりすることも可能になります。

軍人は民間人ではありませんが、国家公務員として安定した雇用を約束されています。もちろん国家の非常事態では死の危険を顧みず職務を遂行しなければなりません。それでも先進国では軍人も国民としての人権が保障されています。

一方「傭兵」は、出身地以外の国や軍事組織から報酬を得て、戦闘に参画する兵士をいいます。働く期間も報酬額も、事前の契約で決まるため、昇進や昇給は基本的にありません。

人権については「傭兵にはない」とはいえませんが、敵の捕虜になってしまうと、正規軍や国家の救援は得にくいのが現実です。敵側にとっても傭兵の捕虜は相手国との交渉材料になりにくいので、大切に扱われない可能性が高くなります。

傭兵の歴史

「傭兵」の歴史は洋の東西を問わず、戦争の歴史そのものでもあります。ここでは日本とヨーロッパにおける傭兵の歴史について考察します。

日本における傭兵

日本の武士は主君に対する忠誠心が強いイメージがありますが、日本にも報償を目当てに戦う傭兵は古くから存在していました。たとえば律令制の時代には、公的な軍にあたる「軍団」のほかに、「武士団」という私的に雇われた傭兵が存在しました。

やがて律令制の衰退とともに「軍団」は「健児」という傭兵に近い組織に移行します。公的な軍団も、徴兵された者が金で身代わりの兵を雇って徴兵を逃れることが多く、事実上の傭兵がむしろ増えた、という説もあります。

戦国時代の武士で最も身分が低かった「足軽」も、初期のころは傭兵でした。また徳川幕府が開国後に創設した歩兵隊も貧困層の志願者が多く、事実上の傭兵組織と考えることができます。

その語、明治維新によって武家社会が解体されると金銭を求めて軍務に参画していた傭兵は雇い主を失い、事実上消滅しました。

ヨーロッパにおける傭兵

ヨーロッパでは、古代ギリシアの時代から大勢の傭兵が活躍していました。

18世紀ごろまでは戦争における兵力の主体は傭兵だったと言われています。

やがて一国の住民全員を国民とする「国民国家」の成立にともない徴兵制が主流になると、傭兵を中心に組織した軍隊は表舞台から消滅しました。

現代も傭兵は存在するのか?

現代も交戦中の危険地帯には、傭兵は必ずと言っていいほど存在します。とりわけ宗教や民族の対立に起因する紛争では、当事者に最新の兵器や戦闘に関するノウハウが乏しく、それを補充するためにプロの傭兵を雇い入れることが常態化しています。

ちなみにジュネーブ条約では「傭兵」を以下のように定義しています。

・武力紛争で戦うことを目的に、現地あるいは国外で特別に雇用されていること。
・実際に敵対的行為に直接参画していること。
・主として私的な利益を得たいがために敵対的行為に参画し、紛争当事者の軍隊において類似の階級と任務を有する正規戦闘員の報酬を上回る物質的な報酬を、紛争当事者から実際に約束されていること。
・紛争当事者が支配する地域の国民でも居住者でもないこと。
・紛争当事者の軍隊に所属する構成員ではないこと。
・第三国の軍隊の構成員として、公的な任務で紛争当事国に派遣された者でないこと。

傭兵になるには

日本は憲法により戦争放棄と軍隊保有を禁止されています。そのため法律的には日本国内で傭兵になることはできません。傭兵になりたい人は、海外の軍事組織か民間の軍事会社などの求人を探すか、傭兵の経験者や関係者から情報を得るしかありません。

仮に求人があったとしても、職種が職種だけに「未経験者歓迎」というわけにはいきません。海外で命がけの任務に就く以上、特殊なスキルが求められます。外国語の語学力は不可欠ですし、兵器や戦闘、医学、サバイバル術などの知識と経験が必要です。

銃弾の飛び交う戦場で即戦力として活躍できるスキルを得るには、専門的な訓練は欠かせません。そのため海外で活動する日本人傭兵の多くは元自衛隊員だと言われています。

傭兵の類義語と例文

「傭兵」は特殊な職業を意味する名詞ですので、同種の意味を持つ類義語は多くありません。

歴史的な固有名詞では、「黒騎士(くろきし)」をあげることができます。

ヨーロッパでは中世以降、騎士の多くは特定の主君に仕え、叙勲によって自分自身の紋章を盾に描くことを許されました。そのため、特定の主君との主従関係がない騎士は盾に紋章を描くことができず、黒く塗りつぶして戦闘に参加したと言われています。

そこで特定の主従関係がない騎士を「黒騎士」と呼ぶようになりました。

日本の「浪人(古くは牢人)」も傭兵の予備軍といえるでしょう。

また、天変地異や時流の変化などに直面すると頭角をあらわし成功する人を「風雲児」と呼びますが、臨機応変に活躍する意味では「傭兵」の類義語といえるでしょう。

風雲児の例文

戦国時代に足軽から立身出世して天下統一を成し遂げた豊臣秀吉の一代記には、後世に創作された部分が多いかもしれないが、だとしても秀吉が一世の風雲児だったことに疑いをはさむ余地はない。

傭兵の英語表現

「傭兵」の英語表現としては、「mercenary」が一般的ですが、 「雇われた兵士」という意味で、「hired soldier」と表現することも可能です。

まとめ

  • 傭兵は、金銭で軍隊に雇われて戦闘や紛争に参画する一般人や外国人の兵士を言います。
  • 傭兵は軍人と違って自国の軍隊に所属せず、出身地とは無関係の国や地域の戦闘に加わります。
  • 傭兵は古今と洋の東西を問わず、戦地には数多く存在しています。